10.まほろ駅前多田便利軒/三浦しおん
■ストーリ
東京のはずれに位置するまほろ市の駅前にある便利屋「多田便利軒」に舞いこむ
依頼はどこかきな臭い。今日の依頼人は何をもちこんでくるのか。痛快無比な
便利屋物語。
■感想 ☆☆☆
読書友達から「面白いよー」と薦められていた三浦さんにようやく出会えました。
読書ライフの9割を図書館に頼っているため、なかなか「読みたい」と思った
作品に出会えません。で、三浦作品。お奨めどおりさくさくと気軽に読み進め
られました。主人公コンビ、多田と行天の優しすぎるだめんず二人組がいとおしく
微笑ましく。ただ男性二人の友情にしてはお互いに頼りすぎているような、
こういった友情が「今」という時代にあっているのかも、と思わないでも
ないような。瑛太さんと松田龍平さんで映画化決定だそうです。
・・・うーん。ふたりとも私のイメージとは違うなぁ。
11.ひとりぐらし/谷川俊太郎
■内容
詩人、谷川俊太郎さんによる随筆集。
■感想 ☆☆☆☆
感想はコチラにまとめました。
12.「モモ」を読む―シュタイナーの世界観を地下水として/子安美智子
■内容
読者とともに名作『モモ』を読みながら、エンデとシュタイナーが紡ぎだす
雄大な思想的宇宙へと、私たちをいざなうシュタイナー教育入門書。
■感想 ☆☆☆
子安さんの「ミュンヘンの中学生」でシュタイナー教育について知り、
そのおおらかな思想による「考える」教育のすばらしさに憧れました。
その「シュタイナー教育」の世界観を通して読む児童書「モモ」の解説。
ただ、「シュタイナー」の思想の根本が説明されていないため、初めて
シュタイナーについて知る人にはとっつきにくいのではないかと感じました。
私も若干、混乱中。「シュタイナー」は思想であって宗教ではないと
認識していたのですが、この作品を読んでいると若干、宗教っぽいというか
神秘的思想のような印象を受けました。改めてシュタイナー関連の本を
読み返したいかな。
13.阿川佐和子のガハハのハ
■内容
小学生の頃、家族で毎週末テント生活をしていた本上まなみ、高橋尚子の
名前に惚れて指導を始めたという小出監督、亡き勝新太郎との生活を振り返る
中村玉緒。「週刊文春」好評対談から選りすぐったベスト版第3弾。
■感想 ☆☆☆☆
阿川さんの明るい人柄による楽しい対談集。何度読んでも大好きです。
彼女の人とのコミュニケーションを見ているだけで、私も元気が出てきます。
笑顔や明るさって大切なんだな、としみじみ思わされる1冊。
14.つくも神貸します/畠中恵
■ストーリ
お江戸の片隅でお紅と清次の姉弟ふたりが切り盛りする損料屋「出雲屋」。
鍋、釜、布団と何でも貸し出す店だが、なぜかこの店の蔵に仕舞われっぱなしで
退屈しているのは、それらの道具についている妖たち。気位高く、噂大好きで
おせっかいな彼らは貸し出された先で騒動まで拾ってきて・・・。
■感想 ☆☆☆☆*
義理の姉弟ふたりがお互いを思いやったり、お互いを思いやり過ぎてすれ違ったり
そのやりとりに心があったまる。まさに「畠中テイスト」の作品。きっと、心が
疲れた時、やさぐれたときにきっとまた読み返したくなると思う。
15.まんまこと/畠中恵
■ストーリ
江戸は神田の古名主の玄関先に持ち込まれる町内の騒動を解決しようと奮闘する
やや頼りない跡とり息子、麻之助と彼の悪友、男前で女遊びが激しい清十郎、
堅物の吉五郎の3人。彼らが携わった事件は・・・?
■感想 ☆☆☆
昼行燈的主人公、麻之助が携わる色々な事件を縦糸に、彼の初恋を横糸に
切なくしっとりと描き上げる。優等生だった彼がいきなり「遊び人」になった
きっかけ、伝わらない、伝えられない想いとの決別の仕方。ラストで彼らが
選択した未来は、周囲の人たちを誰一人傷つけることない暖かい選択で
だからこそ、読み終えた後に切なく寂しい気持ちとなった。
16.ころころろ/畠中恵
■ストーリ
摩訶不思議な妖怪たちに守られながら、今日も元気に寝込んでいる江戸有数の
大店の若だんな、一太郎。ある朝起きると、目から光りが奪われていた。
その理由は空前絶後のとばっちり?早くみんなで取り戻さないと!
