のんびり朝を迎えたが家の中が冷蔵庫のようだ。明日から師走、冬らしくなった。上げ膳据え膳の生活から、台所に立つと気持ちも引き締まってほっとする。現実の世界へ戻った。ほとんど車に乗っている楽な旅行ではあったが、何となく体がだるい。TVのニュースをみるとさらに現実に戻る。観光地はどこもお客さんで賑わっていたのに、コロナの影響がどうなるのだろうか。
S氏追悼の旅の2日目の夕飯は、民宿で6人がそろっておいしい海の幸をいただいた。少しアルコールが回ってきたころ、S氏のお嬢さん二人に年長のHさんが夫になる人の条件を話した。「いいかい、旦那さんを選ぶなら、お金に細かい人はダメだよ。お金に細かい奴は男としてはまずだめだな。そういう人は何事もちまちましている。自分はしっかり財布はにぎって、上手に旦那さんを立てていくのがいいんだよ」二人のお嬢さんは真面目に聞いていた。それが夫になる人の第一条件らしい。
違和感はあったが、そこでは何も言わなかった。そんなことよりももっと大事なこともあるし、二人でなんでも話して(時にはけんかしても)一緒に家庭を作っていくのがいいのではないだろうか。お互いに相手に対して「誠実」であってほしいと思った。掌の上で夫を操るというような考えはあまり好きではない。そして、夫婦はお互いに独立した空間を持ってもいいのだろうと思う。それが相手に対する「尊重」と「誠実さ」のような気もする。S氏のご夫婦を見ているとそう思う。根っこのところでしっかり結びつていていた気がする。だから、お父さんのような人を選んでね となる。
街はクリスマスに彩られてきた。私は何かクリスマスもお正月もない気分だが、S氏ファミリーのあたたかさは、この冬のキャンドルになりそうだ。