今日の「 お気に入り 」は 、アメリカの詩人 エミリー・ディキンソン( Emily Dickinson 、1830 - 1886 )
さん の 短詩一篇 「 教会へ通って安息日を守る人がいます ―― 、" Some keep the Sabbath going to Church ―― " 」 。
以下に 、訳詩 、原詩 の 順に 引用します 。
「 教会へ通って安息日を守る人がいます ――
わたくしは守ります 、家にいて ――
ボボリンクが聖歌隊員 ――
果樹園が 、ドームです ――
白い法衣を着て安息日を守る人がいます ――
わたくしは翼をつけるだけ ――
礼拝式のため 、鐘を鳴らす代わりに 、
わが愛らしい堂守りは ―― 囀 ( さえず ) ります 。
神さまが説教します 、有名な牧師さまです ――
ご法話はけっして長くありません 。
だからやっとのことで天国へ 、行き着く代わりに ――
わたくしは はじめから 、通い続けているのです 。 」
「 Some keep the Sabbath going to Church ――
I keep it, staying at Home ――
With a Bobolink for a Chorister ――
And an Orchard, for a Dome ――
Some keep the Sabbath in Surplice ――
I just wear my Wings ――
And instead of tolling the Bell, for Church,
Our little Sexton ―― sings.
God preaches, a noted Clergyman ――
And the sermon is never long.
So instead of getting to Heaven, at last ――
I'm going, all along. 」
( 出典: 亀井俊介 編「 対訳 ディキンソン詩集 ―― アメリカ詩人選 ( 3 ) 」 岩波文庫 )
( 筆者註: ボボリンク ・ bobolink は 、北米産の小鳥 。文庫本にある訳註 には 、
「 Bobolink 、ボボリンク ( 米喰い鳥 ) 。ボボリンク と聞こえる美しい声
で鳴く北米産の鳥 」と 解説されています 。
Chorister は 、教会の 聖歌隊員 、あるいは 聖歌隊指揮者 ( choir leader ) 。
Surplice は 、聖職者・聖歌隊が儀式に着る袖の広い白衣 のこと 、サープリス 。
wear my Wings は 、翼を身につける 。自分も鳥の仲間に加わっている感じ 。
wear my Wigs じゃありません 。
Sexton は 、教会の使用人 、寺男 、堂守 のこと 。鐘をつくことも仕事としている 。
Clergyman は 、聖職者 、牧師さま 。
all along = all the time はじめからずっと 。
文庫本にある訳註 には 、「 ディキンソンは教会の形式化した礼拝に参加すること
を嫌っていた 。自然と交わることによって 、直接的に天国へ到る思いをうたっている 。
ニューヨークの週刊誌 The Round Table ( 1864年3月12日 ) に " My Sabbath " と題して
発表された 。」と 解説されています 。
" God preaches, a noted Clergyman ――
And the sermon is never long. " について 、
「 自然の中では神がみずから語るような思いがする 。」と 脚註 が 付けられています 。 )