帰宅時間帯は空き家が増えたとはいえ、家の窓に灯りがともっている。台所の位置によって、おいしそうな匂いが漂ってきます。家庭の時間です。門灯と玄関の灯りをつけて出かけます。玄関をあがると、水槽があって1匹のメダカが泳いでいます。「ただ今、今、帰ったよ」お前が死んだら、またメダカを飼うのかな・・・。
学童クラブのお友達で先日ご主人をなくされた方が、今日から勤務に出てこられました。ただ流されるように葬儀から1週間がたち、どうにもならなくなって息子さんのいる東京へ一緒に行かれたとか。3日間、滞在して気分転換が少しできたと言います。「でもね、帰りがつらいわね。一人で米原に降り立った時、寒いし・・・」そんな風に話されました。何もない私でも、東海道新幹線から米原の駅に降りると、なんとも言えない寂しさを感じます。まして、ひとりでご主人のいない家に帰る彼女はいかほど心細いか・・・。
昨夜の大河ドラマで、まひろ(紫式部)が、旅に出ますと、道長に別れを告げました。(帰ってきてももうお会いすることはございませんと)旅先で海岸を力の限り走る彼女の姿。胸がつまるシーンでした。つよい!捨てきるんだという感じです。
私にはできないだろう。それは年齢のせいかもしれません。昔なら「生きていてももうお会いすることはできません」と言えたかもしれません。今は、そんなセリフを言う前に自らのいのちをたつやも知れません。自分で思う以上に、私のこころは浸食されているのでしょう。
元夫と別れたころ住んでいたのは、Y氏の家から10分もしないところでした。ふと思いました。ここにいればY氏のそばでずっといられる。それは叶うことではありませんでしたが、せめて・・・と思うのでした。
何も捨てない。そう思うのです。
赤く燃えない紅葉は朱色です。空だけがきれいですね。今日の八幡神社です。