太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

怒涛の運転免許 ~路上試験 2~

2011-11-09 15:43:35 | 車の免許話
怒涛の運転免許 ~仮免編~
怒涛の運転免許 ~路上試験1~




フィリピン系の試験官のおばちゃんが書いたメモを、家に戻って改めて眺めてみた。

冷静になってみれば納得できるものがほとんどだったが、「駐車場所から出る時の注意不足」は合点がいかない。

私はおおげさに首をぐるぐるまわして後ろを見たし、そろそろと車を出したはず(こちらでは頭から駐車するのが一般的)。

それでも謙虚になって注意点を克服し、1週間後の月曜日を迎えた。



朝7時15分ぐらいまでに、というところを、7時にオフィスに着いた。

入り口付近には誰もいないように見えたので、「こりゃ1番乗りしちゃったぁっ?」と喜んで近づいていったら、既に15人ほどの人が待っていた・・・

皆さん慣れたもので、それぞれビーチ椅子に座り、ハンバーガーなど朝食を食べている人もいる。一体何時に来ているのか。

今日の分のキャンセル枠が全員にいきわたるほどあるとは思えず、戦意消失しそうになったが、せっかく来たから、待つだけ待つことにした。

7時45分のOPENまでに、私の後に来たのは一人だけだったから、私はビリから2番ということだ。




実はこの日、ワシントンDCに出張していた夫の母が帰ってくる日で、夫の父は空港まで迎えに行くことになっていた。

飛行機が着くのが1時半だから、1時から3時の時間帯以外しか私は選べない。

私の番が来た。もう空きはないんだろうと思っていたら、1時半と2時45分が空いているという。

夫の父に電話をすると、2時45分で大丈夫だと言うので、その時間枠を予約した。

それにしても、15人もの人が予約を取れるほど、時間枠が空いていたというのはどういうことか? もっと不思議なのは、それなのにネットで予約すると2ヶ月先まで一杯だとはどういうことだろう。



所用で出かけていた夫の父が、「オゥ、ウェーール・・」と言いながら家に入ってきた。(日本語だと「こりゃこりゃ」てな感じ)

イヤ~~な予感がした

母の乗る飛行機が、雪のために遅れて、ちょうど試験の時間に空港に着くという。

でもちゃんと手立ては考えてある、という。(聞こうじゃないか)

前回の試験のとき、最初の受付で自分が免許証を見せたりしただけで、試験前には何もしなかった。今日は既に受付をしてあるのだから、自分は行かなくてもいいと思う。

でも、もし誰か必要だった場合の為にトムに頼んでおいた
、と言う。

トムは父の友人で、リタイヤして毎日暇しているおじさんだ。さすがパパ、トムに頼んでくれたなんて、と感激し、

「じゃ、試験の時間にトムが来てくれることになってるんだね?」と言うと

「違う違う、もし必要なら電話して来てもらって、ということだよ。これがトムの電話番号さ」



感激した私がアホだった。

でも、朝一緒に並んでくれた夫や、夫の父、出先から励ましのメールをくれた母、そして関係のないトムまで私の免許取得に協力してくれているのだと感謝した。



夫の父は車を試験会場まで運び、歩いて戻ってきて母の車で空港に行った。

私は一人で試験会場まで行き、受付を済ませ、外のベンチで順番を待っていた。隣の人に順番がまわってきて、同伴者が試験官に免許証を提示したのを見て、いきなり不安になり、オフィスに駆け込んだ。

「これから試験受けるんですけど、一緒に来た義父が急用があって出かけてしまったんです。いなくちゃダメ?」

「もちろんダメに決まってます。一人じゃ運転しちゃいけないんだから。日本の免許証とパスポートがあれば、入国1年以内なら一人で運転できるけど・・」

クールビューティのおねえさんが事務的に言った。

「日本の免許あるけど、パスポートは まだ 持ってない・・」

「まだ?」

ビビリの私は焦ると頭の回路がめちゃくちゃになる。今日は持っていない、と言うところを「まだ」と言ってしまい、それを切り返されて更に焦った。

「じゃあ、誰かをここに呼んでもいい?」

するとクールビューティのおねえさんは、ニコリともせずに

「そんなこと私に聞かないで。それは違法だもの。でも呼びたかったら呼べば?私は聞かなかったことにするわ。ただし試験まであと15分」

聞き終わらないうちに外に飛び出し、トムに電話した。

10回、15回、何度鳴らせどトムは出ず・・・・・

トムに感謝したことを撤回した。

 全然役になんかたたないじゃないかッ!!!


