■龍潭(りゅうたん)■ 竣工式から帰ってきた寧温を見つけた嗣勇は、龍潭に誘った。 「あなたは評定所の花当……」 「孫親雲上、お話がございます」 今まで絶妙な距離で妹を見守っていた兄が、 城郭の外にある池、龍潭は王宮の施設の中で唯一息抜きできる場所だ。 常緑樹の枝が覆う池のほとりは目隠しになる。 池の外周を散策する小径が囲み、親水公園の趣だ。 家鴨や鵞鳥が餌を求めて人のお尻をついてくる長閑さだ。 「テンペスト(上)」より 龍潭の畔で息を整えた寧温は、この危ない綱渡りが全うできないことを覚悟した。 そう思うと今までの努力が無駄に思えて無性に泣けてくる。 「どうして私は男に生まれなかったのでしょう。 どうして私は女で生きていけなかったのでしょう。 父上、兄上、私はもうすぐ壊れます……」 「テンペスト(上)」より 寧温は徐丁垓とともに龍潭の畔を歩く。 静かな池のほとりには鳳凰木が見事な花を咲かせて、水面に枝を伸ばしている。 「徐太監はこの池をどう思われますか?」 徐丁垓は龍潭を見渡す。 「琉球にしてはまあまあの造りだ。よく勉強したようだな」 寧温はありがとうございますと頭を垂れた。 「この龍潭は国相・懐機様がお作りになわれたのです。 なのに、同じ国相であられる徐太監は、琉球を解体しようとしています」 「テンペスト(上)」より …その後龍潭で最大の悲劇が…! ちなみに、こちらも龍潭。 龍潭側から首里城を望むの図。
初めて寧温に声をかけた。
水と緑の豊かな調和が雅な音楽を奏でるようだ。
国相・懐機様は琉球を明国に負けない国にしようと惜しみない努力を行いました。
私たちは国相・懐機様のご功績のお陰で豊かな生活を築くことができました。
テンペスト最大の問題シーン…(号泣)
■玉陵(たまうどぅん)■
「兄上が奥書院奉行筆者を罷免された!なぜ?」
南電の廊下から荷物を纏めた嗣勇がしょんぼりと項垂れてやってきた。
「嗣勇殿、これはどういうことですか。不手際があったとありますが、まさか――?」
「茶会の不始末の責任を取らされたよ。これからは玉陵の墓主に命じられた…」
玉陵は王宮の西側にある石造りの王家の墓だ。
行事がなければ人ひとり近づかない役人の墓場と呼ばれる場所だった。
嗣勇の配属された玉陵は死者の王宮とも呼ぶべき、荒涼とした景色だ。
まるで古代に滅びた王朝の遺跡を眺めている気分だった。
歴代の王族の霊に仕えることになった嗣勇は、
霊の眠りを妨げぬよう、ひっそりと息を殺して勤務した。
嗣勇は月のきれいな晩に妹のいる王宮を偲んで歌を詠んだ。
わが玉陵に澄みわたる月の影に
覚出しゆるみやだいり
「テンペスト(下)」より
確かに王家の墓なので、首里城のすぐそばにあるとはいえ
ひっそりとした雰囲気でした。
でも、世界遺産の1つです。
規模こそ違えど、浦添ようどれ と雰囲気は似ていますね。
隣接する資料館には、琉球王朝最後の王、尚泰王の長男、
尚典が亡くなったとき(明治)の玉陵での葬儀の様子が写真パネルでみることができます。
(尚典の名前もテンペストにちらっと出てきます(笑))
■木曳門(こびきもん)■ 尚泰王が去り、完全に王宮は封鎖された。 首里城を新たに囲んだ衛兵は熊本鎮台沖縄分遣隊の日本兵だった。 「帰れ帰れ。わけのわからん言葉を喋るな。おまえたちはもう日本人なんだぞ」 「臣民らしく天皇陛下を敬愛しろ」 「首里城は明治政府の資産だ」 厳重な警備の中をまた親子が王宮に忍び寄る。 「資材置き場の木曳門からなら進入できます」 「さすが母上様は何でもよく知っていらっしゃる」 警備の手薄な木曳門の低い城壁を越えた二つの影は真鶴と明だ。 「テンペスト(下)」より 建物の建設や修理のための資材を通すための木曳門。 普段は石を詰めていて出入りはできなかったそうですが、 西のアザナのすぐ近くの門です。 首里城から出ている写真集を見たら、復元したての頃の撮影だからか こういうのを見ると、なんだかんだと首里城復元の頃から時は立っているんだなぁ~