でも、一体誰が盗んじゃったの?「しゃばけ」シリーズ第8弾。
■感想 ☆☆☆*
ある日いきなり目が見えなくなった若だんなに光を取り戻すまでの妖たちの
活躍を描く連作短編集。今までですら、自分の将来に、自分の存在価値に
不安を抱いていた若だんなは光を奪われたために、より一層、大きな不安に
包まれる。そんな若だんなを助けようと奮闘する妖たち。かれらとの交流、
信頼関係は、きっと日本人が古来から持ち続けた「見えないものとの共存」
「見えなくてもいると信じていたものたちとの信頼関係」で、だから私は
このシリーズを読むたびに懐かしい気持ちを味わうのだと思う。
17.トリックスターから、空へ/大田光
■内容
オピニオンリーダーとしても注目を集める太田光が、戦争、憲法、教育、
そして日本という国そのものに真っ向から挑む。
「憲法九条を世界遺産に」の論点を広げ、さらに掘り下げた意欲作。
■感想 ☆☆☆☆
普段、ニュースや新聞によるマスコミ報道を見て感じていた違和感を
見事に言葉にしてくれて読みながら「そうそう!私が感じていた違和感も
これに近いんだよ!」と手を取り合いたくなりました。現代日本は多くの
課題、問題を抱えていて、日々、政治家の方々が責められているけれど
マスコミがどれだけ今の日本が抱える問題に加担してきたか、問われるべき
責任があるのではないか、そういったことを考えさせられる作品でした。
18.薔薇を拒む/近藤史恵
■ストーリ
施設で育った内気な少年、博人は進学への援助を得るため、同い年の樋野と
陸の孤島にある屋敷で働き始めた。整った容姿の樋野には壮絶な過去があり、
博人も過去のある事件で心に傷を負っていた。ふたりは令嬢、小夜に恋心を
抱くが、陰惨な事件で穏やかだった生活は一変する。それは悪意が渦巻く
屋敷で始まる、悲劇の序章に過ぎなかった。
■感想 ☆☆*
とても読みやすい文章でさくさくと読めた。が、「現在の日本」を舞台に
陸の孤島やお屋敷での生活、というのはリアリティがなく、作り物っぽさ
が強すぎて作品世界にいまひとつ入り込むことができなかった。
小説、というよりはどこかゲームのあらすじのようなイメージ。
それでも主人公たち3人の関係がどういった結末を迎えるのか気になって
最後まで一気に読み終えた。
19.植物図鑑/有川浩
■ストーリ
ある日、道ばたに落ちていた好みの男子。
「お嬢さん、よかったら俺を拾ってくれませんか?咬みません。
躾のできたよい子です」「―あらやだ。けっこういい男」
「名前は樹。樹木の樹って書いてイツキと読みます」
楽しくて美味しい道草がやがて二人の恋になる。野に育つ草花に託して
語られる恋愛小説。
■感想 ☆☆☆☆☆
「植物図鑑読んで!すごいよー!」と興奮気味で教えられたこの作品。
「なるほどね!本当にすんごいわ!!」と大興奮で読み終えました。
読み終えた瞬間、道に落ちているオトコノコを拾いに夜の住宅街へ飛び出し
たくなりました。少女漫画が大好きだったかつての乙女たちにはぜひとも
手にとってもらいたい作品です。作者の有川さんによる「男の子に美少女が
落ちてくるなら女の子にもイケメンが落ちてきて何が悪い!」という
スタンスに心から共感し、一緒に叫びたい。その一方で、女性もここまで
強くなったんだな、そして疲れている(癒しを求める?)女性が本当に
多いんだな、と心の片隅でしみじみと思いました。
「こんなことあるわけない」と思いつつ「こんなことがあっても
いいんじゃない?いや、むしろあってほしい!二人には幸せになって
ほしい!」と心から願いたくなる小説。
20.アンダーグラウンド/村上春樹
■内容
1995年3月20日の朝、東京の地下で何が起こったのか。同年1月の
阪神大震災につづいて日本中を震撼させたオウム真理教団による地下鉄
サリン事件。この事件を境に日本人はどこへ行こうとしているのか、
62人の関係者にインタビューを重ねたノンフィクション。
■感想 ☆☆☆☆
今もまだオウム真理教を巡る一連の事件については、分からないことが
多い。「事実」として分かってはいても「理解できない」ことが多い。
けれど、被害にあった方々の話を聞いて改めてこの事件は「理解できる」
「できない」ではない、「やってはいけないこと」「許されてはいけない」
