ベンベエの詩的つぶやき

世の中をちょっと斜めに見て・・・

『七笑い』

2006-08-17 02:00:50 | 日記・エッセイ・コラム

今日は妻の母親の命日。肝臓ガンで亡くなった。気の強い女性で何度も僕とは衝突した。その度に畳をむしっては悔しがった。随分昔の事になるが、僕らの新婚旅行に付いて行くと言いだした。木曽路・城崎温泉・京都を車で巡る三泊四日の旅行。邪魔しないから後部に乗せてくれと言う。この旅行は特別のものだからと断っても、頑として引かない。言い出したらテコでも動かないのだ。「死んだら化けて出る」と脅かされ仕方なく同乗させることになった。一日目は妻籠に泊まる。家族ということで、旅館の方は一つの部屋に蒲団を三つ並べてくれた。彼女はそれを横目で見ながら「わたしゃ寝つきがいいから安心しな」・・・・ などと、この期に及んで妙な気をつかうのだ。                            次の朝木曽を発つとき銘酒『七笑い』を一本買って彼女に預けた。ベンツの広い後部座席で一升瓶を抱えご満悦。城崎に着く頃はもうすっかり酔っ払って大いびきであった。木曽の山の中で道に迷ったりもして散々な旅行だったが、今となってはとても懐かしい。以来、一度も化けて出たことはないので、彼女もきっと満足しているに違いない。

     遠き日は波音ばかり白むくげ


送り盆

2006-08-16 15:24:36 | 日記・エッセイ・コラム

知人のNが訪ねてきたので例の「ダイナマイト」を切ることにした。結構高価なスイカらしいが食感は名前ほどではなかった。やはりスイカはスイカらしく青い縞模様がいい。    今日は送り盆。三泊四日の現世参りもあっという間に過ぎて、ご先祖たちは彼岸の国への還り支度。精進揚げを供えナスビの馬を添えて送り出してやる。糸のような雨が降ってきた。村は静けさをとりもどしている。

     白靴のかすかな湿り盆の道


花火

2006-08-15 10:19:50 | 日記・エッセイ・コラム

村の賑わいも今日がピーク。夜には恒例の花火大会がある。この村にこんなに沢山の人がいたかと思うほど賑わう。昔は盆踊りであったが、十年ほど前から花火に替わった。ところが残念な事に毎年雨に悩まされる。前日まで快晴だったのが当日になると雨・・・・という年が度々あって、寄付が集まらないこともあった。それでも継続は力。今では他所の町からもやってくるほど有名になった。さて今夜はどうだろうか。朝から重苦しく曇ったままだ。

     火のにほう髪を抱きぬ花火の夜    


膨張

2006-08-14 10:39:35 | 日記・エッセイ・コラム

人の声や車の流れが、平常の10倍はあろうかと思われるほど・・・・畦道まで車が入り込んで。白い開襟シャツの大人たちは花を提げて墓参り。村のコンビニではヘソ出しの乙女らがアイスを舐めながら旧交をあたためている。一斉に咲き誇る百合や芙蓉やカンナのあれこれ。供物を抱えた生者の列とご先祖の霊とで村は膨張している。


盆の村

2006-08-13 23:26:34 | 俳句

     ほたる追ふこゑ馥郁と草の闇

     いつまでも灯のともりたる盆の村

     ほうたるの俄かに殖ゆる盆の村

     手のひらに蛍の鼓動つつみけり

     盆なれや見知らぬ縁者訪ね来し