「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

当て勘 Long Good-bye 2023・07・29

2023-07-29 06:02:00 | Weblog

 

  今日の「 お気に入り 」 。

  備忘の為 、抜き書き 。

  「 統計数字はウソをつかない 」という話の文脈で出てきた逸話の一節 。

  引用はじめ 。

  「 4択のマークシートなら4分の1は当たる 。しかし 、全体から

   見れば 、適当に答えて当たる確率は大したことはない 。逆に正答

   率のデータを使って 、その問題が適切かどうかも判断できるのだ 。

    例えば 、すごく難しい問題にすると 、4択なら正答率が 25 %

   に集約する 。みんな考えずに回答するからそうなる 。 25 %に近

   い正答率だと 、これは問題が悪いと判断できる 。

    筆者は国家公務員上級試験の試験員をしていたからわかる 。この

   問題は経済産業省と財務省の若手が作っている 。2人で作り 、あ

   とは人事院の人がサポートしてくれる 。

    問題ができたら 、それをお互いに解き合って適切かどうかを確認

   する 。大学教師も1人お目付け役で入るが 、ほとんど口を出さな

   い 。

    ときどき適切ではない問題も作ってしまうが 、それは事後的に

   チェックする 。どうやってチェックするかというと 、正答率

   が 25 %に近い問題はダメなのだ 。

    要するに 、難しすぎるとみんなでたらめに答えてしまう 。逆

   に易しすぎると 、正答率が 100 %近くになるから 、これまた

   ダメな問題ということになる 。

    これをもう少しきちんとチェックするには 、成績順に受験者を

   4層くらいに分ければいい 。その人たちの正答率を計算すれば 、

   良問なら上位の人ほどできて正答率が8割 、その次が7割 、そ

   の次が5割 、下位層は3割などといった具合に 、きれいに階層

   が分かれる 。

    すごく難しい問題になると 、4択なら上位でも正答率が 25 %

   になる 。これではダメだ 。全員の正答率が2割とか 10 割とい

   った極端な割合に固まるのは 、成績との相関性がなくなるから試

   験としては不適切なのだ 。

    こうしたことから 統計学的にも 数学は 答えだけを見れば 、理解

   しているかが大体わかる 。たまたま当たることは 、人生長くやっ

   ていればみんな1例くらいはあるだろう 。当たれば超ラッキーと

   いうだけだ 。

    これは社会人になっても同じだ 。例えば 、新規ビジネスモデル

   で何が当たるのか 、リサーチを完璧にするのは難しいし 、様々

   な成功事例を探し出すのは時間もかかる 。だが 、1例だけ成功

   事例があったからといって 、それで喜んではいけない 。

    プレゼンテーションの際 、1例くらいはひねり出せば出てくる

   だろうが 、1例目を出したら必ず2例目 、3例目を聞かれると

   思った方がいい 。 」

   ( 高橋洋一著 「 FACT を基に日本を正しく読み解く方法 」扶桑社 刊 所収 )

   引用おわり 。

    その昔 、マークシート方式の試験問題があったこと ( 今もあるかも

   知れないが ) や「 当て勘 」なんて言葉が あったことを思い出しまし

   た 。今どきの若い人に「 当て勘 」言っても 、「 格闘技 」や「 ボ

   クシング 」の「 当て感 」ですか訊かれてしまう 。

   「 当てずっぽう 」で答えることを「 当て勘 」とは言わないらしい 。

   辞書にも載ってないとは知らなんだ 。今や死語のよう 。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする