山名:笠ヶ岳
山行目的:①クリヤ谷登山道で笠ヶ岳に登ってみたい。
②弓折乗越から笠ヶ岳まで繋げたい。
山行日:2011年7月9日(土)~7月10日(日)
天気:1日目晴れ、夕方から一時雨 2日目晴れ
山行者:単独です。
CT:
1日目 自宅3:50=各務原IC=高山IC=中尾高原口隣P6:42/6:58…
クリヤ谷登山口7:04…穴滝(右岸→左岸渡渉)7:41…(左岸→右岸渡渉)8:13…
(右岸→左岸渡渉)8:19…標高1790m付近9:03~9:13…
標高2150m付近10:13~10:23…雷鳥岩11:29~11:43…
標高2670m付近12:46~12:56…笠ヶ岳13:46~13:55…
笠ヶ岳山荘14:01~14:31…笠ヶ岳CP場14:37(テント泊)
2日目 笠ヶ岳CP場3:55(起床)/5:43…笠新道分岐6:29…板戸岳6:37~6:47…
大ノマ岳8:03~8:15…弓折岳8:48…弓折乗越8:54…鏡平山荘9:19~9:44…
秩父沢渡渉10:48…小池新道登山口11:28…わさび平小屋11:44~11:54…
新穂高温泉12:42/12:55=バス=中尾高原口12:59/隣P13:05=
(ソウレ谷偵察)=高山IC=各務原IC=自宅16:40
≪1日目≫
笠ヶ岳と言ったら笠新道が一般的だが、
山仲間の一声でクリヤ谷のルートを知った(というか地図見りゃ載ってますけどね)。
笠新道はキツイらしいが、クリヤ谷はもっとキツイらしい。
も・と・い、登り甲斐があるらしい、という風に認識した。
折角登るんなら在り来たりの方じゃなくて、○○甲斐がある方で…。
ということでクリヤ谷ルートを登ることにした。
標高差1900m程、確かに
キツそうだ登り甲斐ありそうだ。
笠ヶ岳へ登った後は笠新道を下ろうかと思ったが、
稜線をそのまま北上すると、昨年”新穂高⇔高天原ピストン”をやった時通った弓折岳が。
線を繋げたいという欲が出て、弓折乗越まで歩いて小池新道を下りるというコースにした。
1日目、早起きして新穂高方面へと車を走らせる。
クリヤ谷登山口近くのバス停”中尾高原口”隣の駐車場に車を停めて出発する。
国道の橋を渡ってトンネルに入る手前を右折。
槍見館が見えたら二又を左へ、すぐに登山口となる。
広葉樹林の中の九十九折りを行く。
支尾根に乗っかると休憩が出来そうなわずかなスペース。
遥か右下にゴーゴーと流れるクリヤ谷。
左に山を見ながら斜面をトラバり気味に登っていく。
クリヤ谷が登山道の高さまで上がってきて右手に
落差は小さいが滝が見える。
これが地図上の穴滝なのかどうかはわからないが、
これを過ぎると一つ目の渡渉点。
水量はやや高め、水面から頭を出した岩をぴょんぴょんとバランスよく飛んで対岸へ渡る。
暫く行くと左手に錫杖岳が見えてくる。
クライミングの対象にもなっているようで上部はカッコイイ岩山である。
30分程で二つ目の渡渉点で左岸から右岸へ。
さらに10分掛からないくらいで3つ目の渡渉点で右岸から左岸へ。
これ以外は枝沢の小さな渡渉点は二つほどあったと思うが、
大きいのは3つだけだ。
しばらくは左手に川をみながら登っていく。
途中、滝が幾つかあり目を楽しませてくれる。
やがて川と登山道が離れ流れる音だけとなり、
笹が生い茂る急登に変わっている。
クリヤノ頭が近くなると簡単な岩登りが必要なところが出てくる。
中には、岩肌が濡れていたり下りに使ったりしたら、ちょっと気を使うようなところも出てくる。
クリヤノ頭を左に回り込むと雷鳥岩のあるピークが見えてくる。
左手は比較的緩やかな山肌で笹やハイマツなどが生い茂っているが、
右手はほぼ直角に切れ落ちた岩肌で、右と左で性格が違う山肌は見ていて面白い。
クリヤノ頭と雷鳥岩とのコルの右手は二ノ沢を突き上げたところであり、
登山道脇がすぐ切れ落ちておりスリル抜群である。
雷鳥岩のところまで来ると、今まで全く姿を見せなかった笠ヶ岳の頂が見える。
(雷鳥岩正面から。ここから笠が見える。休憩にもぴったりのポイント。)
(雷鳥岩から見た笠ヶ岳。)
(ちょっと離れた所から見た横からの雷鳥岩。確かに美味そうな雷鳥にも見えなくもない。)
標高差450m程だが、それ以上に標高差を感じる。
