神戸さんより、大学によるツゲ素材の物性分析を受け取りました。
今回は第一報で、後日、別の角度からの詳報が出てくるとのことです。
その第一報をかいつまんで、私なりに解釈するところを述べさせていただきます。
今回の分析は、分光光度計を使ってのものと、倒立型顕微鏡を使っての2種類。
その第一報をかいつまんで、私なりに解釈するところを述べさせていただきます。
今回の分析は、分光光度計を使ってのものと、倒立型顕微鏡を使っての2種類。
試料であるツゲ素材は、A=薩摩ツゲの普通木地、B=薩摩ツゲの根っこ木地、
C=御蔵ツゲの普通木地、Ⅾ=雲南ツゲの普通木地の4種類。
分光光度計は、赤外線スペクトルによる波形変化から成分の違いを特定するもので、これによると、試料4種類それぞれの波形は、多少の違いはあったものの、同じような波形変化であることから、成分的には、大きな違いはないとの判定でした。
一方、顕微鏡を使っての組織形態分析は、ツゲは薄くスライスしたもので行われましたが、素材そのものが固いので、水でふやかして柔らかくしてスライスしたとのことです。
それによる分析では、試料ABCDでは、それぞれの特性の違いが見られた。
具体的には、Aは隣り合う維管束(年輪組成)の密度は高く、ほとんど空間も見られないとのこと。
具体的には、Aは隣り合う維管束(年輪組成)の密度は高く、ほとんど空間も見られないとのこと。
Bは隣り合う維管束の数が少ないが、密度はほぼ同じで、幹と根っこでは、大きな違いはなかった。
なお、上記Bの「維管束(年輪)の数が少ない」という記述は、「維管束(年輪)の間隔が大きい」といった方が、適格な表現であると思います。
Cは他の試料と比べて最も空隙の多い組織形態で、かなりスカスカとの分析。
Ⅾは、ABとCとの中間で、Cよりはるかに密度は高いとのことです。
以上が、第一報としての概要です。
これは、実際に駒づくりを経験している人なら頷ける内容で、小生も、これまでの経験から、薩摩ツゲは、緻密であり耐久性が高いと言ってきました。それを科学的に裏付ける分析だと思います。
これは、実際に駒づくりを経験している人なら頷ける内容で、小生も、これまでの経験から、薩摩ツゲは、緻密であり耐久性が高いと言ってきました。それを科学的に裏付ける分析だと思います。
さらに第2報、第3報では、可能ならば指標として、比重、硬さ、ネバリ強さ、などが数値で示されればと、思っています。
それに、雲南ツゲには、彫刻刀で彫るときに感じることとして、トクサやススキに含まれている何か鉱物的な要素が溶け込んでいるような感触もあり、そのあたりが解明されればと思っています。