私が、このブログでずっと懸念したことが起こりつつある。検査体制が不備だから、棒線グラフにすると不可思議に上下する東京都の感染者数。実態が数字に表れないまま、東京都の最近の陽性患者数が200人を下回る数字を徘徊した末に、とうとう昨日は39人と発表された。
その数字に思わず絶句したのは、私だけではないだろう。さすがに、ニュース全般をみている人には信じがたい数字だ。発表している小池知事は、特にこれを説明しなくては~という様子はなく、「ここに来てがくっと減った数字だと思われがちだが、月曜日は検体の持ち込みがいちばん少ないためだ。皆さんのご協力あっての人数になっているが、決して緩むことはできません」と、居心地は悪そうに見えながらも小さなメッセージにとどめ、その場をやり過ごしている感じだった。
ある報道では、(検査数が休みの時は、前から減る傾向がある)などの説明を加えたりしていたが、そこでも、いまだにPCR検査を受けたいのに不安の中で自宅待機を迫られている人々の声を代弁することなく、報告だけの弱い無批判な報道姿勢をさらけ出していた。
「日々、死者が増えている緊急事態に、こんな検査体制でいいのか!」と言ってくれる番組は極めて少数だ。
東京都のこの発表で、「皆さんの努力が効いてきたのでしょうか?」などというコメントをするテレビなどは言語道断だ。そんな報道を見た人には、是非もう一つのグラフを見て頂きたい。検査数のグラフだ!!!
感染者が少なくなっている時は、検査が(新しく症状が出ている人々に割けてない最悪の結果を意味している!)そう、私には思える。じっくり下の表を見比べてほしい。
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2つ見比べてみれば、検査数受け入れの波が、陽性患者数の増減に影響を与えているの歴然だ。下の表は、私が厚生労働省の累計しか公表されていない統計から、東京都に関する数字を取り出して、1日あたりの検査数と感染者数をはじき出したもの。色を付けた下の2段がはじき出した数字だ。陽性者数は、東京都の発表と同じになっている。
(表1)
*上の東京都の検査数は医療機関による保険適用での検査人数は入ってないので検査人数は少なめとなっている。
よく見て頂けばわかるだろうが、4月24日と25日の1日の検査数がゼロになっている。以前からそうなのだ。金・土曜日でゼロが並ぶ。それ以外にゼロになっている時は、能力以上の検査を受けてしまった後のように見受けられる。
こんな事態になっていても、(週休2日なのか?どうなっているのか?)と思っていたときに、NHKの潜入レポートが出て、休みは取らずに人員も増やして頑張っていると伝えるのを記事でみた。ココで見られるが、<都のPCR検査は新宿区にある「東京都健康安全研究センター」で行われています。今回、実際に検査が行われている現場にNHKのカメラが初めて入りました。センターによりますと、検体は都内各地から持ち込まれ、土日も含めて毎日、検査をおこなっているということです。本来、1日に可能な検査は240件だということですが、今月に入ってからは作業時間を延長して1日平均で270件余りとなっていて、今月3日にはこれまでで最も多い557件の検査をおこなったということです。センターでは、検査依頼の増加にともなって今月に入ってから検査にあたる検査員を10人から32人と、それまでの3倍以上に増やしたということです。さらに、検査員のシフトを工夫したり、検査で使う機器を新たに5台増やしたりしてできるだけ多くの検査を実施しています>
これを読んで少し安心し、どんどん検査体制が良くなっていくかとの期待ももった。実際、さきほどの検査人数は、*上の東京都の検査数は医療機関による保険適用での検査人数は入ってない と但し書きをつけたように、東京都の発表の数字も民間検査会社の数字がなく、これまで検査数の実態がいまひとつ分かりづらかった。実は、それが、先週急に、東京都のこれから下に見せる検査件数の棒グラフのように、「医療機関による保険適用での検査件数」が加えられ、検査数ゼロという日がなくなり、小池知事が(多い時は1日1400件実施した)と言いだしたのだ。4月1日から、みれば(最後の表3厚生労働省の統計を参照)3月24日のオリンピック延長が決まった翌日から民間検査会社の検査が3桁になり、4月14日から4桁になり、17日から2000件を超えてきた。
これについては、このブログのココで、すでに検証し、東京都の検査数激増はこの民間の力によるのだろうと確かめた。
ただ、未だにその「民間検査会社を使った保険適用分の検査数」は1週間以上も報告が遅れて、下の東京都の検査数の数字をみてもたったの400件!? 4/22までは1000件以上の数字がならんだが、また23日からは低い数字が並び続け、5月1日がくるまできっと低いままだ。
さらに、ここで「検査能力」、「検査件数」、「検査人数」と、検査とひと口に言っても、ごっちゃに語られていることにも注意を喚起しておかなければならない。勿論、書いた順に数は多くなっている。
政府が大きな数字で1日2万件!とか打ち出すのは、たいがい「検査能力」の希望的数字だ。でも、実際は検査能力がフル活用された試しはない。能力は、「棚の上のぼた餅」。大事なのは、味覚障害や、発熱、咳、呼吸の苦しさなどの症状が出てきた時に、自分や家族が検査してもらえるか否かだ。つまり、「新規で検査をしてもらえる人数」だ。 じゃあ、その数字はどこにあるか。
*東京都のこのグラフは東京都のHPですぐ見つけられるが、途中から数字が読めるように、下の「テーブルを表示」をクリックすると、過去の数字が読めるようになった。改善されたのは、いい。
残念ながら、そんな親切な数字は見当たらない。上の検査件数には、同一対象に検査する場合と但し書きがあり、検査人数の方ですら、退院とかの検査の人の人数を加えている可能性も大きい。
いまだに、最低退院前に2回の陰性検査が必要という「しばり」も生きているようで、この検査も上の数字にカウントされているかもしれない。そうなると、実際の数字は、どうなのか?
