ゴールデン・リタイアーズ

S20年生、後期高齢ゾーン、人生最終コーナー「遊行期」の
徒然残日写真録

120823 女性ジャーナリストの非業の死と曽根綾子の「人間の基本」

2012年08月23日 | 辛口ひとりごと

 安全、安定志向で自分の生活が守れさえすればよいという現在の日本の風潮のなかで、銃弾飛び交う内戦シリアで、この報道がいつの日か世界をかえるという信念のもと、いつ死ぬかわからない状況下で戦争の悲惨な実態をビデオで撮り続けた日本女性ジャーナリスト山本美香さん。シリア政府軍の反政府軍や市民への無差別銃撃のまえに銃弾をあびて非業の死をとげたニュースは大変衝撃的で、同僚の佐藤記者をふくめてこんな志をもった命がけの仕事をしている日本人がいるんだということに驚く。ご家族の心痛やいかばかりと哀悼の気持ちでいっぱいである。戦闘機が街に降下し、国家が国民を銃撃するといった国が今の地球上に存在すということ自体が空恐ろしく感じる。かつての日韓、日中戦争がまったくおこらないとは言い切れない昨今の東アジア情勢で他人事とは思えなくなってくる。

 そんな折、作家曽野綾子の「人間の基本」という新書をよんだ。17万部売れていると帯にあり、足場のない人は人生を無駄にするとアピールしている。足場のないという意味はどんな時にもブレナイ軸足が確立できていない人間をいうのだろう。イチロー選手がマリナーズ一筋に10年連続200安打を達成した背景にはバット、グローブ、シューズを徹底的に大事にし、故障しない、怪我しない強靭かつ柔軟な体作りを日夜継続するそのぶれない野球への取り組み姿勢が大記録をもたらしたのだろう。けが、故障で脱落するプロ選手が多すぎる。甘さを内蔵したえせプロといわれても仕方ない。

 周到な現地調査、情報収集しての取材とはいえ銃弾飛び交う中での仕事など私にはやれといわれてもできないね。山本さんも軸足がびしっと決まった腹のすわったほんとに人類愛にみちた人だったのだろうね。80を超えた曽野綾子という作家は笹川良一のあと日本財団(日本船舶振興会)の会長を10年間勤め難民救済でアフリカ他へ自ら行っており、そういった関係で日本人特に被災者の甘えの構造にはいつも辛口の評論をしている。政治家が安易に口にする安心して住める国づくりにまい進するなどという言葉はまやかしに過ぎず今回の東日本大震災、福島原発事故はそれを証明した。自らの命は自ら守らねばならない、そのあたりの視点が極めて甘いという。自らの安全のため原発再稼働反対というのは簡単、そういう人たちは電気がぶ飲みの生活から脱却しますと宣言してから反対を唱えよという。日本人はノー天気で安全も水も電気も当たり前のように手に入ると思っている。何も対価を払わずにこの世では何も面白いことはできないと認識すべきと論破している。平々凡々と何もリスクをとろうとしない生き方をしている人には大きな生きがいは多分得られないだろうと・・・

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