山名:仙丈ヶ岳・甲斐駒ケ岳(駒津峰で撤退)
山行目的:冬の仙丈ヶ岳・甲斐駒ケ岳に登ってみたい。
山行日:2013年12月29日(日)~31日(火)
天気:29日晴れ 30日晴れ 31日雪のち晴れ
山行者:単独です。
29日 自宅6:00=岐阜各務原IC=伊那IC=戸台P9:40/9:57…
丹渓山荘跡12:37…長衛小屋テント場15:18(テント泊)
30日 テント場6:20…大滝頭7:54…小千丈ヶ岳9:14…仙丈ヶ岳10:20~10:50…
小千丈ヶ岳11:36…大滝頭12:03…テント場13:28(テント泊)
31日 テント場6:10…仙水峠7:01…駒津峰(撤退)8:33…
仙水峠9:24…テント場10:09~11:07…丹渓山荘跡12:32…戸台P14:39/
15:00=仙流荘=伊那IC=岐阜羽島IC=自宅19:30
今年の年末もテント背負って南アルプスの山へ行ってきました。
前回の年末年始は白根三山縦走計画…でしたが北岳すら登れず、
八本歯ノ頭の先でビビってしまって泣く泣く敗退でした。
今年は勉強して、南アルプス入門向けとされる仙丈ヶ岳と甲斐駒ケ岳を計画しました。
≪29日≫
戸台Pに着いたのは9時40分頃、計画書を提出し10時頃出発しました。
広い駐車場はすでに満車状態で、
登山口から遠く離れた端っこに停めることとなりました。
もうこれ以上停められないだろうと思っていましたが、
下山後“そんなところにも!?”とビックリするくらいの停め方に
仙丈・甲斐駒が冬でも人気のある山であることを思い知らされました。
登山口で計画書を提出し今日の目的地“長衛小屋”に向けて歩きます。
戸台川に沿って、または縫うようにトレースは付いています。
堰堤の脇を越えたり、幾度と渡渉したり、
伏流してだだっ広い河原をあるいたり…。
戸台川の奥にはごつごつしてカッコいい甲斐駒が鎮座していて、
やる気を出させてくれます。
丹渓山荘跡までは長々と水平歩行でしたが、
ここからはいよいよ登りに入ります。
古びた木造の廃屋を脇から八丁坂を登っていきます。
登りかかってすぐ、ロープが付いている辺りまでは足元悪く、
重い荷を背負って通過するにはバランス崩しやすく注意が必要です。
崖の脇の細い道なので落ちたら真っ逆さま、
この日一番注意を要した所でした。
長衛小屋まではアイゼン必要無いですが、
ここだけは付けた方が無難かもしれません。
八丁坂は名の通り急登でヒイヒイ言わされる坂道なのかな?
と考えておりましたが、実際は緩い勾配の九十九折りが続いていて、
ヒイヒイ言わされる程ではありませんでした。
八丁坂を越えると一旦傾斜の緩い地形に変わります。
太く高い木々が生えるその森は
もののけ姫が出てきそうな雰囲気がありました。
林道を幾つか横切り、大平山荘までこれば北沢峠は目と鼻の先です。
ショートカットの急登をやりすごせばひょこっと北沢峠の林道に出ます。
まだ新しい轍があり、この時期どうして車が?
