齋藤 勇 (監修)
「トイレットペーパーがなくなる」「コロナはお湯で治る」緊急事態が起きるたびにまき散らされる流言飛語やデマ。
買い占めやパニックなどを引き起こすこれらの現象はなぜ起きるのか? デマはなぜすぐ伝播するのか?
なぜ信じてしまうのか?
集団的浅慮が起きるメカニズムを解説する社会心理学の解説書。
人々が陥る心理的メカニズムを、認知的不協和、ウィンザー効果、予言の自己成就、バンドワゴン効果、合意性の過大視、同調=集団の圧力ほか、さまざまな心理学理論をもとに、わかりやすく図解します。
内容(「BOOK」データベースより)
突然の脅威で日常が破壊されると人々はパニックに陥り、簡単にデマに踊らされる。
そんな様々な愚行に走ってしまう理由は集団や個人に働く心理効果のせいだった!?
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
齊藤/勇
立正大学名誉教授。日本ビジネス心理学会会長。
特に人間関係の心理学として対人感情の心理、自己呈示の心理などを研究。心理学番組の監修を務めるなど、心理学ブームの火付け役となった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
うわさが広がる量=話題の重要さ×内容の<あいまいさ>の定式で表されるという。
人々にとって重要事―だが、内容が明確に把握されていないとき、その度合いに応じて、うわさやデマは広がっていく。
<流言は知者で止まる>
一方、愚者は根も葉もない話を言い広めてしまうものだ。
知者はそのような愚行には及ばない。
つまり、事象を正確に理解し、あいまいさをゼロにすれば、かけ算の答えにあたる<デマの拡散>もゼロになるという定式。
人間には「物事を理解したい」という知の要求が根源的に備わっている。
だからこそ本質を見抜き、正と邪を冷静に判断できる眼を養うことが重要である。
デマはなぜ起こり、どのように拡散していくのか。
新型コロナウイルスという脅威や、情報があふれているSNSが発達したからこそ浮き彫りになった群集心理のメカニズムを紐解く一冊。
素朴な疑問のトピックを見開きで一個ずつ、文章とイラストを使って解説している。
心理学用語は登場するものの、内容はわかりやすくてサクサク読める。
デマや群集心理について興味があるけど、心理学って難しそうだなという人が手に取るのにちょうどいい内容。
個人的にはもう少し突っ込んだ事例や用語の解説があるとうれしかった。
「情報の単純化」の話があったけど、解説をシンプルにまとめすぎていて理論ありきで説明されているように映ってしまう(~だろうという言い回しが気になった)。
もっとトピックを絞って、事例の詳細な分析、統計的なデータからも見てみたかった。
もちろん、情報がデマかどうか判断する指針であったり、どういう場合に信じ込みやすくなるのかという基本はしっかり押さえてある。
情報の受け取り方だけではなく、自分から発信する上でも注意するポイントや、上手く使えば情報をわかりやすく伝えるコツにもなる内容も盛り込まれている。
人と集団、心のルールの違いを知っておくことは、この情報化社会を生きる上で大切なことだと思う。
群集心理として抗うことができないこともありますが、そうしたことが私たちの中にあることを意識できることで避けることができることもあるのではないでしょうか。
現在のコロナ禍の状況下で、これから起こるかもしれないいろいろな状況の下で、考えさせてくれること満載です。