
医食同源
食医同源でもいいが、この言葉については知らぬ人のほうが少ないくらいで、中華料理の話にでてくるくらいである。それも科学の発展とやらに伴う健康食品やサプリメントの流行に伴い、食事よりそれで栄養素をとることで薄れてしまっているといえる。サプリなどが安全であるという保証はどこにもなく、ある研究ではサプリを日常的にとると発がんが増えるというものもあり、寿命が縮むというものもある。単純にいってもそれが麻薬であれ覚せい剤であれ栄養であれ糖であれ、それを直接与えると人間はむしろ弱くなる。
サプリは急速に欠乏した栄養素を補う点では意味があり、サプリを全否定しているものではない。しかし本来食材の中に含まれているような、数千種類から数万種類の栄養素すべてが補えるはずはなく、そのサプリに入った栄養素もどれくらい有効に働いているのか今の科学ですべて解き明かせているとは到底いえない。素人的に考えてもサプリに含まれる重要栄養素だけでなく食物に入ったほかの物質もいろいろ絡んで栄養素が働くと考えたほうが自然である。どこまでいっても健康補助食品やサプリなどというものは、補助以上の価値はない。
また食べるときは栄養素以外でも考慮してほしい。まず常に意識したいのは
1.季節に合わせた食べ物をとるよう工夫すること
2.日本の風土にあったものを食べること
3、食物全体を食べること
の三つである。
1.であるが例えば夏の野菜には体を冷やす作用があるし、冬の野菜には体を温める作用がある。それをすべて覚えるのは難しいので古来から伝わる旬をうまく生かすことが食べる上でとても重要である。2.は住んでいる土地でとれた食材を重視するということでもある。現代では日本の食材を重視するということになろうか。雪国と南国では育つものもちがい、人格だって変化してくる。それに応じた食事が各地で作られているはずなのでそれをおろそかにしてはいけない。最近は日本の食材を重視したイタリアンやフレンチレストランも増えているし、高級食材より体に価値が高いものを摂取していただければ幸いである。3.は小魚やエビ、野菜、米や麦などにとくにあてはまる。もともと医食同源の考え方では自分の悪いところ(臓器)を食べよという教えがあるが、そればかり食べると今度は偏ってしまうため全体を食べることがすすめられた。
また東洋医学においての医に言及するならば、漢方や鍼灸は対症療法であり病気を根治するものではない。漢方を体質を変えるためとか言いながら飲み続けている人がいるようだが、まさにどうしようもない使い方である。それは皇帝に施される治療や、東洋における官位の違いを見れば一目瞭然であり、漢方や鍼灸は病気になった一時において処方されるものであり、日常的に健康を支える基礎は東洋医学的には食事と気功になろう。気功というとオカルト的に聞こえてしまうが、哲学、経絡、呼吸法などを意識することは有効に人体に作用する。病気を治すのは己自身であり、それがサプリであれ健康補助食品であれ漢方であれなんであれ、そんな道具は二の次三の次でしかなく、自分の「能動的な行動=食や気功的なことをもっと実践すること」こそが、本質的にあなたを健康に導くものだと思われる。
(写真はネットよりお借り)