山名:大無間山~大根沢山~光岳~茶臼岳
山行目的:南アルプス深南部を縦走する
山行日:2012年8月11日(土)~14日(火)
天気:11日くもりのち雨 12日晴れ一時ガスか雨
13日朝のうち晴れのち雨一時ガス 14日雨のち晴れ
山行者:単独です。
CT:
11日 自宅12:10=岐阜各務原IC=島田金谷IC=沼平18:30{自転車デポ}=
てしゃまんくの里19:00(車中泊)
12日 てしゃまんくの里5:50…小無間小屋8:43…小無間山11:02~11:31…
中無間山12:06…大無間山13:06~13:41…三方峰14:35(テン泊)
13日 三方峰4:47…アザミ沢で水補給5:54~6:22…大根沢山7:41…
コル9:07…西俣山11:11…信濃俣12:47…
百俣沢の頭南東2180ピーク付近14:30(テン泊)
14日 百俣沢の頭南東2180ピーク付近5:07…百俣沢の頭5:50…光岳6:44…
光小屋6:55…易老岳8:30…仁田岳希望峰9:39…茶臼岳10:11…茶臼小屋10:30…
横窪沢小屋11:38…畑薙大吊橋13:55…沼平14:35→(自転車)→
てしゃまんくの里15:42/16:24=川根温泉(入浴・食事)17:45~18:30=
島田金谷IC=岐阜各務原IC=自宅23:50
≪11日≫
午前中、仕事があったので昼過ぎに自宅を出発した。
この日は下山地に自転車デポしたら登山口付近で車中泊だ。
流石南アルプス、登山口まで半日掛かる、結構な長旅だ。
途中、出来立ての新東名高速を利用した。
勾配が殆ど無く、殆ど直線、
カーブがあっても緩やかで、車線も広く走りやすい。
走行車線は80~100kmで巡航できるが、
追い抜き車線はものすごいスピードで車が走り抜けて行く、
ぼわれたくなかったら走行車線が無難だ。
高速を下りてから沼平までが結構な距離、
大井川沿いを上流へ向かって走る。
途中くねくねとした道を走り畑薙第一ダム構造体の先の沼平に到着。
駐車場はそれ程混んではいない、登山計画書を提出し、
自転車を小屋の軒下に置かせてもらう。
デポが済んだら登山口の田代中へ戻る。
田代中のてしゃまんくの里(駐車場付き公衆トイレ)に
車を停めて仮眠する。
この日は生憎の雨、落ちる雨粒がルーフに当たりポタポタ音を
立てなかなか眠りにつけなかった。
≪12日≫
セットした目覚ましが鳴る前に目が覚めた。
駐車場に停めてあった2台の持ち主が準備している。
僕と同じく大無間方面へ向かうのかと思いきや、
車に乗り込み何処かへ行ってしまった。
朝食をとり準備し出発する。
天気予報では今日は雨だと言っていたが
どういうわけか青空が広がっている。
諏訪神社の鳥居を潜り登っていく、
林道を横切りさらに登ると神社境内と登山道へ分岐、
登山道入り口には登山届ポストがあった。
小無間小屋までは普通の樹林帯の登山道だった。
里山の登山道と何ら変わりないあるやすい道。
途中前方から60L程のザックを担いだ単独男性が下りてきた。
大無間山を往復したのだろうか、
てしゃまんくの里に昨日すでにあった軽バンの持ち主だろうか?
