みつとみ俊郎のダイアリー

音楽家みつとみ俊郎の日記です。伊豆高原の自宅で、脳出血で半身麻痺の妻の介護をしながら暮らしています。

お風呂に入ることがこれほど大変なことだとは

2012-04-04 22:34:38 | Weblog
トイレのドアを開けてトイレに入り用を足して戻ってくるという動作はそれほど簡単なことではない。
退院前の最初の外泊時、私がトイレの前に立ち転倒を防止するために前を支えなければならなかったのが現在は私が手を貸さなくてもトイレに入って戻ってくることができるようになった。
大変な進歩だと思う。
その恵子と私が、今日自宅に戻ってきて初めてのお風呂に挑戦した。
そして、お風呂に入るという作業がトイレの比ではないぐらい大変な作業だということが身にしみてよくわかった。
歩行の介助にしてもトイレの介助にしても洋服のどこかをつかめば倒れないように守ることができるし、不自由な足を支える器具が足にはまっているので本人も安心感があるのだが、お風呂ではなにしろ裸なので本当に身体を支えるのが容易ではない。
小さな恵子の身体だからまだ良いのだが、「これが身体のすごく大きい重たい人だったら大変だね」と恵子と二人で笑ったが、いつもお風呂の介助をするヘルパーさんや看護士さんたちは本当に大変な作業だと思う。
でも、今日はそのお風呂が初めてできてかなり嬉しい。
一つまた新たなステップを越えたという感じがする。
何でも初めてできる喜びというのは何か楽器を小さい頃からやってきた私としては、音階を一つ一つクリアしていく喜び、曲を一つ一つマスターしていく喜びにも似ていると思った。
寝たきりの恵子の指がほんの少し動いた時の感動から始まって、トイレに一人で行けた時、車椅子を卒業して杖で歩行できるようになった時、など少しずつ一つ一つの山を越えていくのは何とも言えないぐらいの幸福感がある。
「今日はお風呂記念日にしようか?」と二人で言い合った。
それにしても、健康な左足の2/3ぐらいに痩せてしまった彼女の麻痺の残る右足を見るのがちょっと痛々しかった。
「最低もう2、3キロは太らないとね」という私の声に恵子はこっくり頷いた。

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