もう、一ヶ月以上も前のこと。
7月5日。
奈良県の龍田大社で行われた風鎮祭のラストを飾る奉納花火を見た。
天武天皇(375年)に始まると伝えられ、1300年の歴史を誇る祭りという。
【暴風洪水がおこらない様に】という風鎮祈願。正しく風鎮大祭なのである。
花火は神様の方向(山)に向かって行う。
すぐそばには鳥居、そして本殿。
奉納花火は手筒花火は白装束(白い着物)に金の袴で身を包まれた神職から始められた。
以上のことは、先月このブログでも『奉納花火』の項で記録した。
手筒花火の勢いは思いのほか大きく天高く上がる。
これならば神様に人々の思いも届くであろうと感じたものである。
手筒花火は勢いを増し、風に乗った火の粉は私たちにも降り掛かったことを今も思い出す。
火の粉を浴びると無病息災とも言われている。
ありがたい、火の粉。
煙と火の粉と人々の感性は天高く上り詰める。
奉納花火は、ナイアガラの滝という花火で幕を閉じる。
鮮やかに上から下に滝が流れるような花火。
まるで劇場の緞帳である。
これで終わったという気分。
人々は早々と龍田大社を去る。
その潔さは気分が良い。
祭の後によく出会う光景。
祭や神事の後を拭うような目で見て回る。
必ず、後を片付けておられる世話役や関係者、氏子の方々がいらっしゃる。
そうして、この日もそうだった。
世話役の 威勢の良いおっちゃんは、縄を巻いておられる。
龍田大社で巻かれる長い綱は、まるで龍の化身のようである。
おっちゃんは気を良くして、
「祭はな、後がだいじやねん。こういったとこも、写真、撮っといてや。」
「来年は奥さんも花火、しいや。六月頃が受付やさかいな。わしも今年もしてんで。」
「迫力、あったやろ。来年も来なあかんで。」
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と、話は絶好調である。
終始一貫してにこやかなおっちゃん。
おっちゃんの写真も何枚か撮らせていただき、綱を巻かれるのも終わられた頃合いを見計らって、私はおっちゃんに別れを告げた。
おっちゃんは後から慌てて追いかけてこられた。
「これ!あげるわ。」
おっちゃんの手には奉納花火の使われた後が二本。
そのうちの一本を下さった。
「これ、縁起、ええねんで。飾っとき。・・・・・・。ほんまは持って帰ったら、あかんのかもしれんけどな。Hahaha・・・.」
いただいた奉納花火の後の貴重なものとおっちゃんの威勢の良い笑い声を後に、私は龍田大社に別れを告げた。
最後になりましたが奉納手筒花火の際に親切にしていただきました皆様方、そしてこの記録に記録させていただきました優しいおじさま、誠にありがとうございました。
心より御礼を申し上げます。
文中の奈良弁は間違っているかもしれません。私は奈良弁を知りませんので、使うことができません。もしかしたら適当な関西弁(大阪弁や京都弁のチャンポン)になっていると思いますが、お許し下さい。
2009年7月5日
奉納手筒花火 21:00~22:00
奈良県生駒郡三郷町
龍田大社