編集部おすすめの関連記事
2013/11/06 (プレジデント社)
常に自分より優れた人間とつき合う努力をしているか
岡村繁雄=構成
江上 治
オフィシャルインテグレート 代表取締役
私の尊敬する経営者のなかでも、つねに自分より優れた人とつき合う努力をしているひとりが、株式会社イマジンプラスの笹川祐子社長だ。
笹川社長は大学を卒業したあと、出身地である北海道でパソコンスクールの運営に携わり、いろいろと責任のある仕事を任されていたが、縁があって上京。萌芽期にあったインターネット関連の周辺サポートビジネスを立ち上げた。
それが人材派遣会社のイマジンプラスである。
現在の売上高は36億円超。東京本社のほか、主要6都市に支社がある。
そのような女性経営者と知り合いになれたのは、本の出版がきっかけだ。笹川社長が、私の最初の著書の感想を、ご自身のブログで紹介してくださったのだ。
それがご縁で、いまでは大先輩であるほかの女性経営者も交え、ときどきお食事をご一緒させていただいている。
笹川社長は、たいへんな努力家であるだけでなく、ポジティブで明るい。しかも、人脈がすばらしい。各界の大物からかわいがられるのだ。
実際、社長の周囲には、一流企業の経営者や著名なコンサルタントも多いのだが、その彼らからも「なぜ、そんなにすごい人たちと知り合いになれるのですか?」と聞かれることがあるそうだ。
私もかねてから同じことを感じていたので、お目にかかったときに直接、笹川社長にお聞きしたことがある。教わったのは、次のような話だった。
笹川社長は、年間かなりの数の講演会やセミナーに出席している。端で見ていて、これだけ仕事が忙しくて、よく時間があるなと思うほどである。そのとき、どんな講演やセミナーであっても、必ず前の列に座るようにするのだそうだ。
そして、「今日、ここに出席している誰より、ここで学びを得て帰ろう」という気迫で、一生懸命話を聞く。しかも、ここからがすごいのだが、講演やセミナーで話を聞いて、いいと思ったことは、必ず実践するのだという。
そのうえで、実践した記録をノートに残したり、レポートにまとめたりして、次に同じ講師に会う機会がめぐってきたときに報告する。
「先生、これやっているんですよ」と、実際に成果を見せるのである。
すると、ほとんどの講師が「えっ、ほんとうに実践しているの?」と驚くそうだ。
逆説的な言い方をすれば、セミナーの講師が自分のノウハウを惜しみなく公開するのは、話を聞くだけで、ほんとうに実践できる人は数が少ないからだ。だからこそ、話を聞く側も、何度も聴講に通ってくれたりする。
そのようななかで、3カ月、半年といった期間、実際に検証してみて、その結果を報告にいくというのは、それだけで貴重だ。
そこから、「今度、お食事しましょう」「次は、ご招待しますから、またきてください」といったお声がけもいただくようになる。
ときには、「次のセミナーのときに、事例ということで紹介させてもらってもいいですか」と頼まれ、講師とのつき合いがはじまったりする。相手が同性の場合は、旅行に誘ってもらうというようなことも起きてくるのだ。
その笹川社長が、時間をつくって講演やセミナーに参加するのは、ふたつの目的からだという。
ひとつは、経営者としての自分の勉強のため。
もうひとつには、社員や周囲の人の代わりに話を聞いて、いいと思ったことを伝えたいからだ。つまり、周囲の人たちのためである。
それも、手当たり次第に参加するわけではなく、そのときどきで自分に必要な課題を意識して、講演会やセミナーを選ぶ。いつも、いまの自分にとって何が必要かという目的をもって、学びのアンテナを立てているのだ。
そのアンテナがあるからこそ、自分を引き上げてくれる人との出会いが生まれる。さらには、その出会いが、次の成長のための出会いを用意してくれるのだ。
江上 治(えがみ・おさむ)
オフィシャルインテグレート 代表取締役
1967年生まれ。有名プロスポーツ選手から経営者まで、年収1億円超えのクライアントを50名以上抱える富裕層専門のカリスマファイナンシャルプランナー。
サラリーマン時代には大手損害保険会社、生命保険会社の代理店支援営業における新規開拓分野および売上達成率で、全国1位を4回受賞。
損保会社では最短、最年少でマネジャーに昇格。生保会社でも最短でのマネジャー昇格を果たす。
独立後は、保険営業を中心としたFP事務所を設立。人脈ゼロ、資金ゼロから1000名を超える顧客を開拓し、これまでに通算600億円の保険契約を獲得。
著書にベストセラーとなった『年収1億円思考』がある。