のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

コルテオ

2010年04月04日 02時10分59秒 | 舞台(キャラメルボックス)
あまりのチケット高騰ぶりに断念しかけたコルテオを鑑賞。
5年ぶりの「シルク・ド・ソレイユ」です。
チケット高い、高いと思っていましたが、それでも見てよかった!
心からそう思いました。

細部まで作り上げられた「異世界」で踊り、跳ね、
人間の体で「できること」に挑戦していく出演者たち。
見ながら感じたのは、
「意識されて動かされている人間の体の美しさ」でした。
体の先の先まで神経が張り巡らされ、自分の意識によって
動かされている体は、その動きも合わせてひとつの芸術でした。
とにかく美しい。

そして、音楽のすばらしさにも感銘を受けました。
舞台の四隅で奏でられる生演奏の影響力の大きさに脱帽です。
音楽が舞台を更にきらきらと輝かせ、見ている人たちを
より一層、「コルテオ」の世界に導いてくれていました。
思わずCDを購入しそうになりましたが、
この「生の迫力」には到底、叶わないだろうと思い、断念。

チケット、高いです。
高いけれど、ぜひまた見たいです。
贅沢な気持ちにさせてくれる2時間でした。

ちなみに5年前の感想はコチラ
今回のほうが遥かに感動が大きいような。
それが年を重ねたということでしょうか。

時をかける少女/2010年日本

2010年04月04日 01時27分05秒 | 映画鑑賞
12.時をかける少女/2010年日本

■監督:谷口正明
■出演:仲里依紗、中尾明慶、安田成美、石丸幹二、勝村政信、
    石橋杏奈、青木崇高、松下優也、キタキマユ
■ストーリ
 あなたに会いに行く
 記憶は消えても、この想いは消えない
 時を越えて、今、新たな物語が始まる
 高校卒業を目前に控えた芳山あかりは、母・和子が薬学者として勤める
 大学に無事合格し、新たな生活に胸を弾ませていた。ところが、和子が
 交通事故に遭い、事態は一転。昏睡状態に陥った母の願いを叶えるため、
 母が開発した薬を使って1972年4月にタイム・リープする。
 ・・・はずが、到着したのは1974年2月。偶然出会った映画監督志望
 の大学生・涼太に助けてもらい、母が会いたがっていた深町一夫を探し始める。
 やがてあかりは涼太に恋心を抱き始めるが・・・。

■感想 ☆☆☆☆*
 この映画を見て、はや5日。
 しかし、この映画のことを思い返すたびに、胸が切なく痛みます。
 フィクションだと分かっていても、やるせない気持ちに襲われます。
 生まれて初めて好きになった人のことを忘れてしまうことと
 辛く悲しい初恋のことを覚え続けて、胸を痛め続けることと
 一体、どちらが哀しいことなのだろう。
 そんなことをずっとずっと考え続けました。
 「タイムスリップ」をする。それは、本来、出会うはずもない人と
 出会うこと。決して、一緒に人生を歩めない人と出会ってしまうこと。
 一緒に歩めないのであれば、出会わなければよかったのに、と思う心と
 それでも出会ってよかった、好きになってよかった、そう思える恋は
 あるだろうな、という心と、ふたつの想いで胸が張り裂けそうでした。

 大林監督、原田知世主演で映画史に残る「時をかける少女」の続編。
 今回のヒロインは、大林版のヒロイン、芳山和子の娘、芳山あかり。
 彼女は母親が会いたいと願っていた深町を探すため、母親に代わって
 過去に飛び、そして、母親が中学時代にタイムスリップの経験を
 していたこと、そして、そのとき、未来人と出会っていたことを知る。
 未来人と出会った和子が最後に記憶を消されときのまっすぐな視線と、
 「記憶は消されたとしても、この約束は心で覚えているわ。」
 という台詞が強く印象に残った。
 彼女の娘、あかりもタイムスリップに関わり、母親と同じように
 記憶を消されてしまう。それなのに、記憶を触発されるものに触れると、
 切ない気持ちに襲われたり、理由も分からないまま、涙を流したりする。
 その姿を見て、「心が覚えている」というのはこういう状態なのだ、
 と胸をつかれた。
 私を形成しているものは「記憶」ではなく、「経験」で、
 強く印象に残っている出来事、忘れてしまった出来事、
 それらすべてが今の私を作り上げているのだ、と納得できた。