と首をひねってましたが、
長衛小屋にいて小屋番さんとお話しした時に解決しました。
いつも南アルプス林道を車で上がって、
途中から歩いて小屋入りしているが今年は峠まで上がってこれたとのこと。
雪崩の心配があるので車はすぐに引き返しましたけどね…ともおっしゃっていました。
戸台からここまで結構な道のり、雪崩は怖いけど、
荷台でもいいので乗っけてくれたら嬉しいな。
北沢峠から緩やかに下っていき10分足らずで長衛小屋。
新しくなった長衛小屋はとても綺麗で南アルプスの小屋とは思えない佇まいだ。
受付を済ましテント場へ、すでに十数張り。
翌日には40張りほどのテント村に変貌していました。
すでに整地してある所に設営出来たらいいのだけどそんな所は無く、
少しだけラッセルしてシャベル使って整地しました。
しっかり整地したのは初めて、三畳程を整地したらちょいと疲れました。
今回は持ってきたテントは一年ぶりとなるニーモテンシ。
去年は設営しにくいなーと文句言ってましが、今回は割と早く設営出来ました。
コツをつかんできたかな>自分。
モンベルやダンロップなど有名どころのテントが建ち並ぶ中、
“ニーモ テンシ”はかなり浮いた存在でした。
テント設営した頃にはすっかり薄暗くなっていて、
ベッドメイキングしたらそのまま夕食の準備に取り掛かりました。
今晩のメニューは“きりたんぽ鍋”
材料は鶏肉、白菜、しめじ、マイタケ、きりたんぽ。
あらかじめ自宅で切ってジップロックに入れ冷凍して持ってきました。
冬なので山でも冷凍状態で保存できるのはありがたい。
しかし、冷凍した野菜って解凍すると漬物っぽい触感になるのが残念。
白菜は特に漬物っぽい触感でしたね、仕方がないですね。
鍋の素と水をコッヘルに入れ温めたら具を入れて一煮立ちし出来上がり。
ちなみにこのテント場は冬、脇を流れている川から水を汲みます。
要煮沸ですが、雪を溶かして水を作る事を考えればとてもありがたいです。
焼酎のお湯割りを飲みながら頂くきりたんぽ鍋は絶品でした。体も温まるしね。
ちなみに夕食は二日連続きりたんぽ鍋のメニュー。
毎日違う料理食べたいけど、面倒臭いしね(笑)
食べ終わったら何もすることが無いので、かなり早いですが7時前には就寝しました。
≪30日≫
まだ薄暗い中出発、天気はいいようで期待上々。
朝飯は力ラーメンです。色々試してきましたが、これが一番です。
北沢峠のトイレの脇からトレースが付いており、ラッセル無しで上がっていけました。
急登をやりすごして最初の平坦な所に着いた時には
ヘッドライトは必要ない明るさになっていました。
ヘッドライトを消し登行を続けます。
途中で日の出を迎えました。
オレンジ色に包まれた森は寒さを忘れさせてくれるくらい
温かみのある雰囲気に包まれました。
大滝頭までは休憩なしで一気に登りました。
大荷物はテント場で下ろしましたので身軽になった体で楽に登る事が出来ました。
大滝頭でアイゼンを装着、ピッケルをザックからはずし、ゴーグルを装着します。
ここで出会った単独男性と山頂までほぼ一緒に歩きました。
男性は愛知の方で年も近く、山行歴も同じくらいで話が合いました。
単独って色々な人と出会い話す機会ができるのでパーティよりも断然好きです。
写真撮るのが好きな人みたいで
ちょくちょく立ち止まっては歓喜しながら連写してました。
それもそのはず、森林限界超えたら絶景が出迎えてくれたのだから。
やはりアルプス、スケールが違います。
仙丈ヶ岳は夏に2度訪れているけど、素晴らしさは冬の方が圧倒的だね。
ただ、森林限界超え稜線歩きとなると八ヶ岳と比べても長い歩きとなる。
冷たい風にさらされるので凍傷の危険性もあるし、
冬のアルプスはやっぱ違うなと改めて思い知らされた。
小仙丈ヶ岳の手前にある雪壁、夏道だと直登はしない…はず!?(記憶薄い)
結構高さある、下りはちょっと怖いかも!?
