ゴールデン・リタイアーズ

S20年生、後期高齢ゾーン、人生最終コーナー「遊行期」の
徒然残日写真録

書道家、武田双雲「感謝めがね」!

2011年02月17日 | アフターセブンティ

 NHKラジオ深夜便がシニア族に人気がある。パタンキュウとベッドにはいって5分もたたずに眠れる人、どこでも、いつでも、どんな枕でもすぐ眠れる人は幸せであり、すごい特技の保有者ということになる。すぐ眠れないたちの人間である私も目がぱっちりしているとイヤホンでつい深夜便を聞いてしまい2時3時になることがある。アンカーと称するアナウンサーが深夜便のホームページが新しくなり、いつでも聞きたい話が聞けますよといっていた。アクセスしてみると熊本出身の今をときめくイケメン書道家
武田双雲さんのインタビューが聞けるようになっていた。さっそく聞いてみる。

 熊本出身の35歳書道家、書家であった母親から3歳くらいから書道をたたきこまれ、書とは反対方向の東京理科大学に進み、デジタルの筆頭企業NTTに就職、家族にも喜ばれ期待もされる花の東京、大企業でのサラリーマン生活をスタート、インターネットが花開きかけた頃、仕事もたのしかったが、盆休みで帰郷して母親の書に震えがくるくらいの劇的感動を覚える。デジタル企業のまっただなかにいて、デジタル閉鎖社会に一抹の不安を直感していた。これからは融通無碍のアナログ書道が必須になり、時代の脚光を浴びることを直感、26歳で天下の大企業NTTを辞職。天の啓示のごとく何も迷わず退職して熊本に戻る。親戚縁者からなんということをしでかしたといわれるが本人に迷いなし。

 が退職して何から始めるか見当もつかない。自分のできることは書を書くことしかない。ないものねだりをしてもせんなきこと。ストリート書道を始めたという。下通、上通りというメインストリートにござをひいて色紙をおいて、「あなたのお好きな言葉を書かせてください」と書いて客をまつ。最初ゼロ、やっと一人のお客様、ありがたい。真剣に書きあげる。その一途な真剣さに二人三人と書かせてくれるお客さんが増えてゆく。この長いつらかった体験から感謝と一途な思いの大切さを学ぶ。
 とかく若いころは感謝より不満が先に立つ。思うようにならない世間の不条理、見る者聞くものすべて腹がたつことばかり。
 私も経営コンサルタントを35年やって、企業のかかえる問題点解決業としての企業ドクター業務をしてきた。だからいつも問題点はなにか、このまま放置すると会社がつぶれかねない課題はなにかを常に追求していた。もっとも企業のもてる長所、特徴は何かという分析も合わせやってはいたが常に問題意識という眼鏡をかけて物事をみたものだ。現状肯定からは企業の成長はない、常に現状否定で今日より明日よくなろうという基本姿勢でやってきた。確かにこの姿勢は必要なのだが、問題点を解決しようとするより、長所、成功体験をさらに伸ばすほうが、企業の体質改善には近道なのである。

 遅くまで仕事をして深夜帰宅する。妻が先に寝て迎えにもでてこない。これで腹をたてるか、いや妻も育児や家事で大変で、応援もしてやれずいつも遅くなって申し訳ないなと思えるかどうかである。そう思えないとすべてが腹立たしくみえてくるものである。双雲さんの習字教室でも赤で修正するのは簡単だが、まずは良い点、個性を発見してやりこの点はすばらしいとほめてやり、改善点を教えてやるとおおきく伸びるという。書の道は性急に成功をもとめない。道はゆっくり着実にあゆんでゆくもの。白い紙に黒の墨、この2色の世界に人を感動させる書がかけるかどうかは書くひとの人間性である。書は人なりと昔から言われている。常に感謝の気持ち、活かされている自分を意識でき、言葉に表し行動で示せる人間かが書にあらわれるという。不満眼鏡ではなく感謝眼鏡をしっかりかけて生きる。非常に大事なことだと思う。

 シニア世代、子供が巣立ち、二人だけで残された長い人生をともに歩む。最低限のおカネと「感謝眼鏡」をもって、たがいに助け合えば、病気もちかずかないだろうし、良い人生を完結できると思う。
       
コメント
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