
内容(「BOOK」データベースより)
宇宙はいつ、どのように始まったのか?人類永遠の謎とも言えるその問いには現在、ある解答が与えられている。ビッグバン・モデル。もはや「旧聞」の感さえあるこの概念には、実は古代から20世紀末の大発見へと到る意外なエピソードと人間ドラマが満ちていた―。有名無名の天才たちの挑戦と挫折、人類の夢と苦闘を描き出す傑作科学ノンフィクション。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
シン,サイモン
1967年、イングランド、サマーセット州生れ。ケンブリッジ大学大学院で素粒子物理学の博士号を取得し、ジュネーブの研究センターに勤務後、英テレビ局BBCに転職。TVドキュメンタリー『フェルマーの最終定理』(’96年)で国内外の賞を多数受賞し、’97年、同番組をもとに第1作である同名書を書き下ろす
青木/薫
1956年、山形県生れ。京都大学理学部卒業、同大学院修了。理学博士。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
詳細は読んでもらうしかないのですが
ビッグバンモデルという宇宙論に至った古代から現代までの数多くの天才科学者(ととりあえずまとめておきます)たちの栄光と挫折が小説のように生き生きと描かれています。
最後の章のあとにシンが置いている「エピローグ」が総括として大変面白い読み物になっています。
ここで、人類が生きている理由と意味は?
といった哲学的、宗教的なことまでに言及されている見事な総括エピローグなので、ここにたどり着く楽しみがあるというものです。
分からしめてくれた彼の次に選んだテーマはいわゆるビッグバン。元々物理博士号を取り、BBCのプロデューサーであった彼は、十分
過ぎるほどの科学的知識や手法を理解した上で、TVと同じように一般大衆に情報を伝え理解させる技術を用いて、難しい
テーマに取り組んでくれている。彼の作品では、数学や物理学、さらには天文学での歴史的なテーマを解読する数学者、科学者
たちの人間ドラマが描かれるのが特徴である。そして、訳者の青木薫が言う様に、彼の作品を通じてのコアはあくまでも「科学的
手法」に対するサイモン・シンの飽くことのない愛情であろう。この「宇宙創成」でも、「理論」「実験」「観測」の重要性を何度も強調
しながら、それぞれの分野で苦闘する学者たちの姿が読者を惹きつけて離さない。
彼の作品を読んでいると、魅力的な講師が喋る講義を受けているような気になる。今回は、特にそれぞれの章での纏めを章の
最後に付してくれており、以前にも増して分かりやすくなっている。私のような科学音痴が、またまた彼の次作「代替医療」を
読みたくなる、それほどサイモン・シンは魅力のある作家である。
地球の外、とんでもなく遠い星や宇宙空間を観測するにはどうしたらよいか。どのような装置で、どんな理論で立ち向かうか、といったことが描かれています。むずかしい数式や科学の理論は出てきませんし、知らなくても楽しく読めます。文系の方でも十分楽しめます。
『フェルマーの最終定理』『暗号解読』もそうでしたがサイモン・シン&青木薫さん翻訳の組み合わせは最高です。中学生でも読める明快さでありながら大人でも十分楽しめる科学読み物です。
この裏には相当地道な取材があったに違いない。それにしても科学者達ときたら、勝ち負け、プライド、ねたみ、憎悪、おごり、保身、屈辱... ドロドロの世界にいるんですね、皆さん!
そんな人間ドラマと同時に、当然、本書では歴史上の古い宇宙観と社会的・宗教的背景に始まり、ビッグバン理論が通説となった理論的背景、そして現在語られている宇宙論仮説の概略に至るまで、がすべて平易に説明されており、専門知識がなくても興味さえあれば、十分楽しめる。いや、楽しくて興味が湧いてくる、というべきだろう。
浅学のわたしは、ビッグバン理論は相対性理論から説明できる仮説の一つだと思い込んでいましたが、原子物理や天文学の発展が欠かせないものであったことを知りました。
ビッグバンでは、ヘリウムまでしか作られない... 宇宙膨張の速度を測る... 電波望遠鏡の意義...
おもしろ〜い!!
人類が宇宙創成の謎にどのように挑んできたかの歴史が凝縮されている。
物理・天文学の解説も素人向けでわかり易く丁寧で、また、登場する学者たちの生い立ち、
素性、人間ドラマも読み応え十分。
筆者の力量のさることながら、翻訳も素晴らしい!