「息吹~南山義民喜四郎伝~」
元気発信公演 in OKIANWA
2012年3月25日(日)
かでな文化センター
福島県南会津で活動を続けているチーム息吹による
現代版組踊「息吹~南山義民喜四郎伝~」
沖縄での初公演でした!
舞台は1720年、今から約300年前。
年々厳しくなる年貢と幕府からの要求に耐えかねた農民たちが起こした一揆の物語。
当時ご法度だった幕府への直訴状を携え、
家族との縁を切り人目を避け、命がけで江戸に上る「南山義民」たち。
幕府側はただならぬ事態に、国元の百姓たちを取り調べその団結を断ちきる作戦に出る。
取り調べの恐怖に、次第に態度を変えていく百姓たち。
結果、「義民」たちは、一揆を扇動した首謀者として罪を問われ死刑になる。
しかし、死をもって彼らの残した魂の訴えは、やがて…。
「南山御蔵入騒動」という実際の出来事を元になっています。
ここでヒーローとして描かれるのは、
沖縄の現代版組踊でよく見る按司や王、偉人たちではなく、
大地に生きた普通の農民たちの姿。
そんな彼らの、国(郷土)を思い身を呈して戦った、熱い姿。
いわずもがな、東日本大震災で大きな被害をこうむった福島県。
彼らの「負けない」「あきらめない」「一つになる」「郷土を想う」という心が、
この「息吹」という舞台で描かれた「南山義民」の姿を通してビシビシと伝わってきました。
演出、音楽、コドモタチの演技や演舞なども確かにしっかりとしていて
すばらしいものがありましたが(以前DVDで見た印象と違う!)、
そんな「技術面」だけではなく、出演者たちの一致団結した気持ちが、
心に、魂に訴えてくる
まさにそんな舞台でした。
(心で涙そうそう 初観劇にして、マイベスト5公演に入りました)
特に印象深かったのは喜四郎が家族に別れを告げ、雪道を行くシーン。
音楽、歌、照明、演技、どれをとってもドラマチックで(…って書いたらなんか軽いんだけど)、
とても心に染みた。
深い雪道を行く、その体の重さ、一歩一歩を踏みしめるあの演技が、
民たちの願いや祈りを背負った使命と重責、そして孤独にも重なって。
あの時代の、あの地域の冬の積雪は一体どれくらいあったんだろう。
一体どれくらいの「寒さ」と「痛さ」なんだろう。
ワタシは深い雪の中を歩いた経験はないんだけど、
それでも十分にイメージさせてくれたシーンでした。
それから、病弱な「節」の、そのはかない演技もよかった!
与市とのやりとりとかも、もうこれだけで涙をさそうわ…。
代官sもよかったな
休憩アナウンスの演出も細かいところまで凝ってて
肝高の阿麻和利の茂知附sとはまた違って面白かったデス
(キャラは崩しすぎずにでもどこかおかしみがある感じ)
それから民衆に囲まれて、渦巻いていくシーン、
あそこはなんかアカハチっぽかった☆
(小学生メンバーから参加していることもあってか、
アカハチの雰囲気を所々に感じました)
こういうちょいとダークな雰囲気の演舞や演出って、好きです
太鼓や早乙女踊りの伝統芸能もステキでしたね!
地域の伝統芸能とのコラボ!
これでこそ「現代版組踊」です!
それから今回「うわぁーお!」ってなったのが、
テーマソング「息吹」の音楽。
CDで聴いてたアレンジからスペシャルバージョンアップ!?
CD版も十分にかっこよかったのに、
がらりとアレンジを変えてて、こちらもすごくかっこよかったです!!
息吹のテーマソング、すごく好きです。
現代版組踊の数あるテーマソング(名曲揃い♪)の中で、ベスト3に入ります。
初めて聞いた時、すごく「冬の色や温度」を感じたの。
転調してからの後半、平田さんの哀愁漂う声も好き。
広い広い雪景色の中で、たった1羽で空を舞う鳥のような。
こうやってイメージを引き起こしてくれる曲って
ドラマ性があるいい曲の証しだと思う。
出演者や演舞など細かい所まで、もっと「観」きれてたらよかったんだけど、
今回は初生舞台ということもあって「観る」というよりは「感じた」舞台としてレビュー書かせてもらいました!
最後にひとつ言うとすれば、
「息吹のみなさん、沖縄で公演してくれてありがとう!」
です!
沖縄も、今回の公演からたくさんのパワーをいただきました!
見に来ていたたくさんの沖縄の現代版組踊のチームも
きっとたくさんの刺激と感動をもらったと思います。
郷土に誇りを持ち、郷土の未来を想う、
そのために。
そんな現代版組踊の原点を、
改めて感じることができたステキな舞台でした。
そうそう、パンフレットの人物紹介の絵も
やわらかタッチでとてもステキでした~☆
トップ写真はフリー素材の写真をレタッチ加工してみました。
まだまだイメージ通りではないんだけど…(´ε`;)
3月末~4/1までの現代版組踊観劇カウント、
全部まとめて90!