UMA君のお部屋

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南アルプスの長い尾根と神秘的な池

2014-08-16 21:20:17 | 山歩き…アルプスの山
山行目的:蝙蝠尾根を歩いてみたい&池ノ沢池に行ってみたい。

山行日:2014年8月12日(火)~8月16日(土)

天気:
13日 晴れ時々曇りまたは雨
14日 雨、夕方から晴れ
15日 朝のうち晴れ、のち曇りまたは雨、稜線上は強風
16日 雨、下界は大体晴れ

山行者:単独です

CT:
12日 自宅21:09=岐阜羽島IC=新清水IC=奈良田P2:49(車中仮眠)
13日 奈良田P5:30…奈良田バス停5:39/6:35=バス=伝付峠入口バス停6:53…
迂回ルート急登の先の乗越8:51…保利沢小屋9:53…二俣10:41…
伝付峠12:28…二軒小屋13:38(テント泊)
14日 二軒小屋4:58…蝙蝠岳登山口5:27…1720東電施設6:19…
徳右衛門岳9:38…蝙蝠岳11:50…2845ピーク直下13:19(テント泊)
15日 2845ピーク直下4:43…北俣岳5:04…分岐5:19…北荒川岳6:10…
新蛇抜尾根下降開始7:00…新蛇抜沢出合8:16…池の沢小屋8:50…
池ノ沢池10:47…広河内岳13:04…大門沢下降点13:25…大門沢小屋15:25(テント泊)
16日 大門沢小屋5:34…奈良田P8:13/8:36=新清水IC=岐阜羽島IC=自宅15:00

≪13日≫

伝付峠入口バス停に降り立ったのは僕一人。

伝付峠入口の広場には家族がキャンプを楽しんでいた。

初めは林道歩き、一時間程で田代第二発電施設に着く。

丁字路を左折し暫く直進、青ペンキの矢印に従って沢へ下りていく。

広い河原に流れる小沢を左岸から右岸側に渡渉する。

連続した堰堤を越えた先で左岸に渡り崩壊地左手の急な尾根を登っていく。


以前は左折した丁字路をそのまま直進して登山道へ至ったが、

その登山道が一部崩壊しう回路としてこの急登尾根越えのコースができた。

ほとんどの箇所でワイヤーやロープが掛けられている。


中には壁みたいなところを登っていく所も。

砂礫の滑りやすい道が続く、落石も発生しやすくとても危ない。

乗越に着くとヤレヤレだ。


乗越には大きな穴ぼこやトタンがあったので昔ここに炭焼き小屋があったのかもしれない。

昔の人はどうやってここ歩いたのだろうか?

少し尾根を歩き、左山を見て下降していく。ここもワイヤーが所々掛けられていた。

沢に下り立つ、ここを渡渉するらしい。


目の前には丸太の簡素な橋、しかし流れの半分程しか掛かっていない。

その先には浅い流れ、靴を濡らしたくないので裸足になって渡渉した。

沢を渡ったところでと旧道と合流する。

崩壊した登山道方面はロープが掛けられ行けないようになっていた。


横着してロープを潜りその先を覗いたら丸太の橋が確かに崩れていて危なそうだった。


左岸を歩いて行く、左手には沢、時々現れる小滝が素晴らしい。


秋に訪れたら紅葉と相まって特にいいのではないだろうか。

二つ目の渡渉点も靴を脱いで渡った。渡渉のために二度も脱いだのは初めてだ。


二俣のところで三度目の渡渉、これはなんとか靴を脱がずに渡渉出来た。


今回の山行前に台風が日本列島を縦断した。ここら辺も影響があったであろう。

水量が多くて渡渉すら困難⇒敗退と最悪な事を考えていたが、

以外にも水量は多くなく渡渉に手間取らず本当に良かった。

二俣からは右俣沿いをちょこっと歩いて尾根に取り付く。

九十九折りの登山道。

人があまり訪れないコースであろうに踏み跡はしっかりしていた。

やがて笹野原が現われ針葉樹の森になるといい雰囲気になった。


去年お世話になった水場で休憩、冷たくておいしい水。

誰もいないことを確認し濡れタオルで体を拭いた。

水場からひと登りで伝付峠、割と綺麗な道を一時間強下れば二軒小屋だ。



(二軒小屋へ下る途中で見つけた。マスタケかな?)


(同じく、ホウキタケの仲間?)



