香港政府のトップを決める行政長官選挙が5月8日に開かれ、警察出身で2019年の民主化デモの鎮圧にあたった李家超氏が選出された。
李家超氏は中国政府が認める「唯一の候補者」で、対立候補も出ない状況での異例の選挙となり、投票権を持つのは立法会の議員や金融業界、医療界などの代表で構成される選挙委員会の委員ら。 中国政府が掲げる「愛国者による香港統治」という方針から民主派は選挙委員からも事前に排除されていて、親中派一色の形式的な選挙となったということだ。(ココから)
あの大群衆で埋め尽くされた香港が、こんな風になってしまうとは(嘆)
また、5月11日には、中国政府に批判的な陳日君(ジョセフ・ゼン)枢機卿(90)やポップ歌手の何韻詩(デニス・ホー)氏を含む民主派4人が、香港国家安全維持法(国安法)違反容疑で逮捕されたという。
米政府は、陳氏らの即時解放を要求。ローマ教皇庁(バチカン)も懸念を表明し、緊密に状況を注視しているとした。地元メディアによると、陳氏は同日夜に保釈され、記者団に手を振りながら市内の警察署を去ったそうだ。(ココから)
他のニュースソースでは、全員が保釈されたとも流れていたが、この中のデニス・ホーさんについては、彼女が民主化の活動家として果敢に闘い続ける様子を実録したドキュメンタリー映画「デニス・ホー」を見たこともあって、ずっと注目してきた。
香港、中国でも大人気だった香港の歌手デニス・ホー。映画では、中国がものすごい力で香港の民主運動を押さえつけてくる様子がでてきたが、実際にすでに去年12月にも逮捕されている。この時も数日後に保釈されたが・・・常に、「やらせたいようには、やらせない」と力を見せ続けるのを忘れない、中国の周到な圧力を感じる。
それにしても、(民主主義は、あの大群衆の大きな声をしても、潰されてしまう脆弱なものであること)を日本人は思い知らないとけないと心から思った。
そして、このことを調べている時に、こんな外務省の文書に気づいた。
外務省のHPのココに掲載されていた。G7として、共同声明のようだが、なかなか立派な文章である。
「現在の(香港の行政長官)の選出プロセス及びその結果としての任命は、普通選挙という目標からの明らかな逸脱」
「我々は、新たな行政長官に対して、香港基本法に規定されているとおり、香港において守られるべき基本的権利及び自由を尊重し、裁判制度が法の支配を堅持することを確保するよう求める」
とあるが、何だか、あまりにきれいで模範的な文章なので、香港のかわりに「日本」と入れ替えて、これが自国で実行されているのか?と疑問に思えた。
金で票を買おうとするような公職選挙法違反の横行を始めとして、コロナ下でも自分たちで決めたルールを守らない政権。長期政権になっての国会無視や、官僚の忖度を引き出して行われた恥をしらない行為の数々のあとで、よくもこのような文章を掲げていられるなぁ~と驚いた。
そして、このように、英文まで付けて公表している限りは、来る参議院選挙前には、是非、ここにあるように「普通選挙という目標からの明らかな逸脱」をすることのないようにしてほしいと願う。
たとえば、北朝鮮のミサイルや、ウクライナへのロシア侵攻を利用して、あたかも(武力強化しないと日本は守れないと言って国民の不安を煽って、自党の防衛費増強、反撃能力をつけるための憲法改正が正しい)かのように間違ったプロパガンダを広めたり、お金を使って票を操作するのだけは止めてほしい。そもそも、以前の選挙では、国民の代表である国会議員の質問を証拠も出さずに、森友・加計問題を、嘘やごまかし答弁をしてやりすごし、北朝鮮のミサイルを利用して、国民の目をそらして政権を維持したように思う。国会に真摯に証人を出し、答弁をしない政権なんて、民主主義の国であってはならないはずなのに。もう、2度とだまされないように国民はしないといけないと思う。
さらに、中国には香港の選挙について「基本的権利及び自由を尊重し、裁判制度が法の支配を堅持することを確保するよう求める」と、ここでもきれい事をいっているが、黒川事件で明るみに出たような政権の検察人事を政権の自由にできる人物に据えようと検察法まで改正しようとした行為を、国民にはしっかり忘れずに、「3権分立を正しく守れる政権」を参議院選挙では正しく選んでほしい。それが、わたしの切なる願いだ。