私が、4~5年前にわが「語呂合わせ日記」を始めるにあたり、俵万智さんとか栗木京子さんとか寒川猫持さんとかを勉強しながら、腕が上がるのをそれなりに期待した。そのころ、やはり明治31年に発表された正岡子規の「歌よみに与ふる書」というのも読んでみた。作者の子規はなかなか小気味よくて和歌が聖典としてきた「古今集」を罵倒して、専念近い歴史を持つ和歌の価値観を転倒させたという衝撃的な歌論を書いた(と本の表紙に書いてある)。子規はなかなかけんかが上手で、万葉集のあとは源実朝ぐらいしか注目すべき歌人はいない・・・というようなことをいって、皆をその気にさせた。たしかに、古今、新古今などの歌の表面をなぜていると(わたしの場合これぐらいのアプローチしかできない)、花鳥風月を題材に技巧に走り、実朝のようにダイナミックに生き生きと歌っていない、子規の言うとおりだな・・・なんて思っていた。
ところが、最近、「絢爛たる暗号~百人一首の謎を解く~(織田正吉著)」、「古今集の謎を解く(織田正吉著)」、「百人一首の秘密~驚異の歌織物~(林直道著)」を読んでいると、どうも子規にしてやられたような気がしてきた。定家も貫之も一筋縄ではいかないことがわかってきたが、どこがどうだという、中味の検証結果のようなものを披瀝すれば説得力があるのだろうが、これも素人ゆえ勘弁してもらうことにして、要するに短歌革新をしなければいけない時代の短歌の基準から照らしていくと、子規のめがねにかなわなかっただけだといえないだろうか。いい歌も沢山あるだろうし、言語遊戯の観点、歴史的観点からみていくだとか、違う視点で読み直す必要があるかもしれない。折にふれ先人の息吹を和歌を通じて今後も味わって生きたい。
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【参考にした書籍】
「絢爛たる暗号~百人一首の謎を解く~(織田正吉著)」 ISBN4-08-749175-7 C0192
「古今集の謎を解く(織田正吉著)」 ISBN4-06-258193-0
「百人一首の秘密~驚異の歌織物~(林直道著)」 ISBN4-250-81012-7 C0021
「歌よみに与ふる書(正岡子規著)」 ISBN4-00-310136-7 C0195