立派なログハウス調の二軒小屋ロッヂ、別邸もありこちらも立派だ。

値段の方も立派で、泊るのにはちょっと勇気がいる。

小屋の前には自販機、350mlの缶ビールが350円、缶ジュースが150円、ペットボトルが200円、

割と良心的な値段だ。缶ビールは担ぎあげてきたが一本だけ買った。

とても冷え冷えでうまかった。

ここのテント場は草地、下はフカフカで寝心地がいい、涸沢より断然こっち!


ケータイが繋がらないのがちょっと残念なぐらいだ。

≪14日≫
今にも降り出しそうな空の下出発する。

二軒小屋から林道を歩き田代池を右に見て歩く。

白濁した水と静粛の森がなんだかメルヘンチックで妖精が現れてきそうだ。


暫く道なりに進み二股を右へ、左へカーブする所が蝙蝠岳登山口だ。


登山届ポストに一枚登山届が入っていた。

どうやら昨日蝙蝠岳を登頂し一泊して今日下山してくるようだ。

途中ですれ違うかもしれない。

道はいきなりの急登で、朝一番にはキツイ登りだ。

翌日朝まで水は汲めない行程なので()プラティパスに水を満タンにしてきたのでザックはずっしりと重い。

登山口から主尾根へと延びる支尾根は等高線が詰まっていて地図からも急登であることが読み取れる。

道は大きな岩や木の根っこが張り出していて昨日歩いた伝付峠までの道とまた違う感じがする。


曇り空で薄暗いため陰険な感じさえもする。

主尾根に上がればこれでやれやれ少しは楽になるかなと思ったが

チョットした岩峰の上り下りがあって慎重にさせられる。

この感じどこかで経験したような…そういえば昨年歩いた奈良田越から

白剥山経て黒河内岳へ至る道にこのような所があった事を思い出した。

地図を見たら今歩いている尾根の東側、

ガスが掛かって上部はよく見えないが懐かしさを感じた…一年前なのに(笑)

暫く歩いて行くとこの山に似つかわしくない東電の施設と思われる構造物が現れた。


コンクリート製のその構造物は全く持ってこの地に似つかわしくないものだ。

登山道は左手に立派な鉄階段がありここを登っていく。

テッペンまで登り振り返ると伝付峠から南へ続く緩やかな尾根が見えた。

この先尾根は比較的緩やかで歩きやすい。

辺りは栂と苔の森で、ガスと雨がつやを与えてとてもいい感じになっている。


足元を見てみれば種類豊富なきのこ。

(ハナビラタケと思われる。)


(タマゴタケかな?)


(サンゴみたいなキノコ)

中には図鑑でしか見た事のないようなものもあった。

見つけてはしゃがんで写真に収めた。

途中で上から三人組が下りてきた。話を聞くとどうやら登山ポストにあった計画書の主らしい。

少し話を交わし別れた。こんな鬱蒼とした森の中で、

しかもあまり人が入らないルートで人に合うと妙に嬉しくなってしまう。

徳右衛門岳までは5時間弱掛かった。


東海パルプの立派な標柱はあったが徳右衛門岳の文字は無かった。

二軒小屋の掲示板にはテント適地と書いてあったが、個人的にはどうかな~という感じ。

徳右衛門岳から蝙蝠岳へは破線ルート扱いだが

樹林帯は踏み跡がハッキリしていて実線ルート扱いでもよいくらいだ。

樹林帯を抜けると辺りはガレていてハイマツぐらいしか生えてない。

左から風雨や風ガス?が吹き付けメガネに細かい水滴となってよく見えない。

メガネの水滴を払ってもガスっていてよく見えない、こういう時GPSは本当にありがたい。

徳右衛門岳から二時間強で蝙蝠岳に登頂。


長い長い尾根を登りようやくたどり着いた頂上だが、この悪天候下では感動はやや↓。

写真を撮って先に進む。

この先テント適地を探しながら先に進む。

蝙蝠岳直下にも適地を発見したが欲を言えば出来ればもう少し進んでおきたい。

再び樹林帯に入ると前から単独男性がやって来た。

『こんなところで人に会うとは』と言われたが、僕も同じ気持ちだった。

少し話して別れたが、出来ればもっと話してみたい相手だった。

男性はこの日、高山裏避難小屋から歩いてきたそうだ。

このまま蝙蝠岳を踏んで二軒小屋まで下るらしい…なんて健脚なんだ!羨ましい。

当初予定していた2845ピーク直下(東側)になんとかソロテントなら張れるスペースを見つけた。

(夕方から晴れたので撮ってみた。別天地です(嬉))

