グラスを傾けながら、友人がボヤきます。
「最近、気力がなくなってきた」
「人生の目標が、霞んできた」
「体力が落ちてきた」
「老眼で、モノが見えなくなってきた」
ネガティブワード連発です。
50代のご同輩・・・悩み多き年頃です・・・笑。
そんな中、ボジィティブに行くのか、その逆をいくのかで、
自分自身の認識は、随分と変わったものになると思います。
一つは、五木寛之さんの下山の思想・・・熟成した人生をどうまとめていくか?というスタンス。
吉田兼好の徒然草の流れです。
もう一つは、人生楽しまなきゃ損!というスタンス。
ホイジンガの哲学が通底していると思います。
その代表格が、マッキンゼーのトップとして、日本最高レベルのコンサルティングを展開していた大前研一さん。
その大前さんが書いた中年ビジネスパースンに向けて書いた一冊。
「趣味が仕事」という昭和のビジネスパースン・・・小職もそうですが・・・に、
大前さんは人生の意味を投げかけます。
50代からの選択 ビジネスマンは人生の後半をどう備えるべきか
大前研一著 集英社文庫 476円+税
大前さんが書かれた本だから、最後の最後まで、バリキャリ(バリバリのキャリア)で突き進め!というメッセージかと思いきや、真逆。
バンバン遊んで、死ぬ間際に「私の人生、生きてきてよかった」と思えるようにしなさいという助言で溢れています。
大前さん自身、オフロードバイクやジェットスキー、スキューバダイビングにスキー、そしてクラリネット・・・。
博覧強記ながらも、遊びのデパート・・・すごいです。
ピーター・ドラッカー博士は、第二の人生として、パラレルキャリア、そのための助走期間を指摘しています。
大前さんは、遊びでも、50歳代からの準備が必要だと説いています。
目次
第1章 拡がる世代間格差
第2章 日本の平均年齢50歳の時代
第3章 第二の人生に備える
同書から、大前研一さんのメッセージを拾ってみました。
スタープレイヤーではなく野に咲く花として生きる
中高年はなぜ悩んでもしょうがないことに悩むのか
億万長者は必ずしも幸せではない
やりたいことは先に延ばすな、今すぐはじめるべきだ
やりたいことを10以上数え上げることが出来るか
退職後の仕事はあくまで趣味の一つとして考えよ
残りの人生であと何回楽しめるか
サラリーマン同士でつるむな
国富の半分以上を持っている高齢者が、お金を使うことにより、個人消費を刺激・・・。
爺さん婆さんが遊びまくることにより、ニッポンのGDPも大きく伸びると思います(笑)。
最終章では、「死ぬならここでという場所があるだろうか?」という命題を掲げられています。
何と大前さんは、死ぬ場所まで具体的に決めています。
・鳴門の渦の見える丘(徳島県)
・四万十川流域(高知県)
・開聞岳の麓(鹿児島県)
・蓼科の別荘(長野県)
さすが、先を読む賢人です。
僕の人生観は、「ああ、しあわせな人生だった」と悔いを残さずに死ねるような生き方をしたい、ということ。
感動するようなきれいな場所で、「ああ、しあわせだった」と死にたいものである。大前研一
中高年を元気づける、必読の一冊だと思います。