山里ひぐらしの小径

木曽路の入り口、岐阜県中津川市から
人と自然とのかかわりをテーマに、山里、植物、離島など。

ヨシ原の名残り

2010-09-10 | 植物利用
愛知県・三河湾にアサリが「湧く」と言われる六条潟というところがある。
そこは今は大部分埋め立てられて工業地帯になっているのだけど。
豊川の流れ込むところに洲があって、昔そこがヨシ原だった。
まあ普通そういうところはヨシ原になりやすい。
そこのヨシを刈って海苔の簾にしていた。
六条潟は海苔の大産地でもあった。

ヨシは昔はほんとにいろいろ使われていて、北上川のほうでは壁土に入れたり(一般的には藁を使う)、屋根を葺いたりしていた。
地域共有財産のヨシ原もあったという。
これは『聞き書き 北上川河口地域の人と暮らし』という冊子に詳しい。
北海道大学の宮内泰介先生が中心にまとめられた本である。
宮内先生は「半栽培」、コミュニティー、市民による調査、の研究をしておられ
うちの本も読んだりしてくれている。

六条潟のくだんのヨシ原は地域の青年団の財産になっていた。
どうやらヨシ原っていうのはそういう性格をときどき担うらしい。


写真は、今は埋立地となったそのヨシ原のあったところ。
今は加藤新田と呼ばれている。
カンナの向こうに、今は使われないヨシが揺れている。
ほかにも随所にヨシの名残りが見られた。