愛子の握り飯

2018年02月08日 22時23分58秒 | 創作欄
徹は、常磐線の最終電車でよく眠った。
そして、眠っている間に、ふところの財布を何度か盗まれた。
「諸田さん、俺たち仲間のカモだね。気をつけなよ。余りにも無防備だぜ」とルパンが冷笑する。
取手のホームレスのルパンを度々常磐線内で見かけたが、この男は電車内でも悪事をする油断ができない人物でもあったのだ。
それなに、人がいい村田愛子はルパンのために毎日のように、握り飯を用意してラーメン店「アプローチ」に働きに来た。
初めは独身のマスターのために握り飯を用意していたが、「愛子さん、俺の分も頼むぜ」とルパンせがまれたのである。
置き引きもするルパン。
愛子はルパンにせがまれ、置き引きした製品を買っていた。
愛子はその製品がルパンが置き引きした品物とは知らなかったのだ。
再びルパンがアプローチに姿を見せなくなる「また、刑務所だな。今度は何時出て来るのか」とマスターは店にルパンが預けているカウンターの下に風呂敷包みに目をやった。
徹は男に2度も捨てられた愛子を愛おしいと思うこともあった。
「愛子という名は、変ね。ちっとも愛されない」食器を洗いながら愛子が独りごとのようにつぶやいた。

ホームレスの<ルパン>

2018年02月08日 21時52分02秒 | 創作欄
ホームレスの自称・作田金蔵を<ルパン>と呼んだのは、荒井由紀であった。
取手駅前のラーメン店「アプローチ」に作田が初めて姿を見せた時、この初老の男がホームレスとは知らなかった。
作家の安部譲二が、取手駅前のビルのホールに招かれ講演をした時、ルパンは最後方の席に座り、「安部か、チンピラ野郎だった」と隣に座る徹に毒づいた。
安藤組に居た頃の安部譲二を知っていると言うが、ルパンのハッタリかもしれないと徹は思った。
ルパンは取手競輪に来て、全ての持ちがねを使い果たしてしまい、利根川の大橋の下で寝泊まりするようになる。
口が達者なルパンは、新聞販売店に行き「俺を使え、新聞の5部や10部増やしてやるよ」と自分を売り込む。
新聞の部数が伸び悩んでいたので、新聞販売店主は試しにルパンに新聞勧誘の仕事を与えた。
半信半疑であったが、初日にルパンは7部勧誘、それも6か月~1年の契約であった。
次の日も5部勧誘した。
そして3日目は12部も勧誘したのだ。
「ところで旦那さん、ふところがチト寂しい。前借り頼む。朝刊の配達もするぜ」と申し出た。
だが、根がヤクザなルパンは1か月で仕事を放り出して、競輪通いである。
風呂は「かたらいの郷」へ行く。
入場無料である。
衣服は洗濯物は失敬して着替える。
荒井由紀は、「アプローチ」で5年働いていたが、友人の村田愛子に「わたしのあとやらない、わたし頼まれたので、食堂の大里へ行く予定なの」と頼み込む。
人がいい愛子は「客商売、未経験だけどやってみようか」と引き受ける。
由紀が食堂の大里へ移るとルパンはその店にも姿を見せた。
ルパンがしばらく姿を見せない時期もあった。
「刑務所にでも入っているんだろう」とアプローチのマスターの宇田武雄が言う。

素心蝋梅の追憶

2018年02月08日 16時10分11秒 | 沼田利根の言いたい放題
知人の岩倉さんの庭に素心蝋梅が咲いていた。
彼は若年性の認知症となる。
足が速く、台宿町内会の運動会では、リレーのアンカーであった。
花を見上げていると、車椅子に座った岩倉さんと視線が合った。
当方のことは認識できないだろう。
歯科商社バースの前田さんのことを想った。
東京デンタルショーで出会った時、車椅子の前田さんは当方のことを認識していなかった。
二人で新しい会社を創ることにしていたのに。
ともに、50代の時であった。
千葉大学卒、健在であれば業界のリーダーの一人となっただろう。
沼田利根
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まるで蝋細工のような花だ。
言葉の意味は、「ソシン(素心)」と「ロウバイ(蝋梅)」の2ツ構成で、「ソシン(素心)」とは、花弁(萼)、花芯まで同じ色の花を、中国ではソシン(素心)と呼ぶことに由来している。
「蝋梅の由来は、蝋細工のような光沢と透明感のある花の姿が ... 」
芥川龍之介
花言葉は、慈愛、慈愛心を持っている、枯淡である。

政党政治はなぜ自滅したのか?