雷鳥岩から一旦緩やかに標高を落としてから笠ヶ岳の肩へ登り返す。
(笠の肩チョイ下辺りから振り返って二ノ沢、三ノ沢が突上げるピークを望む。)
笠ヶ岳の頂へはもうちょっとなのになかなか足が上がらない。
(笠のチョイ下より笠を望む。あともうチョイなんだけど…。)
標高2400mを越え、高山病の症状が表れるといわれる圏内に入ったからだろうか。
何歩か歩いては立ち止まりを何回か繰り返す。
笠の肩に標高差150m程、ガレ場を○や→印を頼りに登っていく。
相変わらず足が重くて何度か休憩を摂りながら登っていく。
ちょっとづつ、ちょっとづつ。
頑張って何とか笠の頂に登ることができた。
(笠の頂。)
折角登ったのにガスの中。
暫くすると笠ヶ岳の西斜面、小倉谷の源流部のガスが取れたが
先ほどまで見えていた新穂高方面は全く見えないまま。
証拠写真を撮って笠ヶ岳山荘へと下る。
クリヤ谷登山道、標高差1900mあるだけあって達成感は抜群、
体力消耗感も抜群。
なんて言っておきながら、標準CT9:30に対して休憩込みで6:40程。
早すぎ。
そりゃ、途中で大腿筋が痛くなったりもします。
個人的に長時間ペース落とさずに歩けるペースになれることが宿題。
なかなか難しい課題だけどね(^^;
頂上の祠で無事登頂できたことを感謝して山荘に下る。
ものの数分で下る。
今日の宿泊地、笠ヶ岳CP場は山荘から5分程下ったところ。
テント場の手続きを済ませ、ビールビール。
冷えたビールありますか?あるということなので1本買う。
まだ先は5分ほどあるが、我慢できずに山荘前のベンチに座って飲む。
プハーウマい。頑張った後のビールは最高である。
飲んでいたら笠ヶ岳の周りからガスが取れた。
目の前の槍から穂高までの山並には一部ガスが掛かっていたが。
ちょっといい気分になってCP場に下る。
途中雪渓あり、ヒールカットで降りていく。
下から上がってきた小屋の人、水場の水は最高に美味いですよとのこと。
雪渓が解けて岩を通って出てきた水冷たくてうまかった。
(この雪渓が解けて…。)
(冷たくておいしい水となる。)
(水場の下の播隆平。右の緑の山は”緑の笠”)
北アの水、南アには劣ると思っていたが、ここのはいい方だ。
ちなみに小屋の水は天水だそうだ。
テントを張って、中でマッタリ。
暫くするとどこかの大学?のワンゲルさん達。
男ばかりかと思っていたら女性も何人か。
ワンゲルとか山岳部とかって汗臭くてキツイイメージありますが(失礼!)
今は違うのかな??
山ガールやら山を題材とした映画などの影響で、いいイメージへ移っているのかな?
チラと女性を見たら僕のザックと変わらないくらいの大きさだった。
やっぱ、変わらないのか、女性って案外男より強そうだもんな。
夕方から雨がパラパラっと降って、ガスの中に入ってしまったが、
夜10時頃起きたら、ガスは取れていて満天の星。
(夜の笠。天の川は写りが悪かった。)
この日は月の入りが早いのを知っていたので
天の川が見れるだろうと踏んでいたらドンピシャ。
1時間程だがフリースを着こんで(それでも寒かったが)星空観察した。
写真も撮ったが、あれあれ?天の川写って無いじゃん。
帰ってきてカメラが趣味の人に聞いたら
月の入後よりも新月の方が星が良く見えるそうな。
月が沈んでいりゃ同じと思っていたがそうでもなさそうで、
月は見えずとも地球の反対側まで来ているわけでもない限り、
月の光で星の光が弱まるとの事。
うーん、だから天の川、去年白山や南アで見た時よりもハッキリしていなかったのか??
しかし、久しぶりに天の川見れて満足。
流れ星も二つ見れたしね。
11時過ぎ再就寝。
≪2日目≫
ケータイの目覚まし時計を3時半にセットしておいたのに、30分程寝坊。
朝ごはんの後にご来光を眺めつつ写真を撮ったりしてたら
(槍の左手からご来光。)
(笠のモルゲンロート。)
みごとに予定より45分遅れてしまって出発。
笠新道分岐、抜戸岳を過ぎた辺りまでは殆ど登ったり下ったりがなく
ウォーミングアップには最適。
朝から雲ひとつない良天気(後から湧いてきましたけど)で眺望を堪能しつつ
写真を撮りつつスカイラインを歩いていく。
2792ピークを越えると下り坂。
2667ピークで右に折れ曲がる…が、あれ?道がありませんよ?
