正社員になっても、雇用と賃金の安定はない・・・
人材の育成もない・・・
日本型雇用システムはなくなる・・・
大企業もなくなる・・・
日本を代表する労働法学者の一人、神戸大学の大内教授の新刊。
ショッキングな日本の労働、雇用の将来図を示しています。
同書のコンセプト、一貫して訴求しているのが、「企業中心社会」から「個人中心社会」へシフトしていくということ。
会社はダウンサイジングし、会社員の数もどんどん減っていく・・・
AIやRPAが仕事をし、会社の外部にいるたくさんのプロ人材、専門職、テレワカーによって仕事が進められていく未来図。
なんとなく想像は出来ても、ビジネスの現場に身を置いている身としては、なかなか現実味がありません。
会社員が消える 働き方の未来図
大内伸哉著 文春新書 880円+税
目次
第1章 大企業がなくなる モデルチェンジする企業
第2章 日本型雇用システムの限界 これまでの働き方の常識は通用しない
第3章 働き方の未来予想 技術を身につけて自立的に働く
第4章 新しいセーフティネット 企業に帰属しない働き方へのサポート
第5章 「時間主権」を取り戻せ 人生100年時代に必要なスキルとは
同書では、最新の労働法の解説があり、労働法を学んでいる人にも役立つと思います。
副業解禁、解雇規制の緩和、就職協定の廃止、初任給格差、高度プロフェッショナル制度、外国人労働者の増大・・・現在、国をあげて進められている「働き方改革」の前提や将来の方向を改めて確認することが出来ます。
政府が提唱するソサエティ5.0。
そこには、AIとICTによる高度情報社会をベースにした新しい世界が現実のものとなりそうです。
複業やパラレルワークの中でメカニカルアーツやリベラルアーツを高め、人間にしかできない専門性を確立していくことが必要不可欠となります。
同書の最後にある「おわり」の章。
わずか9ページの中に、著者から若者へのメッセージが込められています。
大内教授からゼミ生や法学部生への助言だと思います。
・序列が変わる
・秀才ほど危険
・下克上が起こる
・進取の気性を忘れた国に未来はない
・労働なき社会
・哲学の時代
AI、RPAと共生して仕事する時代・・・そして、シンギュラリティ。
そして、労働なき時代、ベーシックインカムの時代に入り、そして、古代ギリシャのように市民が哲学や政治、民主主義を語り合う時代になっていく。
その前哨戦、初期段階にある現代・・・専門性を持った「個」として、テクノロジーを活用しながら未来志向で働いていくことが正解のようです。
たいへんな時代になってきました。
お楽しみは、これからです。