ことなのだという思いを新たにした。当時、マスコミのあまりの騒ぎ具合に
食傷気味で事実すらきちんと追っていなかったため、初めて知る事実も
多く、冷静にまとめてくれた村上さんに感謝しながら読み終えた。
■ストーリ
東京のはずれに位置するまほろ市の駅前にある便利屋「多田便利軒」に舞いこむ
依頼はどこかきな臭い。今日の依頼人は何をもちこんでくるのか。痛快無比な
便利屋物語。
■感想 ☆☆☆
読書友達から「面白いよー」と薦められていた三浦さんにようやく出会えました。
読書ライフの9割を図書館に頼っているため、なかなか「読みたい」と思った
作品に出会えません。で、三浦作品。お奨めどおりさくさくと気軽に読み進め
られました。主人公コンビ、多田と行天の優しすぎるだめんず二人組がいとおしく
微笑ましく。ただ男性二人の友情にしてはお互いに頼りすぎているような、
こういった友情が「今」という時代にあっているのかも、と思わないでも
ないような。瑛太さんと松田龍平さんで映画化決定だそうです。
・・・うーん。ふたりとも私のイメージとは違うなぁ。
11.ひとりぐらし/谷川俊太郎
■内容
詩人、谷川俊太郎さんによる随筆集。
■感想 ☆☆☆☆
感想はコチラにまとめました。
12.「モモ」を読む―シュタイナーの世界観を地下水として/子安美智子
■内容
読者とともに名作『モモ』を読みながら、エンデとシュタイナーが紡ぎだす
雄大な思想的宇宙へと、私たちをいざなうシュタイナー教育入門書。
■感想 ☆☆☆
子安さんの「ミュンヘンの中学生」でシュタイナー教育について知り、
そのおおらかな思想による「考える」教育のすばらしさに憧れました。
その「シュタイナー教育」の世界観を通して読む児童書「モモ」の解説。
ただ、「シュタイナー」の思想の根本が説明されていないため、初めて
シュタイナーについて知る人にはとっつきにくいのではないかと感じました。
私も若干、混乱中。「シュタイナー」は思想であって宗教ではないと
認識していたのですが、この作品を読んでいると若干、宗教っぽいというか
神秘的思想のような印象を受けました。改めてシュタイナー関連の本を
読み返したいかな。
13.阿川佐和子のガハハのハ
■内容
小学生の頃、家族で毎週末テント生活をしていた本上まなみ、高橋尚子の
名前に惚れて指導を始めたという小出監督、亡き勝新太郎との生活を振り返る
中村玉緒。「週刊文春」好評対談から選りすぐったベスト版第3弾。
■感想 ☆☆☆☆
阿川さんの明るい人柄による楽しい対談集。何度読んでも大好きです。
彼女の人とのコミュニケーションを見ているだけで、私も元気が出てきます。
笑顔や明るさって大切なんだな、としみじみ思わされる1冊。
14.つくも神貸します/畠中恵
■ストーリ
お江戸の片隅でお紅と清次の姉弟ふたりが切り盛りする損料屋「出雲屋」。
鍋、釜、布団と何でも貸し出す店だが、なぜかこの店の蔵に仕舞われっぱなしで
退屈しているのは、それらの道具についている妖たち。気位高く、噂大好きで
おせっかいな彼らは貸し出された先で騒動まで拾ってきて・・・。
■感想 ☆☆☆☆*
義理の姉弟ふたりがお互いを思いやったり、お互いを思いやり過ぎてすれ違ったり
そのやりとりに心があったまる。まさに「畠中テイスト」の作品。きっと、心が
疲れた時、やさぐれたときにきっとまた読み返したくなると思う。
15.まんまこと/畠中恵
■ストーリ
江戸は神田の古名主の玄関先に持ち込まれる町内の騒動を解決しようと奮闘する
やや頼りない跡とり息子、麻之助と彼の悪友、男前で女遊びが激しい清十郎、
堅物の吉五郎の3人。彼らが携わった事件は・・・?
■感想 ☆☆☆
昼行燈的主人公、麻之助が携わる色々な事件を縦糸に、彼の初恋を横糸に
切なくしっとりと描き上げる。優等生だった彼がいきなり「遊び人」になった
きっかけ、伝わらない、伝えられない想いとの決別の仕方。ラストで彼らが
選択した未来は、周囲の人たちを誰一人傷つけることない暖かい選択で
だからこそ、読み終えた後に切なく寂しい気持ちとなった。
16.ころころろ/畠中恵
■ストーリ
摩訶不思議な妖怪たちに守られながら、今日も元気に寝込んでいる江戸有数の
大店の若だんな、一太郎。ある朝起きると、目から光りが奪われていた。
その理由は空前絶後のとばっちり?早くみんなで取り戻さないと!
