ベンベエの詩的つぶやき

世の中をちょっと斜めに見て・・・

盆の道

2006-08-13 09:03:52 | 日記・エッセイ・コラム

          よいしょと立ち上がる

          すうっと背中がかるくなって

          爺ちゃ

          婆ちゃがおぶさってくる

          よみがえる

          あのふわふわ

          妻の背には父

          ぼくの背中にはだあれ

          ゆうぐれの草の道

          細くすずしい風が

          うなじを優しく

          くすぐるものだから

          ぼくは黙って

          なんどもなんども

          頷いてやる

          向うから

          お迎えのおさななじみ

          ちょうちんの灯に

          頬を染め

          そっと会釈して

          すれちがう


盂蘭盆

2006-08-13 08:42:35 | 日記・エッセイ・コラム

霊棚を飾りご先祖を迎えに行く。まだ誰も来ていない静かな墓地。水をやり線香をあげると背中にふわっと風を感じる。「さあ帰ろう」心の奥でつぶやくと、もういちど背中で風がわく。                                                   妻がお供えのおはぎを丸めている。姫たちは線香の煙から逃れて二階の奥で大人しくしている。不思議に蝉の鳴かない盆の入りである。


大移動

2006-08-12 21:53:09 | 日記・エッセイ・コラム

民族の大移動がはじまった。北へ南へ故郷へ、毎年繰り返される盆と正月の日本の風習。フランスではこの逆の現象が11月に起きる。フランス戦勝記念日(ナチスから自由を勝ち取った11月11日) この日は各地からパリに人々がなだれ込む。パリに向かう鉄路も道路も大混雑。凱旋門からコンコルド広場は軍人のパレードで埋め尽くされ、初冬のパリは熱く燃える。                                                ところでテロリストたちの計画が実行寸前で発覚し20余名が逮捕されたことは幸運だった。厳戒態勢の今日、約10万人の日本人が海外に出かけた。


ナミダサマ

2006-08-11 23:28:51 | 

     干柿の芯に

     ホトケサマが透けて見える

     提灯の芯に

     ホトケサマが揺らめいている

     欅の幹に耳を当てると

     祈りが聞こえてくる

     良いとか悪いとか

     そんなことはどうでもいいこと

     ホトケサマはどこにでも在して

     ひたすら柔らかく微笑んでいる

     夕べも夢まくらに

     ナミダサマを遣わして

     散々ひとを憎んだ

     その心を洗い清めてくれた

     ナミダサマは

     泣きやんだばかりの赤子の瞳にも在し

     産卵のウミガメの瞼にも在し

     ホトケサマの化身

     ナミダサマが顕われた日は

     雨上がりの五月のように

     総てがまぶしく耀いてくる


三文の徳

2006-08-11 11:06:48 | 日記・エッセイ・コラム

今朝は早起きして、隣町まで朝採りの野菜を買いに行く。天気晴朗。刈り倒された草の香が車の中に吹き込んでくる。穂孕み期の青田が一面波打っている。その上をトンボの群れが遊泳している。三文の徳とはこの爽快さかも。開店の時間に合わせたつもりが店の前はすでに人だかり。野菜の山がみるみる内に消えていく。早く買わないと損をしてしまいそうな気分に急かされ、手当たり次第つかみとっては籠に入れる。帰宅してから買ったものを卓上に広げると、やっぱり余計なものがいくつも混じっている。 

      晩夏には黄色い花がよく似合う。