乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

法隆寺 大宝蔵院で 『玉虫厨子』と『百済観音』を楽しむ。

2009-08-14 | 美術・文様・展示物



  法隆寺 大宝蔵院

 

 先日 法隆寺の大宝蔵院を時間をかけて楽しむ。

 さらりと見るつもりが二時間程度。

 博物館や美術館で時間がかかるのはいつものことである。

 

 そもそも今回法隆寺に行った理由は、『玉虫厨子』と『百済観音』

 子どもと雑談する途中『玉虫厨子』と『百済観音』が話題になったからだ。

『玉虫厨子』と『百済観音』は すばらしくもあり美しくもあった。

 

『玉虫厨子』の近くには金色の『しゃり鉢(呼び名が違うかもしれない)』や『しゃり箪笥』や『百万塔』等があった。

 おそらく八十代と思われるご年配の二人づれの女性が金色の鉢にみとれられ、
「きれいやねぇ。」
と大きな声で話され、次に『しゃり箪笥』の前で、
「本当にきれいやねぇ。今でもすぐに使えそうやねぇ。」
などと話されていた。

 私はそれらの言葉に、固まってしまった。

 さらりと流せばいい。

 だが、意味をうがってとらえるならば、ある意味 恐怖物語。

 怖いような、ジョークのような複雑な心境で居心地が悪かった。

 ちなみに『百万塔』は四方から見ることができ、神妙な気分になったものである。

 

『百済観音』は見とれ、その場を動けなくなるほどに感動した。

 木造の弥勒菩薩である『百済観音』の壷を持った左手は、滑らかで美しく、愛を感じる。

 穏やかなお顔の表情。

 凛々しい胸板。

 長身のお姿はまるで曼荼羅(宇宙)からあらわれたように感じてしまう。

 天井に描かれた鳳凰は『百済観音』の回りで舞い、『百済観音』を守るように思えてしまう。

『百済観音』のいらっしゃる御部屋は一種独特の時空を超えた神聖な空間か・・・。

 一歩その御部屋に足を踏み入れると自分の心さえも浄化されるようなありがたい錯覚に陥る。

 法隆寺に行って良かったと思える瞬間である。

 

 法隆寺というだけあって『聖徳太子絵伝』や『聖徳太子の掛け軸(呼び名が違うかもしれない)』等もある。

 奈良では聖徳太子に関連した絵や像が多くの寺で見ることができる。

 今回行った法隆寺の聖徳太子の前でも、手を合わされる人々の姿を何度か見ることができた。

 人々の心の中には聖徳太子を愛する心が根づいているのだろう・・・。

 

 木製の鳳凰があった。

 これも美しい。

 見事な彫りであった。

 

 他、今回気になったのは鏑矢(かぶらや)。

 仏像等も多く展示され、楽しい時間を過ごすことができた。

 



              2009年8月  奈良県 斑鳩町 法隆寺にて 



   
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京の町家に作られた 並河靖之七宝記念館で、並河靖之の七宝を楽しむ