次に、厚生労働省の出している入退院などの状況の表をだしてみよう。*クリックすればオリジナルページに飛べるはずだ。
(表2)
昨日の4月27日発表分のものだが、これは全国の数字。感染者で入院を要する者が前日より126人増えて、11175人いる。入院待機中は6人減って入院に移れたのかもしれない。だが、よく見ると、311人の入院を待つ待機者がいる。退院できた人が90人増えたが、126人感染が明らかになって、入院待機がまだ311人。
収容する病床に余裕があれば、入院待機はいませんよね。ということは・・・。算数は得意ですか? 感染者が陽性となって病院にすんなり入れる可能性は、重症でないと少なく、予想では入院待機者は感染者が増えると増えていくばかり。
テレビで流れる院内感染。外来患者や救急の受入れ制限を始めた病院のニュース。テレビでは、「医療崩壊寸前」とか言っているが、実際はもう「医療崩壊は始まっている」というべきだ。そもそも、防護服やフェイスシールド、病室の不足で、コロナウィルス患者を受け入れができない病院のニュースがしきりに流れているではないか(例ここから)。
このコロナウィルスは、ただでさえ呼吸困難を招き、人工呼吸器が必要な人も出て、感染力の強さのために長期入院を強いられる。一部軽症の人をホテルや自宅待機にする例も出始めたが、自宅待機で亡くなった事例が埼玉ででたことで、軽症を軽く見ることもできない。そんな状況で、すでに医療現場に検査をしても受入れる体制が十分でない。「検査してどうする」の声は小さくなって来たもの、いまだある。それは、この状況を考えてのことだろうか? でも、それは、断じて間違った考え方だ!
それにしても、このような状況で、なぜ72人の感染者がみつかったのに、数字が確定する前に39人と都知事は発表したのだろう?
追伸)これは、私の単純ミスで、72人は、前日の25日の陽性感染者数。39人は26日の陽性感染者数でした。小池知事が発表した数字が間違っていたわけではありませんでした。ここに謝罪して訂正します。
安心させるべき材料などひとつも与えられない今の現状。軽症からも重症になる可能性があることは、志村けんさんや、岡江さん、埼玉で命を失った2人の自宅待機していた方の例で多くの人が知るところとなった。軽症で早めにPCR検査を受けて、アビガンでもなんでもいい。医療行為を軽症の内から開始することが、死の危険から人を救う唯一の道であることに疑いはないのだ。 検査を狭めて、その道を閉ざすことは、「医療崩壊を防ぐこと」ではなく、この日本という先進国と思われている国で「医療の放棄」が始まっているということ。つまり、それこそ「皆保険制度の中で医療難民が起きた。医療崩壊!」なのだ。
不良品を含む布マスク2枚466億円の無駄遣いの自宅でのんびりツイートをする首相に対しては「諦め」を抱き、期待を捨てている人もおおいようだ。そして、ひたすら家に閉じこもる。それしか方策はないのだろうか? 家にいることを楽しくするアイデアを動画でながす人。自分の病院でコロナウィルス患者の受け入れを決め体制を整える医師。自治体独自でドライブスルー検査が始められ、それを国が追いかけて承認する。などなど、色々な取り組みが、自治体や医師会、地域、個人、さまざまに始められたのは、とてもうれしいニュースだ。
コロナの嵐が通り過ぎるまで、自分でできることを模索する人々の1歩1歩が地道に進められ始めている。間にあうか、間に合わないか。買い物や家族の持病の薬をもらうために、外出を一切しないという訳にはいかない。連休明けに仕事は再開されるのか。不安は尽きない。
下の全国の検査実施数。これは、全てを網羅した数字で最新の数字でも空欄が多く、4月22日までしか数字は掴めていないが、景気のいい「検査能力2万をめざし~」の言葉とは違い、実際は1日1万件を超したことはない。4月17日(金)に9357件となった後は、相変わらず19日(日)には4588件と落ち込んでいる。
連休はどうなるのか??? 問題は、検査能力ではなく、検査件数でもなく、「新規感染者のためのPCR検査の検査人数」だ。あなたは、何人だと思いますか?例えば、この最近全国平均8000件の検査の内、あなたのお住まいの県では何件の検査が可能で、その中の何件が今実際に検査に使われ、さらにその中の、いったい何件が、(コロナウィルスの症状がでて不安になった人のために、何件が実施されてきた件数)だか、考えてみよう。例えば、都民にとって、たとえそれが1000件でも、背筋が凍るような頼りない数字に、私には思えるけれど・・・。
<国内における新型コロナウィルスに係わるPCR検査の実施状況> 4月25日時点
(表3)
現実をしっかり認識したら、やることはひとつ。感染しないように身を処すること。
それにしても、都知事も、政府も、検査数について、その実態について、どのくらい把握しているのだろうか。人の命をどのように守っていくつもりなのだろうか。守る気は本当にあるのだろうか? 自分たちの命は、自分たちで守るしかないのか。
今日は、感染者数が東京は112人だったようだ。ともかく、この陽性患者数に一喜一憂することだけは止めにしよう。なぜなら、陽性患者数は、陽性だとやっと判定してもらえた人の数にすぎないのだから。