みつとみ俊郎のダイアリー

音楽家みつとみ俊郎の日記です。伊豆高原の自宅で、脳出血で半身麻痺の妻の介護をしながら暮らしています。

怠惰、臆病、無知

2012-10-06 12:58:30 | Weblog
ある企業の経営する介護施設を4か月間で八十数カ所も回るというハードスケジュールな仕事を行っているせいか、東京にいる時間がどうしても多くなる。
そのたびに恵子を伊豆の自宅から車で彼女の実家まで連れていかなければならずそれだけが心配の種なのだが、「これもリハビリトレーニングの一つ」と割り切り、何とかこなしている。
伊豆の自宅にはTVがないのでTVを見るチャンスはないのだが、彼女の実家にいると、「そこにテレビがある」ためについ見るとはなしに見てしまう。
「また、どうせお笑い芸人ばかりの下らないおしゃべりだろう」と思って見ていた朝のワイドショーに、作家のなかにし礼さんが出ていた。
食道癌を患っていたそうだ。
「いたそうだ」という過去形なのは、ご本人曰く「癌は完治した」のだそうだ。
私には事の真偽に立ち入る見識も権利もないが、彼がその番組のインタビューのまとめとして言っていたことばが妙に心に残った。
「怠惰、臆病、無知」の三つが人間の最大の罪だとして(この罪の定義は人によっても宗教によっても異なるだろうが)、彼はこのうちの最初の「怠惰」の罪を犯してしまったから(つまり、検診とかをしっかり行っていなかったから)その後の2つの罪は犯すまいと思ったのだという。
彼曰く、どんな治療でも怖れずに受け(臆病にならずに)正しい知識をできるだけ得ようとして行き着いたのが陽子線治療であり、その治療によって自分はまだちゃんと生きていることができると彼は訴えているのだ。
そんな治療、お金があるからできるんだよとやっかむ人がいるかもしれないが(陽子線治療はまだ保険適用外の実費の治療方法だ)、そう思う人はまた別の罪も同時に犯すことになる。
嫉妬は人を不幸にするだけで決して人を幸福には導かない。
人が幸せに暮らす唯一の方法は「人と比較しない」こと。これしかないと私は思っている。
何々が悪い、アイツは金持ちで自分には金がない、政治が悪い、社会が悪い、上司が悪い、アイツが悪い、…こうした愚痴はすべて「比較」から来るものだと思う。
「アイツ」が悪ければ自分が良くなればいいだけの話。上司が悪くても自分がちゃんと仕事をしていれば良いだけの話。社会が悪かったら社会を良くするように頑張ればいいだけの話。政治が悪ければ自分が政治家になるか、そんな政治を無視してきちんと生きていくだけの話。
まあ、単純なことだろうけど、人の生き方にも幸せの尺度にしてもどこにも公式なんか存在しないのだからこう思うしかない。
だからこそ「比較」は無意味だし罪悪なのだと思う。
こんなことをなかにし礼がTVでが言っていたよと恵子に告げた。
「だから、リハビリで臆病になっちゃダメだよ」。
私としては、そういうニュアンスで彼女に彼のことばを告げたつもりだった。
なかなか新しいことに踏み出そうとしない彼女への叱咤激励のつもりでもあった。
すると、「そうですか。はい、頑張ります」と、軽く一蹴されてしまった。
私の思惑などとっくに見抜いているのだ。

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3 コメント

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Unknown (maya)
2012-10-07 07:02:02
比較しない…
わかってはいるけれど、これが一番難しい…
特に、一人で戦っているとき。
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re:比較しない (みつとみ俊郎)
2012-10-07 08:04:25
相手と同じ土俵に立ってしまうとどうしても比較されてしまうし、自分も相手と比較してしまう。なので、できるだけ早く「自分の土俵」を作り出すことです。どう頑張っても誰もここには「入ってこれないだろう」という土俵を作ってしまうことです。そうすれば「比較する、比較される」という不安は解消されるはずです。
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3つの大罪 (まなまな☆)
2012-11-05 09:54:47
初めまして。
伊豆高原に住んでいる母にこの話を聞きまして
3つのうちの1つが思いだせなくて
検索してコチラに来ました!

なかにし礼さんのお話だったんですね!
スッキリしました。
ありがとうございます☆





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