山里ひぐらしの小径

木曽路の入り口、岐阜県中津川市から
人と自然とのかかわりをテーマに、山里、植物、離島など。

桃の節句 上矢作のお雛様

2009-04-03 | 山里
聞き書き本刊行の知らせを、昨晩ちょっとしただけなのに、すごい勢いで注文が入った。
うれしい、とともに、「山里の聞き書き」が多くの人をひきつける力があるらしいということを思う。

今日は話し手の方がたに聞き書き本を届けにいった。
誰よりも先に話し手と書き手のみなさんにお届けしたかったから、刊行の発表(注文受付)は昨晩まで控えていた。

上矢作のあるお宅に行くと、お茶飲んでって~、と、お茶とともにきれいなからすみが出てきた。
今日はお節句だから、といわれ、旧暦のひな祭りだったことに気づいた。
ここ数日忙しすぎて、忘れていた。

お雛さまがちゃんと飾ってあった。小さい子がいなくても、ずっと飾るのだそうだ。
このお宅は、毎年欠かさずお雛様を飾り、ちらしずしとからすみを備えている。
ちょっと前まではもっといろいろ盛大にお供えしたけど、今は取りに来る子どもがいなくなったから、これだけになっちゃったんだよ、といわれるけど、
ちらしずしとからすみ作るだけでも、十分素敵だと思う。

一緒にいた新聞記者が、ちらしずし、すごいですね、と言うと、
こんなの簡単だよ、たいしたことじゃないよ、と。
さすが、山里のばっちゃん力!

すごいことだと思う。

毎年これをやらないと気持ち悪いそう。
昨日、友達ばあちゃん2人と一緒に、その人の家で70本ものからすみを、一日がかりで作ったと。
私がいただいたのは、紫蘇、桜、黒砂糖。桜は毎年春に花をとって、塩と酢で漬けて保存してある。からすみ用として。すごい、すごい~。

山里の「食」の計画性を思う。
ばあちゃんたちは、1年の計画を考えながら生きている。
おなかがすいたらコンビニに行く、の対極にある。

そして、山里に生きてきた人の、豊かさを思う。
毎年桃の節句に、おひなさまを飾り、一日がかりでからすみを作り、ちらしずしを作るというすごし方を、豊かと言わずになんと言うのか。

誰にでもできることではない。
誰にでも許されていることではない。
そういう環境をもっているということが、限りない贅沢だということに
都会の人たちは気づいている。

聞き書き集『奥矢作・水源の里に生きる』刊行

2009-04-03 | 山里

昨年5月刊行の「恵那・山里の聞き書き2008」に続く
第2弾「奥矢作・水源の里に生きる」を刊行しました。

この「奥矢作」の話し手は半分以上男性で、
林業の盛んだった当事のにぎわいと、人工林、それも放置林ばかりになった山のことをしみじみと語る人が多いのが印象的です。

神様と迷信を信じて暮らす姿もあり
そういう最後の世代なのではと感じます。

今では「マイクロ水力発電」と呼ばれ期待がかかっていますが
昔あたりまえのように集落単位の発電を行っていたことも書かれています。

恵南豪雨の話、
暮らしを支えてきたおばあちゃんの話もあります。


ぜひともご一読ください。
1冊1200円(送料込)。


みなさまの温かいご購入をお待ちしております。

●「奥矢作・水源の里に生きる」申し込み先
NPO法人山里文化研究所
 yamazato  bunka
   @feel.ocn.ne.jp
(↑間のスペースを削除して1行で入力してください)

〒509-9131 岐阜県中津川市千旦林1522-125 Tel・Fax(0573)68-6016