建設的ジャーナリズム
何が起きたかを伝えるだけでなく、問題の解決策まで見いだせるような建設的な報道と議論を行うこと。
マティアス・ホルクスMatthias Horx
現在のジャーナリズムは、過剰にネガティブな事象に偏った報道を行っているとホルクスは指摘します。
実際に世界的に報道されているニュースの6割がネガティブなニュースだという統計もあります。もちろん、センセーショナリズムとネガティブな報道はいまにはじまったものではなく、「批判的精神」という名の下に、これまで受けついできたジャーナリズムの遺産です。
ネガティブな報道ばかりに浸っていれば、当然、不安があおられ、社会全体が恒常的なパニックや過敏なヒステリック状態になります。
不安を感じ、そこから逃れるための性急な解決案を望む人たちが増えれば、たとえば政界ではポピュリズムの政党の勢力拡大を許すことになります。
確かに、センセーショナルな話題は人の目を引きます。
ホルクスは、現状のジャーナリズムの体質と体制を抜本的に代えないかぎり、ジャーナリズムに将来はないとする一方、今日、ジャーナリズムには未曾有のチャンスが横たわる好機だともいいます。
よいジャーナリズムとは、見えるままの事実を報道するのではなく、意味のあるものとないものを判別し、事象の背景を探り、分析し、解釈したもので、いわば社会を照らす灯台の役割を担うものである。そのような役割は、あまたのフリーのニュースソースがあっても、それらに代替されるものではないとホルクスは考えます。
「建設的ジャーナリズム」とは、デンマークの二人のジャーナリスト、ハーゲルップUlrik HaagerupやギュルデンステッドCathrine Gyldenstedによって、2010年ごろから提唱されるようになったジャーナリズムの志向や手法です。「今日のニュースメディアで増えているタブロイド化や、センセーショナリズム、また否定的バイアス」に対抗し、「起きている悪いことや否定的な面を強調するのではなく、公平で正確でしかも社会的文脈に関連づけた世界を人々にみせることを目指す」(Constructive Institute)ジャーナリズムだとされます。
ハーゲルップは、建設的なニュースを報道するのに、以下のような問いかけをもつのがよいとします。
・そのことで独自の(特別の)発想はどこにあるのか?
・なにが解決になりうるか?
・ほかの人はその問題にどう関わってきたか?
・我々はそこからなにが学べるか?
・もしも違う風であることが可能なら、なぜ我々にそれができないのか?(Haagerup, 2015, S.97)
ハーゲルップは、建設的ジャーナリズムがかかげる改革路線が、デンマークだけでなく、世界で共通してジャーナリズムが抱えている問題を解決するのに必要だという確信を深めていきます。
穂鷹知美
何が起きたかを伝えるだけでなく、問題の解決策まで見いだせるような建設的な報道と議論を行うこと。
マティアス・ホルクスMatthias Horx
現在のジャーナリズムは、過剰にネガティブな事象に偏った報道を行っているとホルクスは指摘します。
実際に世界的に報道されているニュースの6割がネガティブなニュースだという統計もあります。もちろん、センセーショナリズムとネガティブな報道はいまにはじまったものではなく、「批判的精神」という名の下に、これまで受けついできたジャーナリズムの遺産です。
ネガティブな報道ばかりに浸っていれば、当然、不安があおられ、社会全体が恒常的なパニックや過敏なヒステリック状態になります。
不安を感じ、そこから逃れるための性急な解決案を望む人たちが増えれば、たとえば政界ではポピュリズムの政党の勢力拡大を許すことになります。
確かに、センセーショナルな話題は人の目を引きます。
ホルクスは、現状のジャーナリズムの体質と体制を抜本的に代えないかぎり、ジャーナリズムに将来はないとする一方、今日、ジャーナリズムには未曾有のチャンスが横たわる好機だともいいます。
よいジャーナリズムとは、見えるままの事実を報道するのではなく、意味のあるものとないものを判別し、事象の背景を探り、分析し、解釈したもので、いわば社会を照らす灯台の役割を担うものである。そのような役割は、あまたのフリーのニュースソースがあっても、それらに代替されるものではないとホルクスは考えます。
「建設的ジャーナリズム」とは、デンマークの二人のジャーナリスト、ハーゲルップUlrik HaagerupやギュルデンステッドCathrine Gyldenstedによって、2010年ごろから提唱されるようになったジャーナリズムの志向や手法です。「今日のニュースメディアで増えているタブロイド化や、センセーショナリズム、また否定的バイアス」に対抗し、「起きている悪いことや否定的な面を強調するのではなく、公平で正確でしかも社会的文脈に関連づけた世界を人々にみせることを目指す」(Constructive Institute)ジャーナリズムだとされます。
ハーゲルップは、建設的なニュースを報道するのに、以下のような問いかけをもつのがよいとします。
・そのことで独自の(特別の)発想はどこにあるのか?
・なにが解決になりうるか?
・ほかの人はその問題にどう関わってきたか?
・我々はそこからなにが学べるか?
・もしも違う風であることが可能なら、なぜ我々にそれができないのか?(Haagerup, 2015, S.97)
ハーゲルップは、建設的ジャーナリズムがかかげる改革路線が、デンマークだけでなく、世界で共通してジャーナリズムが抱えている問題を解決するのに必要だという確信を深めていきます。
穂鷹知美