山里ひぐらしの小径

木曽路の入り口、岐阜県中津川市から
人と自然とのかかわりをテーマに、山里、植物、離島など。

アメリカ大草原の草

2013-05-26 | 植物

昨日に続き、インガルス一家の物語(ローラ物語)のこと。

数週間前、テレビ「大草原の小さな家」の一番最初の番組のDVDを買ってしまった。
この番組はシリーズ化されて毎週放映されていたが、それは原作(シリーズ3作目の、ミネソタ州舞台の「プラム・クリークの土手で」)のシチュエーションだけを借りて、毎週のテレビ放映用に創作されたドラマであり、ストーリーとしては原作とは全然違う、いわばサザエさんのようなものである。よって、この毎週のシリーズの番組は、原作本とは別物であると考えたほうがいい。
しかし、一番最初に放映されたパイロット版と呼ばれている2時間ちかくの単発番組は、原作本の2作目『大草原の小さな家』(オクラホマ州が舞台)をかなり忠実に再現したもので、私が買ったのはそれである。
話は本で何度も読んでいるので、今さら映像を見る必要もないのだが、どうしても見たい理由があった。それは、「大草原(プレーリー)に生えている草が何か知りたい」ということなのだった。

今の日本の田んぼの畦や野原や川の堤防にはメリケンカルカヤという草がある。
もともと日本にはオガルカヤやメガルカヤという植物があったが、今はあまり見ることがない。その代わり(といえるかどうかは微妙だが)に、メルケンカルカヤが大量に生えている。どこにでもあるといっていい。
今の日本で草原ぽく一面に生えるイネ科の草といえば、メルケンカルカヤか、チガヤか、カリヤスかススキ、河川ではオギが代表だろう。
中でもメリケンカルカヤが一番身近に感じられる。除去するのに苦労するが、秋になると赤い草紅葉になってなかなかきれいだ。庭に生えてくるのが迷惑なことと、外来種であるということをおいておいて冷静に見れば、わりと好きな草だ。なにより名前がかわいい。

メリケンというからにはアメリカから来たに違いない。アメリカの大草原(プレーリー)に一面に生えているのはこの草なのだろうか?というのが私の長い間の疑問だった。
シリーズ化された後の「大草原の小さな家」では、たしか番組の最後に毎回流れる映像に、メリケンカルカヤぐらいの草丈(70~80㎝)の草原が出てきていた。
ところが、本の中の草原の描写を読む限り、どうもメリケンカルカヤのようではないのだ。

シリーズ本を読んでいるうちに、どうしてもこのことが確かめたくなって、ついに映像を買ったというわけ。

で、見てみると……
はっきりいって、草原、というようなものではない。サバンナというか、乾いた地面に、背の低い双子葉植物(たとえばキク科とか、葉の広いもの)がへばりつくようにちらちら生えているのだった。
丈高いまっすぐな草が風にそよいでいるわけではないのです。

がっくり。

つまり、原作通りの場所でロケが行われたと信じるほうが大バカなのだった。
きっと適したロケ地がそんなところしかなかったのだろう。ロッキー山脈のふもとの乾燥地帯ぽいところなんだろうか?
家の様子や幌馬車なんかは参考になったけど、草原だけは違っていた。

プレーリーはきっと今では一面に人工的な農地になって、草なんてどこにも生えてなく、モンサントの息のかかった作物なんかが大量に生産されているんだろうなぁ、と思っていた。
先日の竜巻でオクラホマ州がニュースに映ったけれど、本当にひたすらまっすぐな地平線の広がる平原。そこに四角い家々がポツポツ建っていた。今さらながらその平らさと広さに驚いた。

で、結局メリケンカルカヤと大平原(プレーリー)の関係はいまだよくわからない。

写真/冬枯れのメルケンカルカヤとスミレ。この2種は仲良し。ローラ物語でも大草原にスミレが咲き乱れる様子が描かれている。

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