(写真には『四君子』と『唐草文様』が認められる・・・祖廟にて)
吉祥文様
内田敏昭氏曰く、中国では古来より縁起の良い物を大切にする習慣があるそうです。
縁起物は文様化。
中国歴代の美術作品に施された文様を見ると、人々が古代より抱いてきた自然観、幸福感、人生感等が反映。
文様の歴史を考えると、人々にとり『良い物』『好ましい物』は、『吉祥』の象徴として文様化。
それらは中国から日本に美術品等とともに伝えられ、日本人の思想と深く結びつくようになった。
中国語は意味が違っても発音が同じ言葉が多くあり、縁起の良い物と同じ発音をするものは吉祥の象徴とされてきた。
問題にしている蝙蝠(こうもり)も『蝙』が『福』と同音であることから、幸福の象徴とされたらしい。
また別意としては、夜に活動するこうもりは闇に屈しないというところから、魔よけの意味合いもあるそうです。
こうもり文様記録写真↓
http://blog.goo.ne.jp/usuaomidori/e/499752d1f06234b16697b42c3ef8c177
他にも
① 『魚』
『有余』(有り余る)と同じ発音をする『魚』
富や子孫繁栄の意味。
特に二匹の向かい合わせに繋いだ魚は『双魚紋』といい、仏教と関わりの深い文様。
釈迦の足の裏などに刻まれているそうです。
② 『四君子』
植物を意匠とした吉祥文様は、主にその生態や故事に由来。
最もよく使われるのは『四君子』と呼ばれる、梅・竹・蘭・菊。
梅=厳寒を耐え忍び、春一番に咲くため強い忍耐力と知恵を意味。
竹=常緑で折れにくいところから、不変・節操を意味。
蘭=清楚で高貴な様から善人や人格者。
菊=放射線状の形から太陽になぞられ、百花中の最上位とされている。
菊+流水=不老不死の象徴。
(菊慈童という中国の王が、流刑先で菊の葉に仏典を記すとその葉に付いた露が霊薬となり、それを呑むと不老不死になったという故事に由来。)
( 日本では、重陽(陰暦九月九日)の節会に菊の花に真綿を被せ、それについた露を飲めば、無病息災や災難除けになるといわれ、現在でもこの習慣は残ってるそうです。
カブキでも地位の高い殿や貴族が、聞くの朝露を扇に集めて飲むといった場面がよく出てきますが、道理で・・・納得いたしました。)
③ 『鳳凰』
桐の木には鳳凰が住むとされ、古くより皇室にゆかりのある者だけに許される高貴な文様。
鳳凰記録・写真↓(2)
http://blog.goo.ne.jp/usuaomidori/e/55d825f8ce8510d8f81c0a9c29265fc8
http://blog.goo.ne.jp/usuaomidori/e/6b9fc5ea52aefb921792747d5862851e
④ 『桃』
桃は、三千年に一度だけ実が成り、それを食べると寿命を延ばすとされる西王母伝説から長寿の象徴。
⑤ 『柘溜』 = 日本では 『吉祥果』
柘溜は実の中に多くの種を持っていることから子孫繁栄の意味を持っています。
日本でも鬼子母神の象徴として『吉祥果』と呼びます。
この 『柘溜』はイランの文様にもことごとく使われている。
貴重な遺跡の写真を見ても、天女や女の周りには多くの植物に混じった、はっきりと『柘溜』と認められる文様が、唐草文様などとともに描かれた物が多い。
以前聞いたうる憶えの話ではあるが、『柘溜』は古代ペルシャの時代からイランでも縁起物の象徴とされてきたとのこと。
今回の中国旅行によって日本とシルクロードがいろんな視点からつながってきたことに喜びを覚える。
内田敏昭氏 参考