あいさつし涼しい顔で下りて行った。
一時間おきに休憩を入れながら3時間程で小無間小屋に着いた。
小無間小屋は手前にある小ピーク頂から一段下がった樹林帯の中にある。
ドアを開けると狭い土間、中は板張りで囲炉裏の良いなものがある、
火を焚いた匂いがしっかり染みついており中で泊ってみたいとは思わない。
外には雨水を桶に溜める仕掛けがあった。水場が付近にないからだろう。
万が一火事が起きた時の初期消火用か、
飲用にするなら濾過煮沸しないと飲む気にならなそうだ。
小屋手前のピーク頂は小さな広場で南側が開けている。
残念ながら朝方広がっていた青空も、
この時にはガスが辺りを覆っていて眺望を望めなかった。
小屋を過ぎるといよいよ難所の鋸歯である。
ポコッポコッとした小ピークを3ツ越えて行く。
岩と木の根っこがむき出しの尾根、
結構急な所も何カ所かありよじ登る感じで通過していく。
鋸歯を越えてもまだ油断ならない、小無間山への最後の登り、
標高差にして300m程か、まずは両側の山肌が抜けている所通過。
ここも結構急で、ロープが掛かっている所もある、よじ登る感じである。
ガスが掛かって高度感があまりなかったのが救いだった。
300mの急登をやり終えると小無間山頂、
今日のエライところはこれにて終了。
頂は樹林に囲まれていて全く展望がなかった、
あれだけ苦労して登って来たんだからご褒美の展望があってもいいだろうに。
小無間山までハードな登りが続いたがここからは楽になる。
中無間山で左へ直角に曲がり、
緩やかな勾配を250m程標高を稼ぐと大無間山だ。
途中、北側が開けた場所からガスが取れた三方峰から光岳へ続く尾根が見えた。
明日はこれを歩いて大根沢山の先のピークまで行く予定、無事辿り着けるだろうか。
頂手前でY字の分岐、山頂へはまっすぐ、三方峰へは周り込むように右へ。
大無間の山頂はテント場のような場所だった。
テントが張りやすいように整地されてたところが所々にあった。
頂からの展望は皆無。
運び上げた水の半分近くが減ったためここで水補給。
前無間へと続く道を下りコルから関の沢へ下る。
資料には往復30分とあった。
草付きの斜面で足場が悪い。
山頂から15分か20分程行ったところまで下ったが、
一向に水が流れている感じがない。
これ以上下ると危険と判断し、山頂へ戻る事にする。
一杯汗かいて水を求めに下ったが、
水は補給できず喉は乾き無駄に水を消費っしてしまった。
当初、大無間山でテント泊するつもりでいたが、
時間的に余裕があるので三方峰まで進む事にする。
大無間山から分岐を左へ、
これまでは道がハッキリしていたがここからは道が薄くなる。
大きく下って小ピークをやり過ごし山方峰へ、
笹の原の二重稜線を進んでいく。
笹の原の中に立ち枯れを含む木がポツポツとある、
山頂標識のすぐ西側は大きく崩壊している。
ここから先はバリエーションの域、
もうちょっと行けそうな感じがしたがここまでとした。
笹の原の中にテントを張る、下はフカフカなので寝心地良さそうだ。
ガスっていたが夕方には再び晴れ綺麗な夕日を見る事が出来た。
夜には満天の星空、薄らと見える天の川から幾つか流れ星が降り注いだ、
丁度この時期はペルセウス座流星群のピークだった。
遠く南には掛川か焼津の町の光が見えた。
≪13日≫
この日はいよいよバリエーションの域に突入する。
といっても事前に得た情報では踏み跡、目印ともにあるらしい。
三方峰からは人か動物か踏み跡が北へ延びていた。
この日と翌日の天気予報メールを前日夕方に奇跡的に受信。
天気がいいのは朝方まで、風が強く下り坂だそうだ。
翌日の午前中も天気悪いらしい。
この日の行程は大根沢山の先1913ピーク辺りまでだが、
出来たらもう少し先へ歩を進めたい、あわよくば光小屋まで、
あそこまで行けば安心できる縦走路がある。
三
方峰より2127ピークの先までは左山を見てトラバースして歩を進めて行く。
踏み跡は一本だけでなく何本かあるように見える。
稜線直下のトラバース路、又は稜線上を忠実に、
踏み跡が濃いからといって安心はできない、
濃い踏み跡が分岐していたので選んで進んで行ったら
どんどん標高を下げて行くものだから引き返したものもあった。
青いビニールテープが付けられている踏み跡は
安心して歩いて行ってもいいようだ。
やがてアザミ沢のコルに着いた。ここで前日汲めなかった水を補給する。
アザミ沢へは踏み跡が付いている、結構ここで水を汲んでいる輩が多いようだ。
自分が得た情報でも15分下れば水ありとあった。
5分程下るとガレ場が現われ沢らしくなる。
もう少し下るとチョロチョロと水が流れていた。
適当な所で水を汲む、か細いので何十分掛かるのだろうと
思っていたがものの数分で3.5L汲むことができた。