 ヒロインを演じた仲さんはクルクルと動く瞳や笑顔がとても魅力的で
 こんな女の子が突然、目の前に現れたら、誰だって恋に落ちてしまうだろう
 と思わせてくれるヒロインでした。
 そして、彼女が恋をしてしまう1974年に生きるリョータを演じた
 中尾さん。今まで、彼のことをこれっぽっちもかっこいいと思った
 ことなかったのに、彼の表情、しぐさに視線を捉えられっぱなしでした。
 胸が痛みっぱなしでした。少しずつヒロインに心ひかれていくリョータの
 不器用な姿が中尾さんキャラクターにとても合っていた気がします。
 彼の視線から、表情から、ぶっきらぼうな口調から、初恋のせつなさが
 スクリーンのこちら側に痛いほど伝わってきました。
 中盤を過ぎた辺りから、同じ時代に生きられたらよかったのに、
 と力いっぱい彼らを応援していたからこそ、ラストシーンは涙、涙。
 ハッピーエンド好きにはお勧めできません。
 けれど、余韻の残るとても素敵な映画でした。

いざ勝負!

2010年04月02日 23時25分58秒 | 日常生活
春の恒例行事、組織改訂が発表されました。

今回の人事異動により、ワタクシが所属する部署は、
5名から12名へ、大幅な増加を果たしました。

その中には、ワタクシより若い方もちらほら。
会社人生始まって以来の「後輩」です。
今まで「新人さん」のお世話をしてきましたが、
「後輩」を迎えたことはないのです。
どきどき・・・。

今年も「初めて」の体験がたくさん増えそうです。
どきどきしてはいますが、それ以上にわくわくです。

3月の読書

2010年04月01日 23時35分29秒 | 読書歴
今月は、前半の通勤時間を試験勉強に活用したため
読書おとなしめです。
おかげで本読みたいぞー!という気持ちが強まってきました。
久々に図書館行きました。
たくさんの本に囲まれて、思わず大興奮。
図書館に足を踏み入れるだけで、心が落ち着きます。

32.名前探しの放課後(上)(下)/辻村深月

   感想:☆☆☆☆
      大好きな辻村作品を見かけたため、妹のために
      借りました。前回、私が借りたときは、妹はまだ
      「凍りのくじら」も「ぼくのメジャースプーン」も
      読んでいなかったのです。
      この2作品を読んだ人にしかお勧めできない作品です。
      この2作品を読んだ人、そして、その内容をしっかり
      覚えている人しか楽しめない作品です。
      けれど、この2作品を読んだ人であれば、とてつもなく
      幸せな気持ちを味わえる作品だと思います。
      だから。
      本のタイトルは「続編」だと分かるようにしてあげた
      ほうが親切だなー、と思うのです。

34.プラスマイナスゼロ/若竹七海

   感想:☆☆*
      若竹さんの作品は2タイプに分けられます。
      ひとつは、明るくほのぼのとしたコージーミステリ。
      もうひとつは、人間のダークな部分を強調して
      書かれているハードボイルドサスペンス。
      この作品は、由緒正しいコージーミステリ。
      さらさらと読めます。
      ただ、私は若竹さんの人間に対する悪意に満ち溢れた
      作品のほうが好きです。・・・ゆがんでますけど。

35.わたしはだれ?/吉行和子、冨士真奈美、岸田今日子

   感想:☆☆☆☆
      魅力的に年を重ねている仲良し三人組のエッセイ集です。
      肩に力をいれず、無理せず、思うままに生きる3人の
      姿がかっこよく、こういうふうに年を重ねたい、と
      強く思いました。
      ちょっぴり苦手だった冨士さんも、そのおおらかさ
      明るさ、強さあふれる人柄が文章から垣間見え、
      大好きになりました。
      岸田さんが既にこの世にいないことが残念でなりません。
      年を重ねても、この3人のように遠慮なく、
      自分のペースを崩すことなく、そして、友人たちへの
      尊敬を失うことなく、友情を維持したい。そう思いました。

36.ぼんくら/宮部みゆき

   感想:☆☆☆☆
      時代劇の名手による人情もの、と思っていましたが、
      読み進めていくうちに、どんどん謎が明らかになっていきます。
      連作短編集1編目では、たいして謎と思っていなかった
      出来事が2編、3編と読み進めていくうちにつながり
      実は仕組まれた出来事だったことが見えてきます。
      伏線の張られ方のうまさに感服しました。
      
