La grande bellezza 偉大なる美(邦題 グレート・ビューティー/追憶のローマ)
監督 パオロ・ソレンティーノ
グロテスクでもあり、美しくもある作品
オンラインで何気なく見ていたところ「偉大なる美」がどんなに素晴らしい映画であるかについて語る必要がある、というページが出てきた。
ジャーナリストでもあり作家でもあるロベルト・コントロネオという人の文章である。
読んでいて気になったので、数回(断片的にが多い)見た映画であるが、改めて見てみた。
アカデミー賞で、外国語映画賞のオスカーも獲得した、現在イタリアを代表する監督の一人であるパオロ・ソレンティーノ氏の2013年の作品で、140分の長編。
コントロネオ氏曰く、イタリアの知識層が夕食の席やアペリティフの際、この作品がいかに醜いかとか失敗作であるかとか過大評価されているとかの話になるだろう、と言うのだが、実はまさにこの経験を少し前にしている。
親しい友人に、世界でも最も珍しい本「コーデックス・セラフィニアヌス」の作者、業界ではかなり知られている芸術家ルイジ・セラfフィーニがいるが、彼と一緒に3人で、ミラノのいつもの場所に食事に行った時のこと。そこはテレビが何台か置いてあるとても気さくなところで、入ったらたまたまテレビで放映してたのに出くわした。
「この映画は何度か見たけれど、あまり好きではない。いいと思ったことはない」と言うルイジに、その時は私も賛同した。
しかし、好きではないと言ったものの、かなりチラチラと画面を見ている。それは私も、もう一人の友人も同じで、気になるのである。そして、いつの間にか3人とも画面に見入っていた。(もちろん食事が終わったら退散したが)
ルイジのような超知識人でも嫌いと言う。
しかし、嫌い、醜いと言いながら、人を惹きつける魅力がこの映画にはあると思う。
何故か素直に好きと言えない、いや、嫌いと言いながらも気になってしまう、見ていてなんだか身震いしてしまうような作品だと。
また、この作品のすごいところは、好きでも嫌いでも、パッと見ただけで、あ、あれ、とわかってしまうことである。
なにこれ?なんの映画~?ということが多い中、よく考えてみるとこれはかなりすごいことだと思う。
この時も、間髪入れず、ルイジが「偉大なる美」だ、と言ったが、一瞬でわかってしまうほどインパクトがある作品ということである。
さて、ローマの映画で最も魅力的なのは「ローマの休日」だと思うが、ローマの名所をストーリーの中に実に上手く入れて紹介し、何度見ても飽きない。
しかし、映像という点でみると、「偉大なる美」は「ローマの休日」を完全に上回り、ローマ各地の美しさを実に見事に表現していると思う。
コロッセオやサン・ピエトロはもちろんだが、サン・ピエトロ・イン・モントリオ、そしてエンドロールで映し出されるテヴェレ川から見たローマの景色などは圧巻、素晴らしい映像だと思う。
そして、この映画の魅力は、ローマの風景を単に取り入れただけではなく、コントロネオ氏の言葉を借りるなら、宗教、死、性、無などを移し出したものであり、逆にそういったものを表現できる都市は、ローマ時代から現代まで歴史の重なっているローマしかない、と。
ジェップ・ガンバルデッラ(トーニ・セルヴィッロの抜群の演技)は、1冊しか本を書いていないが、モード、演劇の評論、ジャーナリストで、派手な生活を送っている。26歳でローマに来て65歳の誕生日を迎え、人生を回顧するのであるが、いろいろなストーリーの色付けが素晴らしい。
台本は、ソレンティーノ氏とウンベルト・コンタレッロ氏(友人の友人でもある)で、各場面でのセリフにも印象に残るものが多数ある。
たぶん、最初はグロテスクな部分が目について好きになれないかもしれないが、これがフェリーニ亡き後の「フェリーニ的」いや、これこそ「ソレンティーノ的」作品だと思って、ぜひ一度は見てほしい。
なお、コーラスを効果的に使った音楽も実に見事に雰囲気を醸し出している。必見。
さすがに有名なので日本でも出ています。
興味がある方はぜひどうぞ。