東の斜面で風がひっきりなしに当たらず、巻き風がたまに来るだけ。
雪は意外と柔らかく、ツボ足気味で登った。
雪壁をのっこしてチョイチョイで小仙丈ヶ岳。
ここで仙丈ヶ岳が目の前にドーンと現れた。
自然と口元が緩み、嬉しくなって先へ進む。
道は大方尾根直登ルート、
山頂手前の小ピークは両側切れ落ちていて
ちょっと怖い所がったけど風もなくあおられずになんとか越えられた。
山頂までの少しの登り、満面の笑みで一歩一歩進みそして頂に立った。
厳冬期の初3000m越え、アルプスで、単独で…
もう嬉しくて嬉しくて仕方がなかった。
念願の冬のアルプスに立った。
天気はとてもいい、北の方の山はガス掛かってるけど、
南アルプス全域は雲一つなく、富士山もくっきり見える。
とてもサイコーの気分だ、僕はこれを待ち望んでいた。
写真を撮り歩いてきた愛知の単独男性が後から登頂して喜びを分かち合う。
30分程山頂に滞在して下山する。
寒くなかったらもっと居たいんだけど、冬山だから寒いし仕方がないよね。
単独男性は寒さに強いみたいで、まだ写真を撮るそう、
こちらは寒いのでお別れを言って先に下山を開始した。
下りも比較的風は穏やか、小仙丈からの急な下りは雪山始めた時、
伊吹山九合目からの下りを思い出した。
あの時は余裕なかったけど、今はゆっくりだけど余裕を持って下った。
樹林帯に入ると風も和らいで大滝頭でホッと一息ついた。
ここで翌日の天気予報メールを受信する。
長衛小屋は谷間なのでドコモと言えども電波状況が良くない。
31日は午前中天気が良くないようだ。
昼は晴れ間が出るそうだが強い風が吹くらしい。
北沢峠まで一気に下って、アイゼン、ピッケル、ゴーグルを仕舞ってテントに戻った。
片付けをし、ハードウエアからダウンウエアに着替えて長衛小屋で。
登頂記念に缶ビールとおでんを注文し一人お祝いをした。
テントに戻りひと眠りしてから夕食、この日も早い時間に床についた。
≪31日≫
朝起きると、前日ほど寒くない。
気になって外を覗いたら雪が舞っていた。
食事を済ませ小屋前でアイゼンを装着し出発する。
まだ暗くヘッドライトを付けて小雪舞うなか歩く。
風は強いが晴れる予報なので、なんとか早めに天気回復して欲しい。
仙水峠手前のロックガーデンでヘッドライトを消した。
甲斐駒ケ岳はガスに覆われている。仙丈ヶ岳も同じくだ。
仙丈ヶ岳は問題ないが甲斐駒ヶ岳は六方岩から上は厳しい、
そう聞いていたので不安になる。
まずは仙水峠から駒津峰を目指して登っていく。
樹林帯はなんともないが、木が生えてない所に出ると風の強さをハッキリわかる。
風速15~20mはありそう、時折来る突風は身体を持ってかれそうになる強い風だ。
駒津峰頂までもう少し、
甲斐駒ケ岳の方に目をやると相変わらず六方岩から上はガスに包まれている。
時折晴れ間が出るが、山にまとわりついたガスまではとれない。
先行している男性二人組は駒津峰を越え先に進んでいったようだった。
駒津峰8時33分登頂、風、ガス、雪は相変わらずだ。
単独、冬山はそれ程経験ない、厳しい状況での冬山なんて経験した事が無い。
しばらく甲斐駒の方を見つめていたが、ふっと力が抜けた。
8時40分撤退を決めた。
現在厳しい状況、この先は地形的にも厳しくなる。
経験乏しい単独の僕にはどうする事も出来ない、冬山は特に安全第一。
“突き進むより、勇気ある撤退”だ、無事に下山してこその登山だ。
下山中、すれ違う人に何度も“もう登頂されたのですか?”聞かれる。
笑って“駒津峰で撤退です”と答えるしかない。
すれ違う人、ほとんどが、すべての人が登頂出来るかも知れない。
しかし、自分と同じ力量とは限らない。悔しいがしかたがない。
下山中風が弱まり、晴れ間が先ほどより多くなってきた気がした。
登り返そうかと思ったが、止めた、
今は良さそうに見えるけどこの先も良いか悪いかなんてわからない。
甲斐駒に登頂出来なかったのでかなり早くテント場に戻った。
計画では元旦に下山だが、これなら今日中に下山は可能だ。
元旦は31日よりも天候が悪くなるみたいなので、今日下山した方が良さそうだ。
一時間程で撤収完了。
食べた分だけ軽くなっているはずだが背負ったザックは重かった。
