2016/12/24
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「雨降れば暮るる速さよ九月尽
(杉田久女
/この雨は指標のごとき雨ならんつるべ落としの秋の終わりと
&実感として雨知らぬわが身だが感度よきひと指標にしたり)」
61
「あめんぼと雨とあめんぼと雨と
(藤田湘子
/視野のなかあめんぼ幾疋いるのかな雨粒そしてあめんぼと
&雨とあめんぼが同格)」
62
「あやまちはくりかへします秋の暮
(三橋敏雄
/過ちは七八九月に繰り返すだからなんだと秋は暮れゆく
&なんの過ち)」
63
「鮎落ちて美しき世は終りけり
(殿村菟絲子
/落ち鮎の景色はうるわし歓声も記憶の中で生きはするけど
&落ちきった鮎は帰らぬものかいな)」
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「蟻地獄松風を聞くばかりなり
(高野素十
/生き物は見えぬが砂が落ちにけりただ松風の吹きて流れる
&見えないところに何かいる)」
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「あるときは一木に凝り夏の雲
(原裕
/気になれる一木ありて夏迎え雲とも合える木であることよ
&執着の中味わからず謎のままただ単純に形がよいか)」
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「あるときは船より高き卯波かな
(鈴木真砂女
/船旅に卯波の高さ船をこゆ海が荒れるはこの頃なるか
&卯波とは頃かは調べても見よ)」
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「あるほどの菊抛げ入れよ棺の中
(夏目漱石
/葬式の棺の献花を歌いたり誰の死ねるか知りたいものよ
&最近は菊だけでない)」
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「あはあはと吹けば片寄る葛湯かな
(大野林火
/柚子ならば冬至でいれるも葛湯とは調べよ何を入れるものかな
&葛湯？)」
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「淡海といふ大いなる雪間あり
(長谷川櫂
/たぶんこれ東海道より眺めたる比良の辺りの雪別世界
&田圃琵琶湖比良の雪世界)」
2016/12/24
「蕾そろうシャコサボテンの鉢を置く聖夜にありて想う人あり(鳥海明子)」
「蝦蛄のよう形をしたる仙人掌と美しき花反り返りたり(花言葉:美しい眺め)」
「昔なら竈にぼた餅供えたり巫女さん呼んでお祓いしたり(『竈祓い』)」
「関西はおくどさんとも呼んでおり荒神さんはこわい神様
(日を司り、家族の善悪を天に報告される)」
「しろたへの鞠のごとくに竈猫(蛇笏)」
「髭先をすこし焦がしてかまど猫(和子)」
「薄目あけ人嫌ひなり炬燵猫(たかし)」
2016/12/23
「さわやかな香り立ちたるユズの湯に幼き子らの湯を飛ばしいき(鳥海明子)」
「柚子の実は寒さに強く病気にも強くて栽培簡単らしい(花言葉:健康美)」
「桃栗三年柿八年柚子の大馬鹿十八年(短縮のためカラタチへの接ぎ木により数年で収穫できるようにする)」
「風呂洗い新しき湯に柚子浮かす(隆夫)」
「白々と女沈める柚子湯かな(草城)」
「中国で気候生まれし古代では冬至が基準で暦も決めた(『冬至と収穫祭』)」
「新旧が一月ずれる日本では一月早い新嘗祭と(新嘗祭は本来冬至頃だと)」
2016/12/22
「ポインセチアの赤より赤い服を着て花屋の少女の笑顔よろしき(鳥海明子)」
「漢字では猩々木ショウジョウボクというらしいまっ赤に見えるは葉っぱだという
(花言葉:博愛、祝福)」
「冬至には『ん』つくものを供えれば運舞い込むと運盛りという(『運盛り』)」
「『ん』のつく野菜鍋にて薬味には金柑〆はうどんなど食う
(大根、ニンジン、銀杏、蓮根、カボチャ、デザートは寒天)」
2016/12/21
「村を守る藁の大蛇をからませて天にそびゆる欅の大樹(鳥海明子)」
「欅とは箒を逆に立て掛けたような形の大木なりし(秋にきれいに紅葉、花言葉:重厚)」
「今日からは冬至初候が始まれる昼の時間が最短なりし(『一陽来復』)」
「段々と昼の時間が増えてくる『一陽来復』このこといえり()」
「候ならば『乃東ナツカレクサが生ずる』と薬草になるうつぼ草らし()」
「さぼてんを上座に直す冬至哉()」
「物干しの影に測りし冬至かな(子規)」
「一陽来復の雪となりにけり(万太郎)」