2009-08-14 | 美術・文様・展示物






     京の町家に作られた 並河靖之七宝記念館



 先日 並河靖之七宝記念館にいく。

 ここは京都の東山三条。

 三条京阪から岡崎に向かい途中。



 並河靖之七宝記念館は 七宝作家の並河靖之(1845~1927  江戸時代末誕生)の旧宅。

 明治大正時代に活躍した七宝作家である。

 並河靖之の作品は 欧米で絶大な人気を博したそうだ。



 庭は小川治平衛作。民家に琵琶湖疎水を用いた最初の庭園。

 こじんまりとして、居心地は良い。



 並河靖之七宝記念館で説明をされていた男性は並河靖之に大してよほど誇りを持っておられると感じる。

 丁寧な説明だが,プライドが高い。

 私が、
「七宝焼き・・・。」
というと、畳み込んで
「七宝!!」
と気合いを入れて正すように話される。

 結構不愉快。



 ここでの小川治平衛の作品を七宝焼きと呼ばれるのは好まれないらしい。

 窯元の親父さんが【器のことを茶碗と呼ぶ】のはアーチストとして格好良いが、【茶碗を器と呼んでくれ】と押し付けられると、すばらしい作品でさえも急に色あせてしまう。

 ちなみに 七宝は元ヨーロッパでといった説明をされていたが、エナメル作品は元を正すと、中東までさかのぼる。

 小川治平衛の作品は美しいが、説明は一般的で自慢話にとどまり、好ましくない。



 七宝の作品つくりの過程を詳しく説明して下さったが、私は簡単な七宝焼なら高校の頃に 一時凝ったことがある。

 東山の七宝焼の材料店で蚰薬やアクセサリの土台を大量に購入。

 知人のお宅の釜で焼かせていただいた。



 私は当時 薔薇等の輪郭をかたどり、蚰薬の液をといておいてみた。

 どうも七宝焼特有の細かい細工は面白くない。

 ピンセットで集中してはみたが、芸術的なほどの繊細な絵は描くことはできない。

 所詮素人のお遊びなのである。



 私は独自に、細い平べったい針金をくるくるとねじって模様を置き、そこに色を置いて焼いてみた。

 七宝焼らしからぬ手法ではあったが、作品としては結構面白いのではないかと自負していた。

 七宝焼は焼きのもと同じく私の肌には合っているが、自宅に釜を用意できず、両方断念。

 まぁ、こんなものである。



 当時 アクセサリーは友人に譲り、今手元に残るのはイヤリング一つきりである。

 そいいった経緯で、私は七宝というよりも七宝焼の方が親しみを感じ好きな言葉であり、好きな部分を並河靖之七宝記念館の説明者によってけがされた感じがした。

 今は京都には住んでないとはいえ、同じ京都人として、並河靖之七宝記念館の説明者のこの偏ったプライドは恥ずべきものと感じる。



 

 

   並河靖之七宝記念館

   〒605-0038
   京都市東山区三条通北裏白川筋東入掘池町388 
   (京都市東山区三条通神宮道一筋目上る西入る) 

    電話 fax 075-752-3277

    入館料 600円 
    開館時間 10:00 ~16:00
    休館日月曜・木曜日


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『ルーブル美術館展』 京都市立美術館

2009-08-14 | 美術・文様・展示物



    『ルーブル美術館展』京都市立美術館

       

 先日、京都で開かれている『ルーブル美術館展』を楽しむ。

『ルーブル美術館展』は現在、大阪の中の島でも開催。

 京都の『ルーブル美術館展』は17世紀、大阪中之島は子どもがテーマ。

 娘の話では子どもテーマの中之島も楽しめたそうだ。

 

 ルーブルといえば なさけないことに、私は『モナリザ』とゴヤの『裸のマハ』『着衣のマハ』くらいしか覚えていない。

 これらは部屋のどの位置にあったかまで覚えているから不思議だ。

 私はその頃 十代の感性を目一杯広げて、ゴヤの『裸のマハ』『着衣のマハ』を食い入るように見ていたことを覚えている。

 

 今回の『ルーブル美術館展』、結構有名な絵がきていた。

 数もそこそこあり、見るのに時間がかかる。

 17世紀の風俗画、宗教絵画、静物画、人物画、風景画等盛りだくさんであったが、特に風俗や俗習を細やかに見ると面白みを感じることができる。

 また宗教や神話を知っているとよりいっそうこの展覧会を楽しむことができると思う。

 ただし私はキリスト教等、宗教のことはほとんど知らないのでお手上げ(笑み)

 

 森で盗賊や殺しの場面がさらりと書かれる田園風景は鮮やかに私の心に残る。

 ただし、作品名は忘れた。多分『襲撃』だと思うが、自信はない。

 

『大工ヨセフ』の実物をはじめてみた。

 いや、以前見たのかもしれないが、意識下にない。

 同行人は、『大工ヨセフ』は記憶に新しいという。

 彼はナポレオン関係や有名絵画(『モナリザ』や『裸のマハ』『着衣のマハ』など)に加えて、『大工ヨセフ』も覚えているという。

 何日もかけて見たルーブル美術館の作品は,印象が深かったのだろう・・・。

 

 今回もヤーコプ・ファン・ライスダールの作品があった。

 

 フェルメールの『レースを編む女』には観客は集中。

 彼女のそばの聖書らしき書物が印象深い。

 

 ハリスの『リュートを持つ道化師』の顔は見ているだけで笑いがこみ上げてくて、後には嫌な夢を見たような錯覚に陥る。

 それだけ印象深い『リュートを持つ道化師』は赤(朱色)で見事に当時の飲酒や喫煙、喧嘩をする庶民の姿を巧みに描いているように感じる頃ができる。

 酒になじんだリュートの調べが心地よくこちらに届いてきそうだ。

 私はリュート音楽が好きなので、関心を持ってこの絵と遊んでいた。

 

 レンブラントの『縁なし帽をかぶり、金の鎖をつけた自画像』は 若干私の思い描くレンブラントの表情と異なり、興味深い。

 見られてよかった。

 

『ムール貝を食べる少年たち』のムール貝には子(卵)は無い純粋な貝だった。

 私はイタリアの食堂で丼鉢に出てきた大衆のムール貝を思い浮かべ、同行人はフランスで食べたレストランの味を思い浮かべ、絵の前で笑っていた。

 二十数年の時を隔てての、年代による旅のこの温度差は大きい。

 私は学生時代は貧乏旅行だったとつくづく思う。

 
 
 今回ヤン・ブリュ-ゲル(父)とその工房の『火』は好きだった。

 一枚の絵にドラマが展開され、楽しい。

 色彩も構図も巧みで、いたく感心した。

 

 他にも神話に基づく絵で、龍や蛇やユニコーン風の聖獣が出てくるものもあり、楽しい。

 神話も今年中にもう一度じっくりと楽しみたいと痛感した。




       

                    


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