監督 パオロ・ソレンティーノ
グロテスクでもあり、美しくもある作品
オンラインで何気なく見ていたところ「偉大なる美」がどんなに素晴らしい映画であるかについて語る必要がある、というページが出てきた。
ジャーナリストでもあり作家でもあるロベルト・コントロネオという人の文章である。
読んでいて気になったので、数回(断片的にが多い)見た映画であるが、改めて見てみた。
アカデミー賞で、外国語映画賞のオスカーも獲得した、現在イタリアを代表する監督の一人であるパオロ・ソレンティーノ氏の2013年の作品で、140分の長編。
コントロネオ氏曰く、イタリアの知識層が夕食の席やアペリティフの際、この作品がいかに醜いかとか失敗作であるかとか過大評価されているとかの話になるだろう、と言うのだが、実はまさにこの経験を少し前にしている。
親しい友人に、世界でも最も珍しい本「コーデックス・セラフィニアヌス」の作者、業界ではかなり知られている芸術家ルイジ・セラfフィーニがいるが、彼と一緒に3人で、ミラノのいつもの場所に食事に行った時のこと。そこはテレビが何台か置いてあるとても気さくなところで、入ったらたまたまテレビで放映してたのに出くわした。
「この映画は何度か見たけれど、あまり好きではない。いいと思ったことはない」と言うルイジに、その時は私も賛同した。
しかし、好きではないと言ったものの、かなりチラチラと画面を見ている。それは私も、もう一人の友人も同じで、気になるのである。そして、いつの間にか3人とも画面に見入っていた。(もちろん食事が終わったら退散したが)
ルイジのような超知識人でも嫌いと言う。
しかし、嫌い、醜いと言いながら、人を惹きつける魅力がこの映画にはあると思う。
何故か素直に好きと言えない、いや、嫌いと言いながらも気になってしまう、見ていてなんだか身震いしてしまうような作品だと。
また、この作品のすごいところは、好きでも嫌いでも、パッと見ただけで、あ、あれ、とわかってしまうことである。
なにこれ?なんの映画~?ということが多い中、よく考えてみるとこれはかなりすごいことだと思う。
この時も、間髪入れず、ルイジが「偉大なる美」だ、と言ったが、一瞬でわかってしまうほどインパクトがある作品ということである。
さて、ローマの映画で最も魅力的なのは「ローマの休日」だと思うが、ローマの名所をストーリーの中に実に上手く入れて紹介し、何度見ても飽きない。
しかし、映像という点でみると、「偉大なる美」は「ローマの休日」を完全に上回り、ローマ各地の美しさを実に見事に表現していると思う。
コロッセオやサン・ピエトロはもちろんだが、サン・ピエトロ・イン・モントリオ、そしてエンドロールで映し出されるテヴェレ川から見たローマの景色などは圧巻、素晴らしい映像だと思う。
そして、この映画の魅力は、ローマの風景を単に取り入れただけではなく、コントロネオ氏の言葉を借りるなら、宗教、死、性、無などを移し出したものであり、逆にそういったものを表現できる都市は、ローマ時代から現代まで歴史の重なっているローマしかない、と。
ジェップ・ガンバルデッラ(トーニ・セルヴィッロの抜群の演技)は、1冊しか本を書いていないが、モード、演劇の評論、ジャーナリストで、派手な生活を送っている。26歳でローマに来て65歳の誕生日を迎え、人生を回顧するのであるが、いろいろなストーリーの色付けが素晴らしい。
台本は、ソレンティーノ氏とウンベルト・コンタレッロ氏(友人の友人でもある)で、各場面でのセリフにも印象に残るものが多数ある。
たぶん、最初はグロテスクな部分が目について好きになれないかもしれないが、これがフェリーニ亡き後の「フェリーニ的」いや、これこそ「ソレンティーノ的」作品だと思って、ぜひ一度は見てほしい。
なお、コーラスを効果的に使った音楽も実に見事に雰囲気を醸し出している。必見。
さすがに有名なので日本でも出ています。
興味がある方はぜひどうぞ。
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