六尺棒の代わりにサーベルを携えた兵士達は、
王を偲んで王宮に集まった民たちを追い払うのが役目だ。
現在は案内ルートの1つになっています。
城壁がとっても白い!!(驚)
としみじみします(笑)
(だって首里城復元&オープンの年の記憶あるもの~。
その時に学校で配られた首里城正殿をプリントしたブリキの鉛筆立てまだあるよ(笑))
文章と写真で巡る、『テンペスト(池上永一著)』行脚シリーズ。 再開です。 太字が引用部分です。 一部引用でも意味が通じやすいように、場合によっては ■京の内■ 王宮は三つの区域に分けられている。 思戸がいる御内原は王妃が管轄する女の世界、 神職だけが立ち入りを許される京の内に女官が無断で入ることはタブーである。 しかし恐れ知らずの思戸は監視の目を盗み、京の内に潜入した。 「うわあ。森だあ」 鬱蒼と茂る原生林はここが城壁で隔絶された王宮だとは思えない。 人が主役の王宮の中で、京の内は樹が主人だ。 昼間でもほの暗い京の内は神々の息吹で緊張感が漂っている。 この中に首里十嶽と呼ばれる御嶽が配置されている。 思戸は御嶽の香炉の前に這った。 「テンペスト(上)」より 本来はもっともっと鬱蒼としたエリアだったのでしょうね。 闇夜に浮かぶ京の内の上壁、こちらのほうがイメージに合っているようです 。
文章を多少省いたり前後させている部分もあります。
御了承下さい。
評定所のある王が管轄する男の世界、
そして聞得大君が管轄するが京の内と呼ばれる聖域だ。
■西のアザナ■
那覇港を埋め尽くすように碇泊する大艦隊は王宮からもはっきりと肉眼で捉えられた。
「おいおい今度は大艦隊だぞ」
多嘉良が物見台の西のアザナから那覇港を見下ろしている。
黒い船団に埋め尽くされた那覇港は無数の橋が架かっているように見えた。
すぐに多嘉良の袖が引っ張られ、交代しろと次々と役人たちが這い上がってくる。
列強の船には慣れている王府だが、これだけの大艦隊の入港は前代未聞だ。
那覇港の収容能力を遥かに超えている。
「一体今度は何を要求するつもりだ?」
「大丈夫。評定所筆者たちが今度も上手くやってくれるさ。
おい、喜舎場親方だ。道を開けろ」
噂を聞きつけ西のアザナにやってきた朝薫は、硬い表情をしていた。
―――寧温。君の言う通り、王宮が狙われたよ。
「喜舎場親方、なに暗い顔してるんですか。
いつも通りのらりくらりとかわしてやればいいじゃないですか。
がはははは」
多嘉良も他の役人たちもいつもの列強訪問だと高をくくっている。
だが、朝薫にはこれが通常の異国船入港でないことはわかっていた。
「評定所筆者と表十五人衆をすぐに全員招集しろ。
非番の者も呼び出すんだ!」
「テンペスト(下)」より
はい、幕末の重要なターニングポイント、ペリーによる黒船来航。
黒船艦隊が浦賀湾に現れる前に、琉球に来ている…というのは有名な史実。
その黒船来琉の場面からお届けしました~。
那覇の町並みが一望でき、その向こうの海と、慶良間諸島、 沖縄はどこにいても海が見えます。
さて、西のアザナは展望台みたいになっています。
視線を右にやるとなんとまぁ読谷村の残波岬まで見えます