37.日暮らし(上)(下)/宮部みゆき

   感想:☆☆☆☆
      「ぼんくら」の続編。
      前作では「悪役」として描かれていた人が、視点を変えることで
      一転して、「悪い人」ではなくなります。
      読み終える頃には、まったく共感できなかったはずの登場人物に
      対して、この人も実はさびしい人だったのだ、と理解を示せる
      ようになっていました。
      一方からだけ、物事を見てはいけない。特に人間関係は。
      そう思いながら、本を置きました。

39.新釈 走れメロス 他四篇/森見登美彦

   感想:☆☆☆*
      かの有名な「山月記」「藪の中」「走れメロス」「桜の森の
      満開の下」「百物語」をモチーフに、森見作品おなじみの
      腐れ大学生の友情や青春、生き様を描いた短編集。
      名作たちに臆することなく、そして、テーマからそれすぎる
      ことなく、ほどよく作品の色を変え、なおかつ、徹底的に
      自分色に染め上げているのは、森見さんならでは。
      腐れ大学生の腐れ具合は、極端にデフォルメされていますが
      その核となるものは、どこか共感できるものばかりで
      読んでいるうちにいとおしい気持ちになってきます。
      どの作品も、同じ世界の中の出来事。舞台は京都。
      時は大学の文化祭シーズン。「夜は短し歩けよ乙女」で
      書かれていたあの文化祭のサイドストーリーです。
      人が集えば集うほど、その人の数だけ、物語がある。
      森見作品を読んでいると、そういった感慨に襲われます。
      最初の頃は森見作品の腐れ大学生が苦手だったのですが
      いまやすっかりいとしい存在に。なんとなく中毒になります。

40.RURIKO/林真理子

   感想:☆☆☆☆
      林真理子さんの作品を初めて読みました。なぜか食指が
      動かなかったのです。どうもテレビでよく見かける
      「作家さん」の作品には、あまり手を出さない傾向にあるような。
      けれど、この「RURIKO」は、以前、誰かが
      絶賛していたのを聞いて以来、とても気になっていたのです。
      期待は裏切られませんでした。
      「芸能界」に生きる女優の裏話としても、
      「芸能界」で自分を貫く女性の生き方の指南としても
      とても面白い作品でした。
      単なる「添え物女優」「アイドル」だったルリ子がいつのまにか
      「女優」にやりがいを感じ、そして「女優」を天職と思い始めます。
      その変化をまぶしく感じながら読み進めました。

      また、この作品を通して、「昭和」という時代の熱気も
      肌で感じることができました。特に戦後、驚異的な復興を
      遂げる日本のエネルギーはすさまじかったのだ、と
      本を通してでさえ、感じることができました。
      その「昭和」を密度濃く過ごした「スター」たち。
      彼らの生き様を見ていると、私たちは今、多くのものを手に入れ
      便利な生活を送っているけれど、その一方で、失ったものの
      数も大きさも計り知れないな、と思うのです。
      彼らの熱気を肌で感じ、少しうらやましく感じてしまいました。

41.蛇を踏む/川上弘美

   感想:☆☆☆
      ざらざらとした違和感、不快感が襲ってくるような感覚。
      読みながら、鳥肌が立つような、生理的に不安を感じるような
      そんなむき出しの感情に教われました。
      蛇を踏んだヒロインのもとに現れる蛇の化身。
      その化身がヒロインを蛇の世界に招き入れようとする。
      その誘いに対し、「行きたいこともないかもしれない・・・」
      と迷うヒロイン。その迷いにも、ラクなほうへ流れようとする
      心の動きも共感できる気がしました。

42.父とムスメの往復書簡/松本幸四郎・松たか子

   感想:知性あふれる親子の往復書簡。松さんたちの芝居に向ける
      真摯な態度、親子間で繰り広げられる演劇論に鳥肌が
      経ちました。使われている言葉ひとつひとつが美しく
      品性や知性は言葉からにじみ出るものなのだとしみじみ。
      父親である松本さんも、娘の松さんも飾らず、驕らず
      正直に自分のことを晒していて、心から尊敬しました。
      この作品はできれば購入して手元においておきたい。
      それぐらい好きな作品でした。
   
