山里ひぐらしの小径

木曽路の入り口、岐阜県中津川市から
人と自然とのかかわりをテーマに、山里、植物、離島など。

ソウル・ランゲージ

2010-03-23 | 山里
母国語というのが人間にとっていかに大事なものか、
聞き書き本を発行して、実感するようになりました。

「方言で書いてくれてありがとう」と、恵那の中野方の人からよく言われます。
(話者は標準語で書いてほしいようですが)
こちらは、努力してそうしているというより、その人がそうしゃべっているから、そうなってしまうだけなのですが。
私は、そのことを、「方言を記録してくれてありがとう」または「方言で書かれていると読みやすい」という意味だと思っていました。

広島に住んでいる中野方出身の人が、中野方の聞き書きの本を読んで
「中野方の言葉の文章を読むと、中野方の空気の匂いや感じがパーッと漂ってきて、中野方にいるような気がする」と言われたそうです。
言葉とともに立ち上がってくる風土の質感みたいなのがあるのですね。
言葉のクオリアということでしょうか。
そのことに気づきませんでした。

ソウル・フードという言葉がありますが、ソウル・ランゲージがあるんですね。


聞き書きを編集するとき、方言を削ってしまうと、話がなんかウソっぽく感じてしまいます。

それに、人間の思考は言語によってかなり規定されると思います。
地域のまちづくり計画なんかも方言で考えれば、内容ももっとオリジナルな具体的なものになる気がします。