山里ひぐらしの小径

木曽路の入り口、岐阜県中津川市から
人と自然とのかかわりをテーマに、山里、植物、離島など。

ヒアリングマラソン続く 方言と外国語

2010-04-20 | 山里
山形の録音を聞いていると、私がいろんな勘違いをしていて、おかしい。

■ばあちゃん むかす(昔)はな、つけ木ってあったのよ。ほれ、削ったようだなさな、マツのようみてたなな、ほれさ火つけてとぼしたもんだどもよう。
■私 つけ木はマツだったんですか?
■ばあ はぁ……? つけ木、あれ、なんの木だもんだか知らねえけどもなや、店で売っていたもんだ、昔にゃ。まず、火たくときはあれで火つけたもんだべっちゃなや。マツばりで火つかねえさけって。
■私 火は?
■ばあ マツでつけてよ。
■私 あ、マッツ(マッチ)……。

***
盆棚(お盆の飾り棚)の話
■ばあ ほれ、棒2本立ててよ、ここさ、いったねぎで縄なったなな、こやって、かきぞめんど、
■私 書き初め……
■ばあ かきぞーめんって、そーめんよ、長ぎゃあそーめん!(掛け素麺) 
ほれと、れんごと、こう下げたのよ。れんご。青いれんご。
■私 ああ、りんご
■ばあ 2つこつねてプランとこう下げたのよ。つきのついたのさ。(蓮根)

***

全国各地の方言を聞いていると、標準語がいかに発音が少ないものかと、つくづく思う。
昔名古屋弁には母音が7つあるから英語と同じだという話があったけど、
実際、母音が標準的なアイウエオの5つだけっていうところの方が少ない。
恵那にも名古屋にもOのウムラウトの発音がある。
山形の言葉も、音韻的に整理すればもしかすると5つに分類されるのか?と思うけれど、
(つまり、山形人にとってはカタカナと発音がきっちり対応している可能性があるということ)その法則が分かってないので、とにかく聞こえたまま外国語のように書き取るしかない。でも、そのための文字がないのである。
母音も、子音も、標準語と違いすぎる。
ラ行とダ行の中間的な音だとか、子音もそういった「中間的な」ものが多いし、濁音も、日本語が普通そうだといわれている清濁の区別ではなく、中国普通語式に有気音と無気音の違いであるように思われるものがある。

山形弁ほど不思議な発音が多いと、世界の言語を学ぶにはさぞかし有利であろうと思う。
全国の学校教育の現場で標準語使用を進めているとすると、日本人は外国語習得への道がますます困難になっている可能性がある。
ちなみに、発音だけでなく、文法的にも、標準語にない時制が各地の方言に存在する。
つまり完了形のこと。英語にはあって日本語にないとされているけど、それはウソです。

とにかく、意味がわからないので、そのとおり記述していく作業は、まったく外国語の訓練のようです。