歴史って面白い!
哲学って面白い!
今まで、哲学は哲学、宗教は宗教・・・という認識だったのですが、3000年にわたる人類史の中でその2つにブリッジがかかっているということを理解することが出来る一冊に出会いました。
哲学と宗教 全史
出口治明著 ダイヤモンド社 2400円+税
465ページの大著。
著者は、立命館アジア太平洋大学(APU)学長の出口治明さん。
博覧強記というのは、出口さんのような人のことを言うんでしょうね。
一万冊を読破したという知の巨人・・・現代のニッポン・・・松岡正剛さんと並ぶリベラルアーツの巨匠です。
出口さんは、60歳まで日本生命でサラリーマン、60歳でライフネット生命保険を起業、成功に導きました。
そして、70歳の時、国際公募で立命館アジア太平洋大学(APU)学長に就任。
すごいエネジーです。
学者というよりもビジネスパースンの出口さん。
同書の中にイスラーム教の解説が出てきます。
預言者ムハンマドが普通の人で、商人であったということ初めて知ったのですが、知行合一、事上磨練の出口さんとイメージがオーバーラップしてきました。
今で言えば、プロデューサーのような仕事なんですね。
目次
第1章 宗教が誕生するまで
第2章 世界最古の宗教ゾロアスター教がその後の宗教に残したこと
第3章 哲学の誕生、それは知の爆発から始まった
第4章 ソクラテス、プラトン、アリストテレス
第5章 孔子、墨子、ブッダ、マハーヴィーラ
第6章 ヘレニズム時代にギリシャの哲学や宗教はどのような変化を遂げたか
ヘレニズム時代に中国では諸子百家の全盛期が訪れた
ヘレニズム時代に旧約聖書が完成してユダヤ教が始まった
ギリシャ王が仏教徒になった?ヘレニズム時代を象徴するミリンダ王の問い
第7章 キリスト教と大乗仏教の誕生とその展開
第8章 イスラーム教とは?その誕生・発展・挫折の歴史
イスラーム教にはギリシャ哲学を継承し発展させた歴史がある
イスラーム神学とトマス・アクィナスのキリスト教神学との関係
仏教と儒教の返報
第9章 ルネサンスと宗教改革ほ経て哲学は近代の合理性の世界へ
第10章 近代から現代へ。世界史の大きな転換期に登場した哲学者たち
第12章 20世紀の思想界に波紋の石わ投げ込んだ5人
同書の中で一番面白かったのが、第11章の「19世紀の終わり、哲学の新潮流をヘーゲルの3人の子どもが形成した」のセッション。
知の巨人たち三人を、弁証法の始祖ヘーゲルの息子たちに仕立ててています。
ヘーゲルの長男 セーレン・キルケゴール(1813~1855)
ヘーゲルの次男 カール・ハインリヒ・マルクス(1818~1883)
ヘーゲルの三男 フリードリヒ・ヴィルヘルム・ニーチェ(1844~1900)
知の哲人ヘーゲルを起点に、実存主義、唯物史観、ニヒリズムに展開していく哲学の流れが見事に整理されています。
個人的には、人間、個を基盤にした実存主義のファンなのですが、同書では、キルケゴール、ニーチェ、サルトルの思想をうまく繋いで解説しています。
ハイデガーがあまり取り上げられていないのが、ちょっと残念。
ナチ党員だったハイデガー・・・出口さんは評価していないんですかねえ。
秋の夜長に何度も読みたい一冊です。