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[映画]思い出のマーニー/2014年日本

2014年09月27日 23時01分56秒 | 映画鑑賞
■思い出のマーニー/2014年日本
■監督:米林宏昌
■脚本:丹羽圭子、安藤雅司、米林宏昌
■原作:ジョーン・G・ロビンソン
■出演者
 高月彩良、有村加純、松嶋奈々子、寺島進、根岸季衣、森山良子、吉行和子、黒木瞳

■感想 ☆☆☆☆
人を愛すること、人から愛されることは、なんでこんなに難しいんだろう、と寂しくなった映画でした。

愛しているのに、負い目があって、その愛情をきちんと真正面から伝えられないヒロイン、アンナの母親。
愛されたいと心から願っているのに、そして、きっと自分がちゃんと愛されていることを心のどこかでは分かっているのに、自分が嫌いであるがために、その愛情をまっすぐ受け止めることができないヒロイン、アンナ。
そして、アンナと同じように、愛されたいと心から願うもうひとりのヒロイン、マーニー。

自分はほかの人とは違うから、という不安から、周囲が歩み寄っても、自ら孤立してしまうアンナ。
両親から放っておかれて育っているにも関わらず、その事実を認められず、楽しそうに自分のことを話すことでギリギリのところで自分を保つマーニー。
マーニーがアンナに対して「私を忘れないでね。私のことを探してね。」と訴える場面は、すべての謎がとけたうえで改めて考えると、マーニーが自分のためにお願いしていたわけではなく、マーニーからアンナへの心からのお願いだったんだなぁ、と思い至りました。

あなたは愛されている。
私がちゃんと愛してる。
私以外の人にもちゃんと愛されている。
だから、大丈夫。

マーニーがアンナに伝えたかったことは、きっと愛情を思うように得られなかったマーニーがそう信じたかったこと。そうあってほしい、と願っていたこと。そして、今のアンナに対して、マーニーがどうしても伝えたかったこと。

「あなたは愛されている」ことがちゃんと伝わらない。
「あなたは愛されている」ことを実感できない。
本当はわざわざ言葉に出さなくても、「愛されている」ことは伝わるはずなのに。伝わってしかるべきだと思うのに、言葉にあふれた世界に生きているからこそ、伝わらないこともあるのかもしれない。そう思ってしまったせいか、私にとっては、見ていて寂しくてたまらない映画でした。

原作ってどうだったっけ?と思うことしばしばだったので、改めて読み返したいと思います。