水は綺麗でキンキンではないが冷たくておいしかった。
これで安心して今日と明日は過ごす事が出来る、
計画通りに進んでも明日には光小屋に着くので
そこで水を別けてもらう事も出来る。
水を汲む事が出来たので安心してコルへと戻る。
ザックに水筒を仕舞い、一息入れてから大根沢山へと登る。
コルから大根沢山へは標高差400m程、
踏み跡がしっかりしていれば1~1時間半程で登頂出来そうだ。
踏み跡は予想通りしっかりしていて、いつも通りのペースで登っていけた。
大根沢山頂は広い台地状で場所を選んでテントを幾つか張れそうな感じだ。
辺りは木々がうっそうと生い茂っていて展望は全くなし、
三角点のある場所は最高点から南西に少し離れた場所だった。
最高点を訪れ辺りを散策していたら酷いものを見てしまった。
ゴミだ。幾つか銀マットが捨てられている。
ビールの空き缶なども捨てられていた。
これ程奥深い山で、こういう光景を見ると幻滅する。
南アルプス一般縦走路だったらあり得ない、
人がなかなか訪れないからこういうことするのか、
同じ山ヤとして信じられない。
大根沢山からはこれまた一気に標高450m程下る。
三方峰~信濃俣間で唯一道が分かりづらかった所だった。
最初ここまで頼ってきた青テープを探したが
見つける事が出来ずGPSを頼りに下る事にした。
主稜線通しだと崖とかあって直では厳しい。
主稜線を右に見て、何度か支尾根や谷を越えて行きながらコルに辿り着いた。
途中倒木や、足場の脆いガレ場などがあり慎重に下って行った。
何度か落石を起こしてしまい、下に人がいたら危なかったかもしれない。
何度か支尾根に騙されそうになった、
尾根に乗っかり方向はもちろん確認するがちょこっと下って
GPSで確認し間違いに気付き尾根を乗り換えたりした。
コルまであともう少しのところで緑色のテープを見つけホッとした。
コルから暫くは痩せ尾根が続いた。
両側が絶壁である所が多かった、
ただ樹木が生い茂っているのそれ程恐怖感は感じない、
しかし滑落したら木に引っ掛かかり助かるかどうかはちょっと疑問である。
この日テント泊する予定の1913ピークには午前中の早い時間に着いた。
この頃には辺りは完全にガスの中で小雨もぱらついている。
この場所は予想通り平坦な場所がピークの前後にありテント場適地であった。
特にピーク西側は広い台地状になっており、多くのテントが張れそうだ。
ピークから下っていくと二重稜線になっており尾根を乗り換える。
道の方向がすぐに2度直角に西⇒北、北⇒西と変わるので注意が必要だ。
西俣山(2107ピーク)までは痩せ尾根と小ピークを幾つか越えて行く、
岩や木の根っこなどを頼りに登っていく、
逆コースだったら少し難儀しそうな感じだ。
個人的に今回のルートの核心部分は大根沢山~西俣山だったと思う。
椹沢山までは一部急登や倒木もあるが割と安心して登れる。
椹沢山で登山道と合流…地形図では千頭からの林道から点線が上がってきているが、
しっかりとした登山道という感じは無く踏み跡程度という感じ、
百俣沢の頭まで一般の登山道とは違った割りあい険しい道が続いた。
信濃俣は小さな山頂、二等三角点と
たぶん山名が書かれていたと思う錆びた金属プレートがあった。
雨ザアザア、ガスって何も見えず、早々に山頂を後にした。
山頂から北西方向に踏み跡が付いているように難じた、
その先は崖っぷち、すぐに気付いたがチョット解りにくい、
正解の踏み跡は真北に続いている。
一気に急降下して小ピークを幾つか越えていく、
光小屋まで行きたかったが天候が悪化してきていたので、
適当にテン場となりそうな場所を探しながら進んでいく。
百俣沢の頭の手前の小ピーク(標高約2180m)辺りで
テント張りそうな場所を見つけたのでそこで今日の行程は終了。
稜線から一段下がった平坦な場所、樹林帯なので風、雨の影響は少ない。
テントを張って早々に中に入った。
カッパ着込んでスパッツも着けているが
服も靴の中も汗だか雨だかでビショビショ、
ちょっとの間何もする気が無くテントの中でボーっとしていた。
とりあえず乾いたアンダーウエア、靴下、フリースに着替える。
夕食には早いので遅めの昼寝にする、
結構疲れていたのか気が付いたら6時を過ぎていた。
外は雨風が強く、おまけに雷まで鳴っている。
光小屋まで行こうと思っていたが行かなくて正解だった。
夜は近くでゴロゴロドカーン、
多分落ちないだろうと思ってはいたが…やはり山の中の雷は怖い。
≪14日≫
朝から天気の方は良くない。
前日に天気予報メールを受信出来なかったので、
今日一日雨という事にしていて行動する。
今日は悪くても茶臼小屋まで、
あわよくば畑薙に下山して“てしゃまんくの里”まで行きたい。
百俣沢の頭への登りは相変わらず一般の登山道らしくない、
三方峰~椹沢山の踏み跡と同程度、