西風を避けられる場所だったのでここに張る事に決めた。

悪天の中歩いたので靴の中もザックの中も雨具の下もびしょびしょになってしまった。

靴の中は下山するまでどうにもならず、

ザックの中のものもビニールやスタッフバックに包んでなかったものは濡れ濡れ、服は寝てなんとか乾いた。

午後から回復するという天気予報は外れ夕方まで雷交じりの雨。

五時くらいから猛烈な風と共にガスが取れ晴れた。

夜中妙に明るいのが気になりテントから出てみると東に赤みがかった綺麗な月が出ていた。

月が出ていると星はあまり見えないはずだが、この夜天の川がうっすらと見えた。

流星群の時期もあり幾つか流れ星を見ることも出来た。

≪15日≫
この日は朝と夕を中心に張れる予報だが…3時に起きた時はガスの中の雨だった。

テントを畳み出発する5時前になって猛烈な西風と共にガスが取れ始める。

北俣岳付近で日の出を迎えた。

富士山も見え、今日は一日いい天気になるかな~と思ってたけど

予報通り!?晴れてたのは日の出1時間程。



(朝のわずかな時間に蝙蝠岳の山容を見ることが出来ました。)

あっという間に稜線はガスに包まれた。

北俣岳付近の危険マークのところはちょっと危険。

悪天候ここを通過するのは危ないと思う。

2845ピーク直下にテントを張ったのは正解だったかも。

危険マークを過ぎるとすぐに一般道と合流する。

滑りやすい急な坂道を下りていくと雪投沢への入口。

ここを下って東俣へ下りた方が早いかもしんないと何度思った事か。

しかし沢の下降は登るより危ないので…縦走路を先に進みます。

さすが南アルプスのメインストリートだけあって登山客多いです。

(マルバダケブキの群生、雪投沢分岐~北荒川岳辺りで見られた。)

この時間帯この場所を北に向かって歩いているのが不思議なのか、

大体“どこを出発してきたのか”と聞かれます。

蝙蝠岳付近と答えると一テンポ遅れて“あ~”と思いだしたような答えが返ってきました。

3年くらい前の僕だったら“え!?”でしょうね(笑)

新蛇抜山は山頂を通らず、左山を見てトラバース気味に通過します。

すぐにあらわれる小ピーク手前あたりから

新蛇抜尾根の旧道は東俣へ下っているふうに地形図には描いてあります。

取り敢えず忠実に下ってみましたが最初はよく解りませんでした。

すぐに幼木帯でちょっとだけ藪漕ぎ、すぐに視界は開けます。

すると、これは道かな?という踏み跡が。



(大岩の脇を通るところもありました。)


(切り株にハート型の穴があるものを見つけました。)

GPSで確認するとどうも正解のようです。

さらに下っていくと比較的新しめのピンクテープが現れ確信が持てました。

倒木で塞がれていたり幼木に隠れていたりしますが現在でも十分歩けます。

というか、知ってる人は結構使っているんじゃないのかな?

途中何回かロストしそうになったけどGPSで確認したり

ピンクテープ探したりしながら歩いて行けました。ピンクテープも結構付いてます。


これならちょこっと手入れするだけで十分実線ルートでも行けるんじゃないかと思われます。

最後は廃林道を横切り、さらに下っていくと崩壊した建物がある所に出た。


辺りはガス缶やら缶詰めが散乱していた。

なんだか遺跡を見ている様な、人間の汚い部分を見ているような変な気分になった。

ここから東俣の川の流れる音がよく聞こえておりチョイチョイで東俣右岸に降り立った。



(新蛇抜沢出合)