標高差にして50m(くらい?)雪渓が横たわってます。
よくよく見ると等間隔で結び目が付いたトラロープがかなり下まで垂れ下がっています。
どうやらここを下るようです。
足跡は古いものしかありませんでしたから
どうやら今日は僕が一番乗りのようです。
かなりビビリ症ですから、笠新道分岐まで戻ろうか?と一瞬考えますが、
後ろからやってくるカップルに笑われそうなので意を決して下ります。
シリセードでもいいかな?とも思いましたが制動を掛けるもの(ピッケルとか)無いので
加速が付き過ぎて下の方にある岩にぶつかって重傷は嫌なので、
マジメにヒールカットで降りて行きます。
いやー標高差50m(くらい?)は長かったですね。
寿命がちょこっとだけ縮まったような気もします。
ああこれで難関は過ぎ去ったなと思ったら、
またも雪渓、残ってる足跡はトラバースしています。
この雪渓何がイヤラシイかって、もしツルっといったら
その先は滝で、かなりの落差を経て流れある秩父沢へと落ちててるんですねー。
かなりヒヤヒヤしながらトラバースしました。
スリルがあるっていったらそれまでなんですが、
僕はちょっとねーキャパシティーオーバーしそうだったなー。
後続を見たらかなーり慎重に下ってらっしゃいましたねー。
お仲間を優しい眼差しで見届けるUMAなのでした(笑)
秩父平から大ノマ岳までは右手が崖で程良くスリルを味わえます。
大ノマ岳はハイマツに覆われていて三角点があるんだかどうだか。
縦走路は東側をかすめるように通ってます。
一旦下って大ノマ乗越、ここから本日最後の登り弓折岳です。
140m程、梯子もあって結構急登です。
でもこれを越えれば後は下りなので頑張ります。
頑張れば一年前に来た弓折岳の頂、平らで特に何もありません。
これでやっと弓折岳から笠ヶ岳まで繋がりました。
かるーくバンザイですね。
チョイチョイで弓折乗越。
20分程下って鏡平です。
小屋の人たちお掃除中。
どうやら今日から開設のようで大忙しです。
大忙し中悪いんですが楽しみにしていたかき氷を注文します。
OKとのこと。
しかも今日最初のかき氷注文客との事。
ということは今年最初に鏡平山荘でかき氷を食べたのはUMAということですね。
なんだか嬉しいです。
ちなみにかき氷の氷は下界から運んでいるとの事。
それで¥500は安いような気がいたします。
だって下界で食ってもそんなもんでしょ?
しかもここのかき氷は昔ながらの手回しの器械で
ふわっとした感じのかき氷なんですね。
ここを通った時は必ず食べようとしています。
といってもこれでもまだ三回目ですけどね。
かき氷を堪能して、鏡平の池に写った逆さ槍~穂高も堪能して下山。
もーあとは単調な下りだけだーと思ったのが間違いでした。
途中で出会ったお二人さんから仕入れた情報で
秩父沢にまだ橋が掛かってないとの事。
上部雪渓を高巻きするか、ジャブジャブ渡渉しかないとの事。
また雪渓で泣かされるのか…と思いながらも現場に到着。
雪渓のトンネルからダーダーと雪解け水が流れている。
もう雪渓で困らされるのは勘弁だなと思い靴を脱ぎ裸足で渡渉を決意する。
しかしこれは間違いだった。
足を川の中に突っ込んだ途端、
一瞬で凍ってしまいそうなくらい冷たい、というか痛い。
勢いで数歩進んでしまったので行くしかない。
川の途中で石の上に上がる。
冷たいというか痛さがジーンとくる。
これを3,4回ほど繰り返した。
水量が多く白波が立っているところは危険なので
緩いところをすすんだらかなり蛇行してしまったのだ。
対岸に着いた頃には、もうほんとに涙が出そうだった。
靴を履いて対岸に建てられた警告看板を見る。
ドボンしたら心臓麻痺して死ぬようなことが書かれている。
確かにあの中でドボンしたら間違いなく心臓麻痺しそう。
後からわかったことだが他の人は高巻きして雪渓渡って下りてきたとの事。
自分の馬鹿さ加減が良く解りました(涙)
秩父沢を過ぎたら後はホントに危険な個所は無し。
小池新道登山口からわさび平までの間で林道をさえぎるように雪渓が横たわってますが
山肌との間に隙間がアリすりぬけられたので問題ナッシング。
あとは林道をテクテク歩くだけ。
わさび平小屋で小休憩して、新穂高まで1時間程。
ちょっと早歩きして新穂高発のバスに間に合いました。
なんでバスかっていうと中尾高原口まで楽をしたいから。
新穂高からさらに1時間、しかも舗装路歩きは足に堪えます。
5分程バスに揺られ中尾高原口に到着。
1日振りのマイカーに戻ってこられました。
ヒーヒー言って登ったクリヤ谷ですが、
まー登った後だから何とも言えるんですが、
一度は登ってみるといいよ?
確かにキツイですけど、満足度、飽きさせない景色はサイコーです。
もいっ回登ってみるかって言われたらNoですけど(笑)
まだの方ならぜひ!!