仕方がないので、車で家に戻ってパスポートを持ってきた。一人で運転しちゃいけないのは分かっているが、この際背に腹は変えられん。


なぜこんな、いろいろ起こるんだ?

力の限り走って窓口に行き、パスポートを見せて受理されると、3時3分前だった。

これから試験だというのに、既に私はへろへろに疲れていた。





怒涛の運転免許 ~路上試験編 1~

2011-11-09 14:03:51 | 車の免許話
怒涛の運転免許 ~仮免編~


おごりたかぶって仮免を取ったのが、7月下旬。

路上試験の予約は、インターネット上で行う。

島内で試験を行っている場所が何箇所かあり、好きな場所を選んで申し込む。

ホノルル市内は人も車も多く、道も標識も込み入っていて、試験は難しいと聞いた。

私は仮免を取った場所が近いし、ほとんど住宅地で道も広いので試験は簡単だと思われ、自分はほんとにラッキーだと思った。



1ヶ月ほど、誰かに助手席に乗ってもらって運転に慣れてから、さて予約でもするかとPCを開いた。

21歳以上の、免許保持者の同伴が義務だ。

当時、夫は就職先が内定していたが、仕事が始まるのが1週間先だったので、それまでのいつにしようかなーと思い予約状況を見ると、 2ヶ月先まで一杯ではないか

結局、一番早い空きの10月下旬に予約せざるを得なかった。

夫はもう仕事が始まってしまうので、月曜休みの夫の父に一緒に行ってもらうことになった。必然的に父の車を借りることになり、車の登録証や、保険の証書など必要書類のリストを父に見せ、これらが全部あるか確認すると

「車の中に全部あるから大丈夫!」と胸を張った。



たっぷりと練習する時間が増えて、おかげで右側走行にも車にもすっかり慣れ、唯一苦手だった縦列駐車もウンザリするほど(同乗者が)練習した。

そして迎えた試験日。

さあ行くぞと車に乗り込んで、夫の父が車の中にある必要書類をチェックし始めた。すると、

「あれ?」

イヤ~~な予感がした。

「おかしいなあ、保険の期限が切れてるカードしかないぞ」

お財布や、グラブボックスなど何度も引っくり返しているが、新しいカードは出てこない。

2ヶ月前に聞いたよねッ?そしたら全部あるって言ったよねえッ??

これが私の父だったら、間違いなくそう叫んで思う存分責め立てたところだが、そこは義理の仲のつらいところ。

私は顔を引きつらせたまま、予約時間が迫るのをただ待っているしかなかった。

夫の父は保険会社に電話をし、これから路上試験を受けに行くのだが、新しいカードが手元にないので、カードがなくても支払ってあることを電話で証明してくれるように頼んで、「これでOK,レッツゴー!!」



