熊澤良尊の将棋駒三昧

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天杉

2012-09-15 05:53:33 | 文章
9月15日(土)、曇り。

昨日も曇ったり降ったり。
ややこしいお天気でした。
仕事もあれやりこれやり、いろいろでした。


先ほどNHKニュースで秋田の「天杉」の枯渇を取り上げていました。
「天杉」は、天然杉。
つまり、人工植林していない天然杉のことです。
秋田の「曲げわっぱ」は、天杉で作られていたものが、枯渇で「人工杉」で作られるものが多くなった。
しかし、杉を薄くスライスして曲げてゆく工程で、割れやすいのだそうです。
割れてしまうと、それまでの時間と材料が無駄になる。
そのことを、曲げわっぱづくりのご老人が嘆いていました。

天杉は他の道具類の材料にも使われていて、例えば「麹蓋」。
麹作りの「蒸せいろ」ですが、年輪の堅い秋目と柔らかな春目の微妙なデコボコが蒸す時に非常に具合が良い。
つまり、板のデコボコの空間に蒸気が廻って、まんべんなく麹米に作用する。
これが人工杉の場合は、目が粗いのと微妙なデコボコが小さいので、蒸気の廻り具合がイマイチとか。
「へーっ、なるほど、そうなんだ」。

思うに、天杉に限らずこれまで永年使われてきた素材には、枯渇の危機とかすでに枯渇してしまったモノは多い。
例えば「ネジ筆の鼠の髭」、「蒔絵筆の玉毛」もそうです。
それらは、いつの間にか代用材、代用品に置き換わると言う訳ですね。
単なるモノの枯渇と言うより、それを取り巻く文化の枯渇衰退。
そんな今朝の「天杉」ニュースでした。
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