43.あの子の考えることは変。/本谷有希子

   感想:☆☆☆☆
      ずっと気になっていた作家、本谷さんの作品を初めて
      手に取りました。
      予想通りの強烈なヒロインたちの予想以上に妄想が
      とまらない小説で、その世界観の特異さに魅せられ
      っぱなしでした。演劇畑の作家さんだからこその
      読みやすい言葉で描かれる「読み下しにくい」出来事の
      数々。その迫力がすさまじく、読み終えた後、しばらくは
      現実世界に戻ってくることができませんでした。
      特にクライマックスのスピードあふれる展開には、
      胸がざわざわしっぱなし。
      おっぱいしか自信がないヒロイン巡谷も、自分を臭いと
      思い込んでいるもうひとりのヒロイン、日田も
      どちらもおかしい。おかしいけれど、現実に存在していても
      ちっともおかしくない。そんな現実感がある。
      彼女たちの抱える孤独も性欲も、誰かと一緒にいたい
      と願う気持ちも、すべてデフォルメされているけれど、
      確かに私たちの中に存在しているもので、
      自分の中のブラックボックスから目を背けていないからこそ、
      この作品は、ざわざわと私の胸をかき乱したのだと思います。

44.地図のない島/井上靖

   感想:☆☆☆
      昭和32年の作品。井上靖さんというと、私にとっては
      「氷壁」で硬派な作品を書く人、というイメージが
      大きかったのですが、この作品は恋愛小説です。
      恋愛を主題に、人の孤独を描いています。
      さすが昭和32年・・・と感慨深く思う描写が
      いたるところに盛りだくさんで、日本はこの50年で
      恋愛や結婚に対しての考え方やそのスタイルが
      大きく変わったのだと実感できた小説でした。
      時代が異なるだけに「共感」は難しいけれど、
      彼女たちの考え方や行動はとても興味深いです。
      一箇所だけ、強く共感したところ。
      未亡人と一晩の過ちを犯した男性は、その一晩をきっかけに
      未亡人に恋愛感情を抱きます。しかし、未亡人は彼の
      恋愛感情を「愛ではなく、ただの執着だ」と言い切る場面。
      この場面に強い共感を覚えました。
      愛と執着は見極めが難しい。
      終わりかけだったり、うまくいっていなかったりする
      恋愛は特に。そして、執着は人を余計に孤独にさせるんだろうな。
      と、つれづれ思いました。

3月31日

2010年04月01日 00時37分35秒 | 日常生活
定時後、新人さんがふたり、席にやってきました。
本日3月31日は、年度末。
新人さんにとっては、今日で新人さん卒業の記念の日でもあります。
彼らはどうやら「明日からは新人じゃないんです」
という挨拶にわざわざ来てくれた模様。
そっかー。明日からみんなも「先輩」なのかー。
とワタクシまで感無量に。

今年の新人さんとは、新人研修で関われたものの、
それっきりほとんど会えませんでした。
そんな彼らがワタクシのことを覚えてくれていたこと、
あまつさえ、わざわざ挨拶に来てくれたことに感激しきり。

感激ついでに
「せっかくなので、飲みに行きましょう!」
というその場のノリのお誘いに大喜びでのっかりました。

この1年、たくさんの苦労を味わった新人さんたち。
お店では、お酒の力も加わって、愚痴が噴出します。
うんうん!うんうん!と身を乗り出し、面白がって話を聞いていると、
あっという間に終電の時間がやってきました。

わー!時間が全然足りないぞー!
と騒いでいると、新人さんが恐る恐る
「新しくやってくる新人さんを飲みに誘う予定なんですけど、
 それに来ますか?2年目のセンパイみたいなフリをしますか?」
と誘ってくれました。

別に、2年目のセンパイのふりをする必要はないんじゃないの?
という至極まっとうな疑問が頭を過ぎりましたが、
飲んだくれた頭では、堂々と年齢を詐称できることが
素晴らしく魅惑的に思え、ふたつ返事で
「2年目としての」参加を表明しました。

「絶対、バレませんよ!」
と太鼓判を押してくれる新人さんたち。
完全に面白がってます。
くっそう。

大体、よくよく考えると、いや、よくよく考えなくても!
必ず最後にはバレるわけで。
というか、職場以外では溌剌としている2年目くんたちと
同じテンションを保てる自信が微塵もないワタクシは、
そりゃ、バレるでしょう、と既に諦めの境地なのですが。

バレた後のワタクシはどこからどう見ても
単なる「図々しいセンパイ」だなあ、と物悲しい気持ちに襲われたのでした。

けれど、今年も新人さんと知り合える機会があるなんて、
思ってもいなかったので、非常に楽しみです。