新蛇抜沢を靴のまま渡渉する。

このまま右岸を歩いて行ってもいずれ左岸に渡らなければいけないので、

沢靴に履き替えて広浅な場所を選んで渡渉した。


水量は多くなく、深い所でも膝したくらいだった。

30分程左岸を下り、左手の小高い所に廃屋を見つけた。池の沢小屋だ。




トタン張りの山小屋、重い木の戸を開けると噂通りデポされた食糧とかが置いてあった。

計画よりかなり早く着いたが特に一服する間もなく池ノ沢を登り始めた。

最初は沢通しで。情報通り倒木いっぱいで遡行しにくい。


かといって陸も倒木いっぱいで歩きにくい。

たまに右岸へ行ってみて目印や旧道を探しながら歩いたが、歩きにくさから沢へ戻った。

地形図でいう2150~2200m辺りで右岸側から入る枝沢、

そのもう少し下辺りから旧道が解りやすく、比較的歩きやすいのでこちらを歩いた。

たまに枝沢とかで崩壊していたりしてロストしそうになるが沢通しより断然歩きやすい。

沢の方は、出合から暫くはチャラ瀬や段々があった程度だが

5~10m位落差のある滝が現れ遡行は時間がかかりそうだった。


中には直登困難そうな滝もありそういう所は右岸の旧道を使って巻けるのはありがたい。

もしこの旧道が完全に消滅してしまったら池ノ沢池へ至るのはさらに困難になる事だろう。

滝の音や水の流れる音が小さくなり、倒木が流れを堰き止めている様な所のすぐ上に池はあった。


思ったより大きな池でとても澄んでいる。

底が白っぽい砂地だから特に澄んでいるように見えるのかもしれない。

底からは水が湧いているのかポコポコと泡が浮いてくるところがある。

また、倒木が沈んでいていい雰囲気を醸し出している。

ざっと見た感じ魚は住んでいそうにない感じ。

もし大きなイワナが悠々と泳いでいたらそれはそれで感動したかもしれない。

古代魚とか居たら…想像するだけで楽しい。

これは一見の価値ありです。ここまで来るのがちょっと大変ですが。

本当はこの池の畔で一泊して明日下山予定のつもりでしたが、天気予報によると翌日は荒天の予報。

しかも稜線上は風雨となるそうで、下手すると山に閉じ込められるかもしれないので先へ進みます。

という事でこの日は大門沢小屋が目的地。欲を言えば奈良田まで降りたいですが…。

時計回りに畔を歩いて広河内岳へ詰める沢へ向かいます。

地形図では最初右岸を詰めるような描き方ですが、見つけた目印は左岸側にありました。

池から上は目印が少なく踏み跡薄く、解りにくい所が多いです。


(レタスの様なキノコ?)

上部はハイマツとゴーロになっており、ハイマツは何度か漕ぐ羽目になります。



(広河内岳への分岐のケルン。これを見逃すとコルへと詰めてしまう。)


(広河内岳頂への道、ちょこっと進むと解りにくくなりますが…。)


(広河内岳を仰ぎ見る。時折吹く突風で足止めされなかなか進めない。)

ゴーロは意外にも道崩れていなかったり、

歩いたところが擦れて変色していたりして解りやすかったです。

上部に行くほど猛烈な風が吹きなかなか進みませんでした。

もし翌日ここを風雨にさらされながら登っていたら低体温症になっていたかもしれません。

猛烈な風にさらされ、おまけにガスって何も見えない広河内岳は写真を撮ったらスグあとにします。

大門沢下降点までは暫く風から身を守る所のない道を歩かされます。

晴れていて風も穏やかならいい気分でしょうが、この時は違いました。

幾つか小ピークをやり過ごし左山を見て下っていく過程で

ようやく西風は山に遮られ風からのストレスから解放されました。

大門沢下降点までこればヤレヤレ、あとは最大でも3時間程歩けば小屋に到着です。



(大門沢小屋への道端で見つけたラッパ型のキノコ。)

大門沢は初めて歩くのですが、かなりの急坂でした。

何度かやんなっちゃって、心が折れそうになりましたが、

頑張ってなんとか大門沢小屋に到着しました。

受付を済ませテントを設営したら16時をまわっていて夕食を作らなあかんなーと

思いながらもこの日の長い行程に疲れ行動食にしていたフルーツグラノーラだけの簡単な食事を済ませ床に着きました。

≪16日≫

この日は3時間程歩くだけ、奈良田に着けばあとは長い長い運転だけです。

朝からザアザア降りかと思ってましたが、

たまに小雨が降る程度で晴れ間も見えたりすることもあってチョット肩透かしを食らった気分でした。

道はグチョグチョで歩きにくい所は多いですが、難所と言う所は特にありません。

八丁の急坂もちょっと身構えていましたが、実際は九十九折りになっていて簡単に下っていけました。

最後の最後個人的に嫌だったのが吊橋。これが今山行中の最大の核心部だったような気がします。


奈良田に着いた時はホントやれやれでした。

計画通り歩いてこれてよかったです。

途中何度か“大丈夫かな、大丈夫かな”と思うところはありましたが。

また一つ成長したという感じでしょうかね。

早く下山してしまったため、途中立寄った温泉はすべて開店前でした。

しかたなく汚れたちょっと臭う身体で帰りました(笑)


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