北沢峠には目と鼻の先だが、着いたころには大分青空が広がっていた。
今なら…後ろ髪引かれる思いだがそのまま下山を続けた。
戸台から続々と登山者が上がってくる、改めて人気の程を知る。
1時間半程で丹渓山荘跡に到着、手前のロープ場はアイゼン装着でもヒヤヒヤした。
できたらここだけ道を付け変えて欲しい。
簡単な昼食を取りアイゼンとピッケルを片づける。
ここから2時間ほどの河原歩きで戸台Pに戻ってきた。
上高地(横尾~上高地)や八ヶ岳(美濃戸~美濃戸口)でも
思うのだが帰りの水平歩行は長く退屈なものに感じる。
行きはあんなにウキウキなのに。
後ろを振り返れば雲がほとんどない空にガスに巻かれていない甲斐駒ケ岳。
今日、何人が登頂したのだろうか。
仙流荘により汗と油を洗い流して岐路についた。
自宅に着いたのが7時半、まだ夕食前で、
家族と一緒に年越しそばを食べながら大晦日を迎える事が出来た。
もし甲斐駒に登頂出来ていたら大晦日中に下山は無理だったろう。
甲斐駒に登頂出来なかった悔しさよりも、
大晦日、暖かい家の中で家族と過ごせる事の方が勝って、
登頂出来なくても良かったかも…と思えるようになっていた。
今回欲張りに二つも登頂は出来なかったが、
念願のアルプス3000m超えの山に登る事が出来て良かった。
登頂だけではなくこの山行そのものも有意義な3日間となった。
これからも元気な体で、安全に登って行こう。
今年一年ありがとうございました。
2014年も色々あると思いますが、
遊びを大切にし楽しく生きていこうと思います。

(戸台川から見える甲斐駒)

(シュカブラと甲斐駒)

(仙丈ヶ岳から伊那谷と中央アルプス望む)

(鋸と甲斐駒、奥に八ツ)

(富士と白根三山(農鳥は見ずらい))
山行目的:冬の仙丈ヶ岳・甲斐駒ケ岳に登ってみたい。
山行日:2013年12月29日(日)~31日(火)
天気:29日晴れ 30日晴れ 31日雪のち晴れ
山行者:単独です。
29日 自宅6:00=岐阜各務原IC=伊那IC=戸台P9:40/9:57…
丹渓山荘跡12:37…長衛小屋テント場15:18(テント泊)
30日 テント場6:20…大滝頭7:54…小千丈ヶ岳9:14…仙丈ヶ岳10:20~10:50…
小千丈ヶ岳11:36…大滝頭12:03…テント場13:28(テント泊)
31日 テント場6:10…仙水峠7:01…駒津峰(撤退)8:33…
仙水峠9:24…テント場10:09~11:07…丹渓山荘跡12:32…戸台P14:39/
15:00=仙流荘=伊那IC=岐阜羽島IC=自宅19:30
今年の年末もテント背負って南アルプスの山へ行ってきました。
前回の年末年始は白根三山縦走計画…でしたが北岳すら登れず、
八本歯ノ頭の先でビビってしまって泣く泣く敗退でした。
今年は勉強して、南アルプス入門向けとされる仙丈ヶ岳と甲斐駒ケ岳を計画しました。
≪29日≫
戸台Pに着いたのは9時40分頃、計画書を提出し10時頃出発しました。
広い駐車場はすでに満車状態で、
登山口から遠く離れた端っこに停めることとなりました。
もうこれ以上停められないだろうと思っていましたが、
下山後“そんなところにも!?”とビックリするくらいの停め方に
仙丈・甲斐駒が冬でも人気のある山であることを思い知らされました。
登山口で計画書を提出し今日の目的地“長衛小屋”に向けて歩きます。
戸台川に沿って、または縫うようにトレースは付いています。
堰堤の脇を越えたり、幾度と渡渉したり、
伏流してだだっ広い河原をあるいたり…。
戸台川の奥にはごつごつしてカッコいい甲斐駒が鎮座していて、
やる気を出させてくれます。
丹渓山荘跡までは長々と水平歩行でしたが、
ここからはいよいよ登りに入ります。
古びた木造の廃屋を脇から八丁坂を登っていきます。
登りかかってすぐ、ロープが付いている辺りまでは足元悪く、
重い荷を背負って通過するにはバランス崩しやすく注意が必要です。
崖の脇の細い道なので落ちたら真っ逆さま、
この日一番注意を要した所でした。
長衛小屋まではアイゼン必要無いですが、
ここだけは付けた方が無難かもしれません。
八丁坂は名の通り急登でヒイヒイ言わされる坂道なのかな?