2018年02月08日 15時22分14秒 | 医科・歯科・介護
/ 御厨 貴著

今ほど混迷する政治をじっくり見据えるときはない。
国民の期待を背負って誕生した政党 政治はなぜ自壊したのか?
軍の台頭を招いた政党政治はなぜ失敗したのか?
4つの歴史的なターニングポイントから、政党政治の失敗の原因を探りわかりやすく解説。
激動の政党政治がたどってきた苦難の歴史からあるべき政治の姿を見定める。

内閣総理大臣第19代 原内閣は、立憲政友会総裁・衆議院議員の原敬が第19代内閣総理大臣に任命され、1918年(大正7年)9月29日から1921年(大正10年)11月13日まで続いた日本の内閣である。
概要
陸軍大臣・海軍大臣・外務大臣を除く、すべての大臣に原敬自らが率いる立憲政友会の党員を起用したことから、日本初の本格的政党内閣と言われる。

高等教育の拡充、産業の拡充、鉄道網の拡充、国防の拡充の「四大政綱」を重要な政策課題と位置付けた。

また、国際連盟結成と、それによる日本の常任理事国就任も原政権時代の出来事であった。
政党同士が互いに激しく攻撃し合い、足を引っ張り合う(中略)それが政党政治そのものに対する国民の不信と不満を招く」

そして、軍国主義が時代を圧していく主因ともなる。

1921年(大正10年)11月4日、原敬が暗殺されたことにより解散。

原敬暗殺事件は、1921年(大正10年)11月4日、当時の首相原敬が、鉄道省山手線大塚駅職員の中岡艮一によって東京駅乗車口(現在の丸の内南口)で暗殺(刺殺)された事件。
大塚駅の転轍手であった中岡艮一は、以前から原首相に対して批判的な意識を持っていた。
中岡の供述によれば、原首相が政商や財閥中心の政治を行ったと考えていたこと、野党の提出した普通選挙法に反対したこと、また尼港事件が起こったことなどによるとされている。その他一連の疑獄事件が起きたことや、反政府的な意見の持ち主であった上司・橋本栄五郎の影響を受けたことなどもあって、中岡は原首相暗殺を考えるようになった
逮捕された中岡は、死刑の求刑に対して、東京地裁で無期懲役の判決を受けた。
その後の東京控訴院・大審院でも判決は維持され確定した。
なおこの裁判は異例の速さで進められ、また調書などもほとんど残されていないなど謎の多い裁判であり、その後の中岡の特別な処遇(3度もの大赦で1934年には早くも釈放された、戦時中には比較的安全な軍司令部付の兵となっていたなど
。中岡艮一とあいまって、本事件に関する政治的背景の存在を推測する論者も多い。

月と明星が接近

2018年02月08日 13時07分56秒 | 医科・歯科・介護
未明から明け方、東の低空で月齢の細い月と明けの明星の金星が接近して見える。
夜明けの東の空には冬の星座が勢ぞろいしていて明るい星々が色とりどりに輝いていが、その中にあっても金星と月の共演はひときわ目を引く。
地球照を伴った幻想的な細い月と金星の共演は、数ある月と惑星の接近の中でも随一の美しさで、早起きして見る価値のある光景だ。
肉眼や双眼鏡で眺めたり、写真に収めたりしてみよう。


都市型の介護予防モデル

2018年02月08日 10時47分53秒 | 【お知らせ】
介護予防の面から、社会参加は、健康長寿に良い。
人間関係が薄い都市型の介護予防モデルができないか。
従来のボランティアは、お手伝い型や一芸披露型、身守り型、拠点運営型などいわば直接支援が多かった。
だが、多数の拠点が必要になる都市では「プロ」による間接支援が重要と考えた。
社会的・公共的な目的のために、職業上のスキルや専門知識・経験を生かすボランティアを退職者や企業・事業者に担ってもらえないか。
そんな挑戦を昨年度から東京に隣接する千葉県松戸市との共同研究を始めた千葉大学予防医学センター(近藤克則教授)。
きっかけや仕組みがあれば、きっと広がっていく。
可能性と課題を探るシンポジウムを2月11日、松戸市民劇場で開く。

「若年性認知症」全国で推計3万8000人

2018年02月08日 10時22分31秒 | 医科・歯科・介護
65歳未満で発症する。
就職や解雇に追い込まれる。
18~39歳の若年期と、40~64歳の初老期に分けられる。
神経細胞が徐々に失われるアルツハイマー 型が多いが、若年性認知症の場合は、脳梗塞、脳出血を起こし、脳に酸素や栄養 が行かなくなり発症 するタイプが多い。
医療費の支援制度も知らされていない。
医療費が1割負担になるが、医師は「認知症ですね」と診断するだけで、医療費が1割になることを伝えない。
このため3割負担を続けたケースもある。
支援制度の充実や周知、職場の受け入れといった改善が期待されている。
職場の協力で、働き続けている人もいる。
働き盛りの40~50代の場合、経済問題に直面している。
ご本人だけでなく、ご家族の生活への影響が大きいにもかかわらず、その実態は明らかでなく、支援も十分ではありません。
ご本人や配偶者が現役世代であり、病気のために仕事に支障がでたり、仕事をやめることになって経済的に困難な状況になってしまいます。
また、子どもが成人していない場合には親の病気が与える心理的影響が大きく、教育問題にも関わる。

2月7日(水)のつぶやき

2018年02月08日 03時30分54秒 | 医科・歯科・介護

無冠の立場

2018年02月08日 00時55分18秒 | 沼田利根の言いたい放題
批判や中傷は、煙のようなもの。
徹は開き直った。
彼には彼なりに、自己肯定感があった。
社会的には勝者ではないが、さりとて敗者でもない。
無冠の立場であると覚醒したのである。
枯れ木も山の賑いとは言い得て妙ではないか。
世の中の流れは肯定感に満ちてもいる。
痴呆は認知症になり、認知症は病ではない。
老化の一つと捉えることもできる。
復興を福光と捉えれば、未来が見えてくるではないか。


無冠とは?
1位のないこと。
特別な地位や肩書きのないこと。
名誉ある賞をもらっていないこと。