読了しました、『モダンタイムス』。
伊坂幸太郎作品で、「魔王」の続編に当たります。
前作から50年後を描いた世界。
魔王では安藤兄が「考えろ考えろ」と大衆心理に対して真っ向から歯向かっていったが、社会が扇動されていくなか、悲劇的な結末を迎える。
安藤弟は兄の意思を継ぐが、兄とは違ったアプローチで社会と対峙していこうというところで「魔王」は終わる。
最後はちょっと物足りなさを感じてしまったが、この「モダンタイムス」で完結する。
魔王という完全なる悪玉は単純には存在せず、様々な「システム」のなかで複雑に入り組んでいる。
魔王で敵役となる犬養首相も個としての魔王ではない。
全ては社会を構成する様々なシステムのなかで生み出されていく。
著者があとがきに記述していたが、同時期に「ゴールデンスランバー」を執筆していたらしく、ある種「モダンタイムス」と対になっている。
「ゴールデンスランバー」では大きな権力に対して逃げに逃げ、「モダンタイムス」ではそれを追いかけていく。
伊坂作品の持つ世界観が余すところ無く発揮されているいい作品だと思います。
是非「魔王」の後に読むことをオススメします。
モダンタイムス (Morning NOVELS) | |
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講談社 |