と考えておりましたが、実際は緩い勾配の九十九折りが続いていて、
ヒイヒイ言わされる程ではありませんでした。
八丁坂を越えると一旦傾斜の緩い地形に変わります。
太く高い木々が生えるその森は
もののけ姫が出てきそうな雰囲気がありました。
林道を幾つか横切り、大平山荘までこれば北沢峠は目と鼻の先です。
ショートカットの急登をやりすごせばひょこっと北沢峠の林道に出ます。
まだ新しい轍があり、この時期どうして車が?
と首をひねってましたが、
長衛小屋にいて小屋番さんとお話しした時に解決しました。
いつも南アルプス林道を車で上がって、
途中から歩いて小屋入りしているが今年は峠まで上がってこれたとのこと。
雪崩の心配があるので車はすぐに引き返しましたけどね…ともおっしゃっていました。
戸台からここまで結構な道のり、雪崩は怖いけど、
荷台でもいいので乗っけてくれたら嬉しいな。
北沢峠から緩やかに下っていき10分足らずで長衛小屋。
新しくなった長衛小屋はとても綺麗で南アルプスの小屋とは思えない佇まいだ。
受付を済ましテント場へ、すでに十数張り。
翌日には40張りほどのテント村に変貌していました。
すでに整地してある所に設営出来たらいいのだけどそんな所は無く、
少しだけラッセルしてシャベル使って整地しました。
しっかり整地したのは初めて、三畳程を整地したらちょいと疲れました。
今回は持ってきたテントは一年ぶりとなるニーモテンシ。
去年は設営しにくいなーと文句言ってましが、今回は割と早く設営出来ました。
コツをつかんできたかな>自分。
モンベルやダンロップなど有名どころのテントが建ち並ぶ中、
“ニーモ テンシ”はかなり浮いた存在でした。
テント設営した頃にはすっかり薄暗くなっていて、
ベッドメイキングしたらそのまま夕食の準備に取り掛かりました。
今晩のメニューは“きりたんぽ鍋”
材料は鶏肉、白菜、しめじ、マイタケ、きりたんぽ。
あらかじめ自宅で切ってジップロックに入れ冷凍して持ってきました。
冬なので山でも冷凍状態で保存できるのはありがたい。
しかし、冷凍した野菜って解凍すると漬物っぽい触感になるのが残念。
白菜は特に漬物っぽい触感でしたね、仕方がないですね。
鍋の素と水をコッヘルに入れ温めたら具を入れて一煮立ちし出来上がり。
ちなみにこのテント場は冬、脇を流れている川から水を汲みます。
要煮沸ですが、雪を溶かして水を作る事を考えればとてもありがたいです。
焼酎のお湯割りを飲みながら頂くきりたんぽ鍋は絶品でした。体も温まるしね。
ちなみに夕食は二日連続きりたんぽ鍋のメニュー。
毎日違う料理食べたいけど、面倒臭いしね(笑)
食べ終わったら何もすることが無いので、かなり早いですが7時前には就寝しました。
≪30日≫
まだ薄暗い中出発、天気はいいようで期待上々。
朝飯は力ラーメンです。色々試してきましたが、これが一番です。
北沢峠のトイレの脇からトレースが付いており、ラッセル無しで上がっていけました。
急登をやりすごして最初の平坦な所に着いた時には
ヘッドライトは必要ない明るさになっていました。
ヘッドライトを消し登行を続けます。
途中で日の出を迎えました。
オレンジ色に包まれた森は寒さを忘れさせてくれるくらい
温かみのある雰囲気に包まれました。
大滝頭までは休憩なしで一気に登りました。
大荷物はテント場で下ろしましたので身軽になった体で楽に登る事が出来ました。