でも、一体誰が盗んじゃったの?「しゃばけ」シリーズ第8弾。
■感想 ☆☆☆*
ある日いきなり目が見えなくなった若だんなに光を取り戻すまでの妖たちの
活躍を描く連作短編集。今までですら、自分の将来に、自分の存在価値に
不安を抱いていた若だんなは光を奪われたために、より一層、大きな不安に
包まれる。そんな若だんなを助けようと奮闘する妖たち。かれらとの交流、
信頼関係は、きっと日本人が古来から持ち続けた「見えないものとの共存」
「見えなくてもいると信じていたものたちとの信頼関係」で、だから私は
このシリーズを読むたびに懐かしい気持ちを味わうのだと思う。
17.トリックスターから、空へ/大田光
■内容
オピニオンリーダーとしても注目を集める太田光が、戦争、憲法、教育、
そして日本という国そのものに真っ向から挑む。
「憲法九条を世界遺産に」の論点を広げ、さらに掘り下げた意欲作。
■感想 ☆☆☆☆
普段、ニュースや新聞によるマスコミ報道を見て感じていた違和感を
見事に言葉にしてくれて読みながら「そうそう!私が感じていた違和感も
これに近いんだよ!」と手を取り合いたくなりました。現代日本は多くの
課題、問題を抱えていて、日々、政治家の方々が責められているけれど
マスコミがどれだけ今の日本が抱える問題に加担してきたか、問われるべき
責任があるのではないか、そういったことを考えさせられる作品でした。
18.薔薇を拒む/近藤史恵
■ストーリ
施設で育った内気な少年、博人は進学への援助を得るため、同い年の樋野と
陸の孤島にある屋敷で働き始めた。整った容姿の樋野には壮絶な過去があり、
博人も過去のある事件で心に傷を負っていた。ふたりは令嬢、小夜に恋心を
抱くが、陰惨な事件で穏やかだった生活は一変する。それは悪意が渦巻く
屋敷で始まる、悲劇の序章に過ぎなかった。
■感想 ☆☆*
とても読みやすい文章でさくさくと読めた。が、「現在の日本」を舞台に
陸の孤島やお屋敷での生活、というのはリアリティがなく、作り物っぽさ
が強すぎて作品世界にいまひとつ入り込むことができなかった。
小説、というよりはどこかゲームのあらすじのようなイメージ。
それでも主人公たち3人の関係がどういった結末を迎えるのか気になって
最後まで一気に読み終えた。
19.植物図鑑/有川浩
■ストーリ
ある日、道ばたに落ちていた好みの男子。
「お嬢さん、よかったら俺を拾ってくれませんか?咬みません。
躾のできたよい子です」「―あらやだ。けっこういい男」
「名前は樹。樹木の樹って書いてイツキと読みます」
楽しくて美味しい道草がやがて二人の恋になる。野に育つ草花に託して
語られる恋愛小説。
■感想 ☆☆☆☆☆
「植物図鑑読んで!すごいよー!」と興奮気味で教えられたこの作品。
「なるほどね!本当にすんごいわ!!」と大興奮で読み終えました。
読み終えた瞬間、道に落ちているオトコノコを拾いに夜の住宅街へ飛び出し
たくなりました。少女漫画が大好きだったかつての乙女たちにはぜひとも
手にとってもらいたい作品です。作者の有川さんによる「男の子に美少女が
落ちてくるなら女の子にもイケメンが落ちてきて何が悪い!」という
スタンスに心から共感し、一緒に叫びたい。その一方で、女性もここまで
強くなったんだな、そして疲れている(癒しを求める?)女性が本当に
多いんだな、と心の片隅でしみじみと思いました。
「こんなことあるわけない」と思いつつ「こんなことがあっても
いいんじゃない?いや、むしろあってほしい!二人には幸せになって
ほしい!」と心から願いたくなる小説。
20.アンダーグラウンド/村上春樹
■内容
1995年3月20日の朝、東京の地下で何が起こったのか。同年1月の
阪神大震災につづいて日本中を震撼させたオウム真理教団による地下鉄
サリン事件。この事件を境に日本人はどこへ行こうとしているのか、
62人の関係者にインタビューを重ねたノンフィクション。
■感想 ☆☆☆☆
今もまだオウム真理教を巡る一連の事件については、分からないことが
多い。「事実」として分かってはいても「理解できない」ことが多い。
けれど、被害にあった方々の話を聞いて改めてこの事件は「理解できる」
「できない」ではない、「やってはいけないこと」「許されてはいけない」
ことなのだという思いを新たにした。当時、マスコミのあまりの騒ぎ具合に
食傷気味で事実すらきちんと追っていなかったため、初めて知る事実も
多く、冷静にまとめてくれた村上さんに感謝しながら読み終えた。
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