気がつくと、稲に花がついていた。
今に季節の稲と同じ色の米の花。
ところどころ何も植えずに水を張った田がある。
水鳥が戯れる。
この季節の一こま。
何も植えてない田畑の草を刈る。
雑草を焼く。
農家の方はいつの季節も忙しそうだ。
これから何を植えられるのだろうか?
タマネギ?ジャガイモ?
子どもが幼い頃に家庭菜園をした事があるが、私にはわからない。
今年は不思議な年だ。
大和川沿いの道路で亀を見ない。
例年なら雨上がりの後にのっそりと歩く亀を見かけたものだ。
車にひかれた亀の多さに心を痛めた事もある。
今年はミニバイクを止めて、のろのろ歩く亀を助けた事は一度もない。
亀を見ない。
不思議な年である。
川の中にはいるのだろうか?
大和川を覗くと、魚も亀も少ない。
川岸で鳥は戯れている。
白い鳥が例年より多い。
大和川は美しくなりつつあるといわれているが、白い鳥が多い。
白き鳥が多い川は汚れているといわれている。
亀。
幼少の頃、小さな亀を飼った事がある。
小さな水槽に入れて、毎日眺めていた。
ご近所の長老が、亀を飼うと縁起が悪いと忠告された。
父と私は、なついた亀を池にはなった。
悲しい思い出。
そして、亀。
我が子が小さな頃、奈良にこしてくるまでの間、野生の草亀と一緒に暮らした。
草亀は庭をのそのそと歩いては、チンゲンサイなどの新芽を食べた。
プランターは丸裸。
草亀のためにプールを用意してやった。
草亀は泳げず、溺れそうになった。
慌てて助ける。
亀は庭をのそのそと歩いていた。
草亀はいつも首をのばして、私のいる部屋の方向を眺めていた。
私が鰹節を持っていくと、くしゃくしゃの顔で、目をしばしばさせていた。
亀の目は大きい。
草亀は、鮮明に刻まれた京都の思い出である。
それにしても、今年は亀を見ない。
大和川の亀は、一体どうしたというのだろう・・・。