レッツゴーっておとーさん、いくらハワイでも、そんなことで本当にいいの?と思いつつ、窓口に行くと、やはりオリジナルのカードがないとダメだと言われた。

「12時45分の枠が空いているので、その時間までにカードを用意できますか?」

今日がダメなら、また2ヶ月待つのかと思いきや、時間を変えて受けられるなんてラッキーだ。保険会社にカード再発行を頼んで取りに行き、お昼を食べて出直した。



試験官は、どっしりとしたフィリピン系のおばちゃんだった。

試験時間は10分程度。一旦停止ではガッチリ止まり、歩行者は最優先し、縦列駐車もうまくできた。

元の場所に戻ってきて、言われた場所に車を停めた。完璧とは言わないが、まあ90点ぐらいだろう。

今日は免許写真も撮るからと思って、珍しく化粧もしてきた。

しかしおばちゃんは意外なことを言った。

「ごめんなさいね、また来週の月曜日に来てちょうだい」



一体、何がなんだかわからない。

何が悪かったのかがわからない。おばちゃんは、私のペナルティを走り書きした付箋紙を渡し、さっさと車を降りて去って行った。

そこには、未熟なハンドルさばき、とか、縦列駐車の際、前の車との距離が近すぎとか書かれていた。



しばし呆然としたあと、気を取り直してオフィスに行き、窓口の人に

「来週月曜に来いと言われたんだけど、何時に来ればいいの?」と聞いた。

まんまる目のおねえさんが、「ウォークインで、という意味よ。ネットで今予約すると12月になっちゃうのよ」と言った。


ウォークインとは、早い者順ということだ。

朝から並んで、その日の空いている枠(つまりキャンセル枠)に予約を入れる。

「ウォークインだと何時ぐらいに来ればいいのかしら?」

「そうねぇー、7時45分にOPENだから、7時15分ぐらいまでに来ればいいんじゃないかなあ」


しかたがない。来週、また挑戦だ。

週末ちょっと練習したら、きっと大丈夫。

私のおごりたかぶった鼻は音をたててへし折れたが、まだ私は事態を甘く見ていたのだった。






怒涛の運転免許 ~仮免編~

2011-11-09 12:42:11 | 車の免許話
ハワイに来て、落ち着いたら車の免許を取ろうと思っていた。

二十歳で免許を取って以来、車のない生活は考えられない上、ここは車ナシでは不便すぎる。

オアフ島内、どこまで乗っても2ドル50セントという路線バスもあるけれど、バスが便利なのはホノルル市内だけ。

バス停に名前もなく、時刻表もあてにならず、最寄のバス停から家までの長い上り坂を思うと、重いものも買えやしない。



ということで、まずは仮免を取る。

ハワイには、日本にあるような自動車教習所というものがない。

日本人旅行者のための、仮免から路上試験まで全部面倒みます的なビジネスはあるが、結構なお値段だ。

みな、自力で勉強し、運転を覚え、最終的には自分の車を持っていって試験を受ける。



まず、ドラッグストアなどで「運転免許の手引き」のようなものを買い、その巻末にある171問の試験問題を覚える。

もちろん全部英語だ。

この171問の中から、30問がアトランダムに試験として出る。


その手引書を持ち歩き、何度も繰り返し覚えて、忘れないうちに試験を受けた。



ラッキーなことに、家から車で2分という場所に、車の免許関係だけを扱う市役所の出張部署があった。

そこに、自分の都合のいい時にフラっと行って、勝手に筆記試験を受けるのだ。



オフィスに入り、申込書に記入し、窓口に持って行った。

日本の運転免許を提示すると、「免許を取ったのは何年?」と聞かれた。

見ると、日本の免許には西暦で表示されていない。途端に焦り、私が生まれたのが昭和●年だからぁーーー・・と宙をあおいだ。

「たぶん、19●●年・・・」

「OK、 19●●年ね。試験費は2ドルよ。じゃ、試験会場はあっちだから」

たぶん、でいいんだー・・・



試験会場といっても、ワンルームのオフィス内を、申し訳程度のパーテーションで仕切っただけ。

試験を受けるのは私一人で、乱雑に置いてある小さなテーブル付きの椅子の一つに座った。

ラミネート加工されたヨレヨレの問題用紙と、マークシート方式の答案用紙を受け取り、時間制限はないので勝手に始める。


回答は4択で、 「1.○ 2.○ 3.○ 4.○」 という表示の、○の中を塗りつぶしていったが、半分ほど過ぎたあたりで、解答用紙の隅っこに「○に×をつけよ」と書いてあることに気づいて、あわてて全部消してやり直した。



終了した答案用紙を窓口に持ってゆくと、その場で答え合わせをしてくれる。

「わおっ あなたパーフェクトよ!すごいわー」

なんと私は全問正解!

おおいに自分を誇りに思いつつ(ただ覚えただけなのに)、仮免発行の手続きに移った。

人がワサワサいる場所で、柱の出っ張りを背景にして写真撮影。



私が真面目な顔をすると、撮影してくれるオバサマが手を大きく左右に振って

「だめだめ、笑って」と言う。

口の両端を上げて笑顔を作ったら、

「違う違う、口をあけて。歯を見せていーの、歯を」

証明写真で、歯を見せろと言われたのは生まれて初めてだ。

夫の持っている免許類の写真が、さもおもしろいことが目の前で起きているかのように笑っているのは、単に夫がおどけた性格だからだと思っていたが、今その理由がわかった。

これは私が歯を見せるまでOKは出ないと見て、思い切ってニカーーーっと笑ってみた。

「そうそう、それでOK。暗い顔はだめだめ」



3分ほどで仮免許が発行された。

どんな恥ずかしい顔で映っているか、おそるおそる見てみたら、日本の、幸が薄そうな、前科何犯のような証明写真より遥かに良かった。


仮免の有効期限は1年。

あとは路上試験を予約して、本物の免許をもらうだけ。

私は簡単、簡単とおごりたかぶっていた。



しかし私の優等生気分も、そこまでだった。