大学の学費の平均額はどれくらい?
高いイメージが先行しがちな大学の学費ですが、実際には国立・公立・私立の種別ごとに金額の開きがあります。
また、授業料は毎年ほぼ一定ですが、初年度納入金は入学金が含まれるため、在学中でもっとも高い学費の支払いとなり、学費の高さを知る目安になります。
上記を踏まえて、国立・公立・私立の種別ごとの初年度納入金を、大学の学費の平均額として紹介します。
国際的に見ても高い。
私費負担の割合は交際的にみても高い。
経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均は30%程度なのに、日本は倍以上の67%。
国立大学の学費
国立大学の入学金と授業料は、文部科学省の省令により、「標準額」として金額を定められています。
国立大学の学費(2024年度標準額)
項目 | 標準額 |
---|---|
入学金 | 282,000円 |
授業料 | 535,800円 |
合計(初年度納入金) | 817,800円 |
出典:e-Govポータル「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」
大学側は、標準額の上限20%以内であれば、入学金と授業料の増額が可能です。そのため、大学ごとに学費の違いが出る可能性はありますが、国立大学の学費に大きな差はありません。
公立大学の学費
公立大学は大学や学部によって学費が異なります。
さらに、市区町村など地方自治体が税金を出資して運営されるため、その自治体に税金を納める地域内入学者に対して入学金を優遇する大学が多く、地域内・地域外で初年度納入金額が変わる場合もあります。
文部科学省が公表している、2023年度公立大学の初年度納入金の平均額は次のとおりです。
公立大学の学費(2023年度 大学昼間部)
項目 | 地域区分 | 費用 |
---|---|---|
入学金 | 地域内 | 224,066円 |
地域外 | 374,371円 | |
授業料 | 地域内・外共通 | 536,191円 |
合計(初年度納入金) | 地域内 | 760,257円 |
地域外 | 910,562円 |
出典:文部科学省「2023年度 学生納付金調査結果(大学昼間部)」
ただし、入学金は地域のほか、医学部や看護学部など学部によっても異なる場合もあります。また、初年度納入金の平均額は国立大学と大きな差がなくても、実際の初年度納入金は大学や学部ごとに開きがある点に注意が必要です。
文部科学省の「2023年度 学生納付金調査結果(大学昼間部)」のデータでは、公立大学の入学金は125,000円から564,000円、授業料は322,300円から696,000円の開きがあり、進学先によってかかる学費に差が出る可能性があります。
私立大学の学費
2022年5月時点の大学数は、国立大学が86校、公立大学が100校で、私立大学は622校と群を抜いて多く、7割以上は私立大に進学する状況です。国公立大学だけではなく、私立大学の学費の動向も押さえておきましょう。
国公立大学とは違い、私立大学は学校設備の維持や拡充にかかる費用を自己負担しなければならないため、入学金と授業料のほかに「施設設備費」を学生から集めます。
私立大学の学費(2023年度)
項目 | 費用 |
---|---|
入学金 | 959,205円 |
授業料 | 240,806円 |
施設設備費 | 165,271円 |
合計(初年度納入金) | 1,365,281円 |
出典:文部科学省「令和5年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金等平均額(定員1人当たり)の調査結果について」
私立大学の初年度納入金の平均額は、国公立大学より45万から55万円ほど高いです。
しかし、私立大学は国立大学のように標準額がなく、公立大学のように自治体による運営ではないため、大学や学部によって学費の設定が異なります。
以下で詳しく解説します。
学部によっても異なる私立大学の学費
私立大学は、大学や学部によって学費の差がありますが、学部による学費の違いには一定の傾向が見られます。
そこで、私立大学の学費を学部の系統別から紹介します。
私立大学の学費(2023年度)
学部系統 | 入学金 | 授業料 | 施設設備費 | 合計(初年度納入金) |
---|---|---|---|---|
文系 | 223,867円 | 827,135円 | 143,838円 | 1,194,841円 |
理系 | 234,756円 | 1,162,738円 | 132,956円 | 1,530,451円 |
医歯系 | 1,077,425円 | 2,863,713円 | 880,566円 | 4,821,704円 |
その他 | 251,164円 | 977,635円 | 231,743円 | 1,460,542円 |
全平均 | 240,806円 | 959,205円 | 165,271円 | 1,365,281円 |
出典:文部科学省「令和5年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金等平均額(定員1人当たり)の調査結果について」
上記のとおり、私立大学では文系より理系の学費が高く、また医歯系の学費は突出して高い傾向があります。
理系は実験や実習が多い分、文系よりも学費が高くなる傾向にあると考えられます。さらに、医学部や歯学部などは実習が多いため、初年度納入金だけで500万円近くの金額になります。
学費以外に大学でかかる費用
大学では、学費(入学金と授業料)以外にもさまざまな費用がかかります。
- 生活費
- その他
それぞれ詳しく解説します。
生活費
大学に進学すると、大学に通学するための交通費や、下宿であれば家賃や食費、光熱費など、日常の生活費の負担も大きくなります。
日本学生支援機構の調査によると、自宅から通う大学生(自宅生)の生活費は1ヵ月あたり約3万2,000円、アパートなどに下宿する大学生(下宿生)の生活費は1ヵ月あたり約9万2,000円です(※)。また下宿の場合、敷金や礼金、家電の購入などの初期費用も必要になるでしょう。
(※)日本学生支援機構「令和2年度学生生活調査結果」のデータをもとに試算
下宿生の生活費は住まいの家賃によって変わるとはいえ、自宅生の3倍近い生活費がかかる可能性を考慮して、教育資金を備えることが重要です。
その他
大学の授業に使う教科書は、授業料などの学費には含まれず、別途購入しなければなりません。またレポート作成に欠かせないパソコン購入も、大学生にとって大きな買い物の一つです。
ほかにも、部活やサークルなどの活動費にお金がかかる学生もいるでしょう。
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