ほとんど垂直に木の根っこを掴んで登るような所も何カ所かあった。
百俣沢の頭まで来ると立派な踏み跡、
もとい、一般的な分かりやすい登山道となる。
見えるものも深南部の鬱蒼とした森というより、
多くの登山者が訪れる南アルプスらしい森といった感じ。
光小屋近くまで来てようやく2日ぶりの人に会う。
若い人のグループ、軽装だったから光小屋からピストンか、
どこへ行くかは聞かなかった。
お地蔵さんのある分岐で左へ10分足らずで光岳へ、
ガスっているし特に何にも感じない、一応百名山だけれども。
展望台10m、光岩7分とあったが面倒臭いので止めた、
どちらも天気のよくないこの状況では行ってみても感動しないと思う。
光小屋はとても立派だった。
テント場は2カ所あって風や雨の影響はもろ受けそう。
周りをぐるーっと堀が作られているので雨が降った後は乾き早そうな気がする。
イザルガ岳も面倒臭いのでスルー、沢伝いのガレた道を下っていく。
途中、期待していた静高平の水場は出ていなかった。
トリカブトの群生地から流れ出るこの水場の水はうまいと聞いてきたのだが…残念。
メインの縦走路だけあって結構人に会う、前日人に会わなかったので結構嬉しい。
易老岳では茶臼小屋を朝出発したという男性に会った。
百名山をやっているという事で現在97座とのこと、
おお!凄いあとチョットで完登やん、と思った。
仁田岳も希望峰から往復30分程だったけどスルー、
仁田池からは茶臼岳は見えず、
そういえば今回は雷鳥君に会わなかったなーと思いながら茶臼岳に到着。
これで光岳から北岳まで繋がりました。バンザーイ。
稜線上の風雨はとても強くなってきている、
茶臼小屋までの分岐までとても寒い思いをしました。
稜線から下っていくと風の影響は皆無、茶臼小屋はすぐでした。
テント場にはそこそこテントが張られています。
時間はまだ10時半、これなら今日中に下山出来そうです。
水だけ汲んで横窪沢小屋まで一気に下ります。
稜線上はガスが酷かったけど、
途中展望が開けた場所からは小無間~大無間が望めました。
横窪沢小屋は懐かしい場所、2年前に南アルプス縦走した時に最初に泊ったところ。
当時、着いた時缶ビールとりんごを頼んだっけな。
りんごありますか?と聞いたら生憎お客さん用はきらしてまして…
と言われ従業員用ならと切ったりんごを頂きました。
感謝。暖かいお茶も頂嬉しい限り。
2年前南アルプス縦走やった時お世話になって…と話したら
前日に南アルプス縦走2週間やった男性が
ここに泊ったの事を話していただきました。
その男性があの“わっきーさん”だったとは…
後にわっきーさんのHPで知りました。
わっきーさんは僕の登山に影響を与えた人、
一日早ければお会い出来たかも知れないのに…
でもそれは計画的に無理ですね、
でもいつかそのうちお会いしたいです。
横窪沢小屋から2時間15分程で畑薙大吊橋、
個人的には最大の難所で核心部、まさか2度目の通過があるとは…
横窪沢小屋のオネーサンは暴風雨でも大丈夫と言ってましたが。
死んだ顔をしてどうにか長い長い吊り橋を渡りきって、
ほぼ標準CTで沼平に到着。
山の上は天気悪かったのに、
下山してみたら空は晴れ渡っておりました。
ちなみにデポした自転車は無事でした。
ここからてしゃまんくの里(田代中)までは約17kmの道のり、
ほとんどが下り坂だから大丈夫だと思うのだが、実際は結構辛かった。
自転車は変速機なしの所謂ママチャリというもの、
平坦な所では問題ないが、
車を運転して状態では気付かない程の緩やかな上り坂が登っていけない、
背中の20kg弱の重りが足かせとなっているようだ。
急勾配のところは全くなかったが、
チョットの勾配がペダルを重くさせるので降りて手押し、
平坦な道or下り坂では自転車に乗るという感じで進んだ。
下りは下りで問題発生、ギアが無いので絶えずブレーキで減速せねばならず、
ブレーキ多用で効きが悪くなってしまった。
乗り心地も最悪、やはりビンゴ大会で当たった
安物のママチャリで山道を走ってはダメだという事だな。
この時、折り畳み式でちゃんとしたそれなりに高くても良い自転車が欲しいと思った。
1時間足らずでてしゃまんくの里に到着。
なんとか計画した山々を縦走し、
ここまでママチャリで下りてこれた喜びを一人噛みしめながら、
少しだけ放心状態、自転車を車に積んで岐路に着いた。
途中、渋滞に巻き込まれながらも
なんとか日付変更線を越える前に帰宅できた。
4泊5日が1日短縮して3泊4日になりましたが、
有意義なテント泊縦走でした。
バリエーションのはずである三方峰~椹沢山は
踏み跡とテープとGPSがあったため歩き通す事が出来ました。
天気にはあまり恵まれませんでしたが、
計画通りに歩き、無事下山出来たことに感謝します。