■琉球菓子(花ぼうる)■ ※写真左端 「寧温、そなたの留まることを知らぬ辣腕はきいておるぞ。 「失礼な。ちょっと油断しただけです」 恩師に馬鹿にされて頭にきた寧温は茶菓子の花ぼうるにかぶりついた。 『テンペスト(上)』より ■琉球菓子(薫餅(くんぺん))■ ※写真右奥下 「真鶴様に申し上げます。 「王妃様より薫餅を賜りました」 琉球菓子の代表格である薫餅は、小麦粉と卵を使った 『テンペスト(下)』より ■琉球菓子(ちんすこう)■ ※写真右奥上 「寧温、おまえは今何をすべきだと思うか?」 「麻先生、私は科試を突破するために学問を究めることだと信じております」 「では寧温、何のために学問を極めるのだ?」 「それは自分を磨くためでございます」 「寧温は落第。茶菓子を食べてはならぬ」 そう言って寧温の膝元にあった菓子皿のちんすこうを取って食べた。 『テンペスト(上)』より ■琉球菓子(ちいるんこう)■ ※写真右下 「真鶴さん、この大鶏餃(タイチーチャオ)は絶品よ。一口でも食べてちょうだい」 「今は油っこいお菓子はちょっと…」 「じゃあ蒸し菓子のちいるんこうだったら食べられるわよね?」 真鶴は硯箱を肌身離さず抱えたまま微笑んだだけだった。 「もう、私のお菓子には泥なんか入ってないわよ!」 「真美那さんも泥薫餅を食べたんですか?」 「誰が食べるものですか。思戸に最初に毒味させてやったわよ」 『テンペスト(上)』より
■さんぴん茶■ ※写真手前 思戸への報復の準備はできている。 そして決して恭順しないという側室の意志を思い知る。 『テンペスト(下)』より もうちょっといい引用箇所…あればよかったんですが…(苦笑) 鎖之間(さすのま)では琉球菓子を味わえる体験施設になっています。 4種類の琉球菓子と、サンピン茶がセットになって300円。 なのでここの鎖之間は300円を払わないと入れません(笑) 今日、初体験してきました! 300円なら安いですね! 500円とかでも良さそうなくらいだよ。 琉球菓子が4種っていうのがいいです。 予約もOKみたいなので大人数のときは問い合わせてみることをオススメします☆ そうそう、テンペスト、特に(下)ではお菓子作りが趣味の真美那さんの登場で 中でも“お嬢様爆弾”の千寿糕(せんじゅこう)。 この千寿糕もリストにありましたが今日のメニューではありませんでした。 また次の機会に食べてみようと思います♪ なお、ちいるんこうに関しては過去の記事にもあります。 →コチラ。
ついに馬親方に討たれてしまったようだな。
だからあれほど王宮には気をつけをと言い聞かせたはずだったのに。
わはははは」
王妃様は昨日の茶会で見立てた器を大変気に入っておられました。
お礼に菓子を取らせるとのことです」
スコーンのような軽い口当たりだ。
中に胡麻とピーナツを和えた餡が入っていて、
ピーナツの食感と香りがアクセントになっている高級菓子である。
側室からのお礼ということで思戸にも●入りサンピン茶を飲んでもらう。
思戸はそれを平然と飲み干すだろう。
ここしか頭に浮かばなかったワタシ…。
琉球菓子についてのパンフレットももらえて、
食べながらスタッフの方の解説(5分弱くらい)も聞けます。
(ちなみにサンピン茶はおかわりできます)
(小さくカットはされているけれど、それでいい)
琉球菓子の場面がよく出てきます。
(残念!食べたことないの~)
朝、ちらっと雨が降ったようですが、
その後は晴れ、時々曇り。
暑かったです…。
でも風もあったし、今日は滝のような汗のかき方とはちょっと違ったので
ああ、一応沖縄でも夏は過ぎようとしているんだ、
と思いました。
日差しも、殺人的…よりは多少はマシだったしね。今日は。
さて、以前十分に回れなかった首里城とその周辺、
そして福州園に行ってきました。
ということは…
テンペスト行脚、再開(笑)
も~、しばらく続きそうなのでテンペスト関連の記事、
カテゴリ分けしましたよ
(『テンペストを読ム』)
写真と、その関連する文章で
少しでもテンペストの世界、そして
首里城の世界、琉球王朝の世界を発信できればと思います。
どうぞお付き合いくださいませ~
『天国はまだ遠く』のDVDを見ました!
