電車内での拷問

仕事が終わり安堵のため息をつく瞬間
電車の座席に腰を下ろした時だ
後は何も考えずにゆらりと電車に揺られていればいい
寝床の近くまできちんと運んでくれる


しかしこの日、安堵の気持ちは即座にかき消された
隣の中年男性の耳元から漏れ出ているノイズ
すごく大きな音とはいえないが、パッションの耳に侵入し
頭の中と掻き乱す
そうこうしていうちに
乗り込んで何駅目かで隣に座った女性
そっちからもノイズが耳に刺さってきた
左からはシンバルらしき音
右からはビートを刻む電子音
真ん中でシェイクされ噴きあがる不快感
パッションのハートからは
怒りのビートが周りに聞こえることもなく打ち出されている



パッションの耳が敏感すぎるのか
周りの人が難聴なのか
パッションが自意識過剰なのか
周りの人が無関心なのか
パッションのこらえ性が足りないのか
周りの人が異常なまでに我慢しているのか