皆既月食だという。先ほどまで見えていた赤い月がだんだん見えなくなる。原始にもどるような不思議な時間だ。赤い月も不気味だ。
火曜日は午前中はお兄ちゃんたちにボール蹴りで遊んでもらった。4年くらい前は一人で遊んでいたのだが、お兄ちゃんたちとだと子供のように楽しく遊べる。そのあと、実家へ。少し母のそばにいてあげたいと思った。ぼろの一軒家は寒い。途中で携帯もタブレットも忘れたことに気がついた。ボール蹴りにいったカメラバックから移し忘れたのだ。「人の一生は重荷を負て遠き道をゆくが如し」で実家へ行くときは行きも帰りも荷物が多い。前の晩からそろえているのだが、それでも肝心なものを忘れる。まず、母に途中で電話しないとならない。幸い駅のホームにある赤電話を見つけた。特に大事なメールや電話は入らないと思うが、連絡しないといけない方が4名くらいあった。昔は手帳に電話番号が書いてあったが、今は、番号を覚えている人は5名くらいだ。普段からあまり電話は使わないのでそう不便はないのだが、パソコンに入るメールがチェックできないのはきつい。
母は「馬渡さん家」では一日中まめに働いているようだが、うちではほとんど寝ている。これでいいのだ とケアマネジャーさんは言うが、ともかくものぐさになっている。非情な娘は、あれのこれのと用事を頼む。もう、子供と同じようだ。久しぶりによく顔を洗うとピカピカになった。そこは女でうれしくて鏡を見ている。
この母との関係が今、私がつながっている唯一のものだ。メールもインターネットもないと私は誰ともつながっていないようだ。この埼玉の田舎にいると人との関係は幻のようだ。まるで皆既月食のように。消えて戻るものなのだろうか。
やっとパソコンに向かえた。「あなたも皆既月食を見ていますか?」そんなメールが一番に出したかった。
火曜日は午前中はお兄ちゃんたちにボール蹴りで遊んでもらった。4年くらい前は一人で遊んでいたのだが、お兄ちゃんたちとだと子供のように楽しく遊べる。そのあと、実家へ。少し母のそばにいてあげたいと思った。ぼろの一軒家は寒い。途中で携帯もタブレットも忘れたことに気がついた。ボール蹴りにいったカメラバックから移し忘れたのだ。「人の一生は重荷を負て遠き道をゆくが如し」で実家へ行くときは行きも帰りも荷物が多い。前の晩からそろえているのだが、それでも肝心なものを忘れる。まず、母に途中で電話しないとならない。幸い駅のホームにある赤電話を見つけた。特に大事なメールや電話は入らないと思うが、連絡しないといけない方が4名くらいあった。昔は手帳に電話番号が書いてあったが、今は、番号を覚えている人は5名くらいだ。普段からあまり電話は使わないのでそう不便はないのだが、パソコンに入るメールがチェックできないのはきつい。
母は「馬渡さん家」では一日中まめに働いているようだが、うちではほとんど寝ている。これでいいのだ とケアマネジャーさんは言うが、ともかくものぐさになっている。非情な娘は、あれのこれのと用事を頼む。もう、子供と同じようだ。久しぶりによく顔を洗うとピカピカになった。そこは女でうれしくて鏡を見ている。
この母との関係が今、私がつながっている唯一のものだ。メールもインターネットもないと私は誰ともつながっていないようだ。この埼玉の田舎にいると人との関係は幻のようだ。まるで皆既月食のように。消えて戻るものなのだろうか。
やっとパソコンに向かえた。「あなたも皆既月食を見ていますか?」そんなメールが一番に出したかった。