チュートリアルが好きなので映画のことは知っていたし
情熱大陸でメイキングの様子をちょこっと見てたのでいつかは観ようと思っていたのが
今日になってしまいました
主演がだれというよりも、
ロケ地が京都というのがポイント高し(笑)
見ての感想。
はぁ~、いいなぁ~~~~
です。
(ワタシ、ああゆう終わり方好きヨ♪)
最近、こういう自然豊かな場所が舞台の、ゆるぅい空気感の映画が好きみたいます。
「かもめ食堂」とか「めがね」とか「西の魔女が死んだ」とか。
上に上げた全ての映画にも共通するんだけど、
明日のことを特に何も気にすることなく、
もちろんお金のことも、時間のことも、生活のことにも縛られずに、
気の向くままに気にすむだけ、ゆるぅ~く自然に、だけど毎日を丁寧に送る生活……
してみたい…っ!
ガツガツなんてしないの。
ぶらりと田舎に旅にいって、
気の向くまま民宿に泊まって、
気が済むまでそこにいる。
特別何をするでもなく、
自然にあるものを採り、
自然にあるものを大切にし、
自然にあるものを活かし、
自然とともに生きる。
毎日を丁寧に生きる。
裏山で採って来た野イチゴでジャムを作ってみたり、
シナモンロールを焼いてみたり、
夜からクッキーを焼いてみたり、
庭から採ったハーブでハーブティーを入れてみたり、
海辺で波音を聞きながら編み物をしてみたり、
朝は浜辺を散歩して、
気が向いたらスケッチしてみたり。
いつか、そういう暮らしをしてみたいです。
江戸時代に花開いた手ぬぐい文化。
でも手ぬぐいは絵画のような美術品ではなく、
あくまでも日用品。
確かに日本人の粋な美意識によって美しいデザインが多くあれど、
手ぬぐいは使って使って使い込むからこそ更に味わいと風合いが出てくる、
日本の木造建築のような代物。
いわば、用の美。
だから、使ってなんぼ。です。
ワタシも最初手ぬぐいを買ったときは使うのがもったいない、
と数ヶ月はそのままにしていましたが、
今はどんどん使っています。
しかも、ショクギョウ柄結構汚れることも。
たいていハンカチ代わりにしたり、首に巻いたり…
というのが普段使いのパターンですが、
水、汗はもちろん、ファンデーションなどの化粧品や
絵の具に土、時には溶けたチョコレートや料理の汁などがついてしまうことも。
でもあまり気にしません。
完璧に落とせなくて多少しみになろうが
「ま、いっか。」
です。
(もちろん完全に落ちないと分かっているペンキや染料や墨汁には気をつけます)
今日は旅で買った手ぬぐいをまとめて水洗いして
アイロンをかけてたたんで収納しました。
だいたいボックス3つ分になってしまい、
そろそろ収納に困ってきました
これだけあるとなかなか出番のない手ぬぐいも出てきてしまうしネ…
まめぐい、千鳥です☆
注染。
千鳥のフォルムが昔から好きです。
でも千鳥にもいろいろなフォルムがあるのですが、
↑のようなシンプルで丸っこいフォルムが好き。
家紋の、この千鳥がベストです。
コレ↑
このはんこも持ってる
千鳥といえば、手ぬぐいショップのちどり屋ですが、
ちどり屋では手ぬぐいを買うことと、
ちどりグッズを買うことを目的にしていました
で、選ばれたのはちどりストラップ
鈴もついていてかわいい
(鈴がついているとかばんの中で所在をアピールしてくれるので助かるのです)
ストラップの紐の部分はいろいろなカラーバリエーションがありました。
もう一つのれんこんストラップは鎌倉の手ぬぐいカフェ一花屋で購入したもの。
こちらもいろいろなカラーバリエがありましたが、
ケータイのターコイズブルー、いや、浅葱色(笑)に合わせて
このれんこんをチョイス☆しました。
ワタシにとってはちょっとした予想外の浅葱色のケータイ。
(Tシャツとか、服ではいくつか持ってたんですけど小物は専らワインレッド系でした)
でも、このケータイの色に合わせようと、
ターコイズブルーの小物が最近目に付くワタシなのでした(笑)