大滝頭でアイゼンを装着、ピッケルをザックからはずし、ゴーグルを装着します。
ここで出会った単独男性と山頂までほぼ一緒に歩きました。
男性は愛知の方で年も近く、山行歴も同じくらいで話が合いました。
単独って色々な人と出会い話す機会ができるのでパーティよりも断然好きです。
写真撮るのが好きな人みたいで
ちょくちょく立ち止まっては歓喜しながら連写してました。
それもそのはず、森林限界超えたら絶景が出迎えてくれたのだから。
やはりアルプス、スケールが違います。
仙丈ヶ岳は夏に2度訪れているけど、素晴らしさは冬の方が圧倒的だね。
ただ、森林限界超え稜線歩きとなると八ヶ岳と比べても長い歩きとなる。
冷たい風にさらされるので凍傷の危険性もあるし、
冬のアルプスはやっぱ違うなと改めて思い知らされた。
小仙丈ヶ岳の手前にある雪壁、夏道だと直登はしない…はず!?(記憶薄い)
結構高さある、下りはちょっと怖いかも!?
東の斜面で風がひっきりなしに当たらず、巻き風がたまに来るだけ。
雪は意外と柔らかく、ツボ足気味で登った。
雪壁をのっこしてチョイチョイで小仙丈ヶ岳。
ここで仙丈ヶ岳が目の前にドーンと現れた。
自然と口元が緩み、嬉しくなって先へ進む。
道は大方尾根直登ルート、
山頂手前の小ピークは両側切れ落ちていて
ちょっと怖い所がったけど風もなくあおられずになんとか越えられた。
山頂までの少しの登り、満面の笑みで一歩一歩進みそして頂に立った。
厳冬期の初3000m越え、アルプスで、単独で…
もう嬉しくて嬉しくて仕方がなかった。
念願の冬のアルプスに立った。
天気はとてもいい、北の方の山はガス掛かってるけど、
南アルプス全域は雲一つなく、富士山もくっきり見える。
とてもサイコーの気分だ、僕はこれを待ち望んでいた。
写真を撮り歩いてきた愛知の単独男性が後から登頂して喜びを分かち合う。
30分程山頂に滞在して下山する。
寒くなかったらもっと居たいんだけど、冬山だから寒いし仕方がないよね。
単独男性は寒さに強いみたいで、まだ写真を撮るそう、
こちらは寒いのでお別れを言って先に下山を開始した。
下りも比較的風は穏やか、小仙丈からの急な下りは雪山始めた時、
伊吹山九合目からの下りを思い出した。
あの時は余裕なかったけど、今はゆっくりだけど余裕を持って下った。
樹林帯に入ると風も和らいで大滝頭でホッと一息ついた。
ここで翌日の天気予報メールを受信する。
長衛小屋は谷間なのでドコモと言えども電波状況が良くない。
31日は午前中天気が良くないようだ。
昼は晴れ間が出るそうだが強い風が吹くらしい。
北沢峠まで一気に下って、アイゼン、ピッケル、ゴーグルを仕舞ってテントに戻った。
片付けをし、ハードウエアからダウンウエアに着替えて長衛小屋で。
登頂記念に缶ビールとおでんを注文し一人お祝いをした。
テントに戻りひと眠りしてから夕食、この日も早い時間に床についた。
≪31日≫
朝起きると、前日ほど寒くない。
気になって外を覗いたら雪が舞っていた。
食事を済ませ小屋前でアイゼンを装着し出発する。
まだ暗くヘッドライトを付けて小雪舞うなか歩く。
風は強いが晴れる予報なので、なんとか早めに天気回復して欲しい。
仙水峠手前のロックガーデンでヘッドライトを消した。
甲斐駒ケ岳はガスに覆われている。仙丈ヶ岳も同じくだ。
仙丈ヶ岳は問題ないが甲斐駒ヶ岳は六方岩から上は厳しい、
そう聞いていたので不安になる。
まずは仙水峠から駒津峰を目指して登っていく。
