小春日和の 、今日の「 お気に入り 」は 、平松洋子さんのエッセイ
「 なつかしいひと 」( 新潮社 刊 ) から「 辛子をぴしり 」と題した小文 。
備忘のため 、抜き書き 。
引用はじめ 。
「 辛子を溶くのは久しぶりのことだ 。
ぱかっと缶を開けてすくった黄いろの粉を小皿に入れ 、用心深く
湯滴をちょろりとたらす 。そこへ箸を一本だけ差し入れ 、くるく
る手早く回して溶くと 、つーんと鼻に抜けるあの鋭い香りが立ち
昇ってくる 。
辛子の香り! なつかしいような 、うれしいような 。でもせっか
くまた会えたのに 、そんなに急いでどこへ消えてしまうの 。鼻先
から脳天へ駆け抜けてゆくところへ 、声をかけたくなる 。ここで
遭ったが百年目 、ゆめ逃すものか 。小皿を逆さにひっくり返す 。
辛子片手に思わず前のめりになってしまうのは 、菜の花のお浸し
のためである 。洗って切り分けた菜の花を 、湯を沸かした小鍋で
さっとゆでる 。冷水に取るなり 、ぱきんと冴え渡る緑いろ 。掌の
なかでやわらかく搾 ( しぼ ) ってほぐすと 、菜の花がああこれで
ひとしきり終わったと息をつく 。だから 、おおあわてで溶き辛子 。 」
引用おわり 。
( ´_ゝ`)
つーんと鼻に抜けるあの鋭い香り 、簡便なチューブ入りにはない 。
( ついでながらの
筆者註:「 ねりからしの作り方( 3~4人前 )
①小さめの器にヱスビーからし小さじ2 ( 3g )
を入れ 、水 ( ぬるま湯 ) 小さじ1 ( 5ml ) を
加えてよく練ってください 。
②ラップをして 、4~5分間おいてからご使用
ください 。
【 使用上の注意 】
水で練った後は早めにお召し上がりください 。
● 開封後は吸湿・虫害・退色を防ぐため 、上ぶたを
しっかり閉めて冷暗所に保管してください 。
● 上ぶたを開ける際 、缶切りは使用しないでください 。
● 中のアルミ箔は 、スプーンなどを使用し 、指のケガに
注意して開けてください 。」
以上 円柱状の小さな缶の胴に書かれた「 ヱスビーからし
の使用法 」 。)