樹林帯はなんともないが、木が生えてない所に出ると風の強さをハッキリわかる。
風速15~20mはありそう、時折来る突風は身体を持ってかれそうになる強い風だ。
駒津峰頂までもう少し、
甲斐駒ケ岳の方に目をやると相変わらず六方岩から上はガスに包まれている。
時折晴れ間が出るが、山にまとわりついたガスまではとれない。
先行している男性二人組は駒津峰を越え先に進んでいったようだった。
駒津峰8時33分登頂、風、ガス、雪は相変わらずだ。
単独、冬山はそれ程経験ない、厳しい状況での冬山なんて経験した事が無い。
しばらく甲斐駒の方を見つめていたが、ふっと力が抜けた。
8時40分撤退を決めた。
現在厳しい状況、この先は地形的にも厳しくなる。
経験乏しい単独の僕にはどうする事も出来ない、冬山は特に安全第一。
“突き進むより、勇気ある撤退”だ、無事に下山してこその登山だ。
下山中、すれ違う人に何度も“もう登頂されたのですか?”聞かれる。
笑って“駒津峰で撤退です”と答えるしかない。
すれ違う人、ほとんどが、すべての人が登頂出来るかも知れない。
しかし、自分と同じ力量とは限らない。悔しいがしかたがない。
下山中風が弱まり、晴れ間が先ほどより多くなってきた気がした。
登り返そうかと思ったが、止めた、
今は良さそうに見えるけどこの先も良いか悪いかなんてわからない。
甲斐駒に登頂出来なかったのでかなり早くテント場に戻った。
計画では元旦に下山だが、これなら今日中に下山は可能だ。
元旦は31日よりも天候が悪くなるみたいなので、今日下山した方が良さそうだ。
一時間程で撤収完了。
食べた分だけ軽くなっているはずだが背負ったザックは重かった。
北沢峠には目と鼻の先だが、着いたころには大分青空が広がっていた。
今なら…後ろ髪引かれる思いだがそのまま下山を続けた。
戸台から続々と登山者が上がってくる、改めて人気の程を知る。
1時間半程で丹渓山荘跡に到着、手前のロープ場はアイゼン装着でもヒヤヒヤした。
できたらここだけ道を付け変えて欲しい。
簡単な昼食を取りアイゼンとピッケルを片づける。
ここから2時間ほどの河原歩きで戸台Pに戻ってきた。
上高地(横尾~上高地)や八ヶ岳(美濃戸~美濃戸口)でも
思うのだが帰りの水平歩行は長く退屈なものに感じる。
行きはあんなにウキウキなのに。
後ろを振り返れば雲がほとんどない空にガスに巻かれていない甲斐駒ケ岳。
今日、何人が登頂したのだろうか。
仙流荘により汗と油を洗い流して岐路についた。
自宅に着いたのが7時半、まだ夕食前で、
家族と一緒に年越しそばを食べながら大晦日を迎える事が出来た。
もし甲斐駒に登頂出来ていたら大晦日中に下山は無理だったろう。
甲斐駒に登頂出来なかった悔しさよりも、
大晦日、暖かい家の中で家族と過ごせる事の方が勝って、
登頂出来なくても良かったかも…と思えるようになっていた。
今回欲張りに二つも登頂は出来なかったが、
念願のアルプス3000m超えの山に登る事が出来て良かった。
登頂だけではなくこの山行そのものも有意義な3日間となった。
これからも元気な体で、安全に登って行こう。
今年一年ありがとうございました。
2014年も色々あると思いますが、
遊びを大切にし楽しく生きていこうと思います。

(戸台川から見える甲斐駒)

(シュカブラと甲斐駒)

(仙丈ヶ岳から伊那谷と中央アルプス望む)

(鋸と甲斐駒、奥に八ツ)

(富士と白根三山(農鳥は見ずらい))